2018/03/20

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別に死がこわくなどなかった。どうして耐えれるの?と尋ねた半端者に首をかしげる。それが当たり前だから、別段おかしくはない。ナマエはそんな人じゃなかった、と言ったその人は、一族の中で一番暖かな人だったのに!と叫ぶ。それは、2人の長と、今や兄がわりのような三人にも言われたことがある。何を指してるかわからない。まぁ、終わりで考えることでもないけれど。ぐるり、と回った視界、私を掴んだ長と大蛇様が見え、ああ、終わるのか、と、私は近くにいたヤマイヌを掴む。吐き出された光線に、死ぬのだと、笑った。それを見た曇の人間が目を見開く。死ねる喜びに笑ったと言えば彼らはなんというだろうか。


音がする。水の音、水のせせらぎ、蝉の音。香りがする。花の香りが。ゆっくりと目を見開く。どうやら生きている、らしい。ゆっくりと手を持ち上げる。酷い火傷でもあるかと思えばない。ただ、身体のあちらこちらにある切り傷や擦り傷はあの時のままだ。体を起き上がらせて見れば、思ったよりも動く体、だが、やはり重い。ビショビショになった着物はどうだっていい。帯あたりにきちんと風車のついた簪が刺さっているかを確認する。壊れず刺さっていたそれに安堵して近くにある岩に腰掛け、辺りを見渡した。何処かの山の中腹であるらしい。近江、滋賀県、そんな場所だろうかとも思ったが、どうやらそうでもないらしかった。花の香りに混じって漂う血と火薬、焼け焦げたようなの臭いは、風が運んできたものだろう。とりあえずそちらに向かえば、燃え尽きた村がある。転がっている死体は村人だけではあるまい。何か手がかりがあるだろうかと焼けた家を探すが何もない。不意に感じた気配にそちらを見る。まだ見える範囲にはいない。馬のかける音がして、現れたのは時代錯誤な武者だ。
「む、生き残りがいたか」
刀を構えた武者の首を撥ねるまでそう時間は掛からなかったのだけど。

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結論から言うと、諦めた。どの観点から見ても過去としか言いようがないからである。大蛇様の光線を浴びたなら過去に行けるのかと考えても見たが、長達がいないのを考えるとそうじゃない。
まぁ、そんなこんなで色々と考えだ結果、焼き討ちされた村に住むことにしたのだが――どうしてこうなったのか。目の前にいるのは4人の子供である。どうあがいてもまわりに馴染まない金髪、赤髪、茶髪が2人。忌子だと疎まれた子供、いや、正しくは忌子だと疎まれた結果、焼き討ちから逃れた子供だ。名前は、かすが、こたろう、さすけ、はんぞう。全員両親から授かった名前ではあるらしいが、定かではない。何もできない4人に学を与え、戦い方を教え、生きる術を軽く、本当に軽く、髪の毛の色が変わらない程度に教えた。私が料理しようとすれば全力で止める4人に懐かれたなと感じる。そんなこんなで穏やかに暮らしていたのである。
が、4人の才能に気づいた忍の連中が総出で私を殺しにきている。何度か追い払ったが、流石に連合を組まれたら無理なわけで。これは最悪なパターンかもな、と思う。私を捉えた忍は私の顔を上げさせる。私の視線の先にいた4人は息を押し殺してこちらを見る。首を刎ねられる瞬間、駆け出してきたこたろうに仕方なく忍を振り払い、こたろうを掴み、そのまま三人を連れて闇に紛れた。
「逃げなさい」
「嫌です!」
「お師様を置いていきたくない!」
「いやだ!」
「一緒ににげよう!」
そう喚いた4人に首を振る。
「お前たちだけで逃げなさい」
「いやだ!」
そういった4人にため息をつく。そして、4人の頬を打った。目を見開いてこちらを見た4人に、行け、と告げる。
「大丈夫だ、また会える」
「っ、でも、」
「私が信じられないのか?」
首を左右に振ったかすがとさすけの頭を撫でる。はんぞうとこたろうは眉間にシワを寄せてるだけだ。それは、二人が少し年上だからにままならない。
「つれていけ、私とともに戦おうなどと思うな、足手まといだ」
近づいた足音に、もう一度、行け、と言う。
「生きろ、生にしがみつけ、生きていればまた会える」
そう笑って、その場を後にする。離れた気配に、目を閉じた。

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その人の、最後の光景は首を刎ねられるところだ。首を刎ねられだ、と思った瞬間、水に浮かぶ泡沫のように消えてしまったあの人は生きているのかは知らない。ただ、しっかりと、俺とこの赤毛の男はその瞬間を見ていた。風魔一族に追いつかれ、隣にいたこの男は俺たちに行くように告げていなくなり、俺は伊賀の忍に追いつかれた際に二人を逃し――残りの二人は甲賀の忍に追いつかれたのだろう。隣にいる男がいつのまにか風魔一族の頭領にまで上り詰めていたのをみると俺と同じような生き方をしたのだろう。
「佐助の奴、武田に行く前に甲賀の里をめちゃくちゃにしたらしい」
そうあの人がいなくなったそこで口を開く。月を見上げていた赤毛の男は「そうか」と普段は動かさない口を開いた。
「呼んでくれれば加勢したものを」
「俺も思う」
またもや沈黙、カラカラと風車が回る音がする。
「お師様はいつになったら現れてくれるのだろうか」
「さぁな、だから俺も待ってんだろ」
あの人が消えて、もう十数年が経とうとしている。

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「何で俺様がこんなことしてんの……俺様忍なんだけど」
そうボヤいた佐助の背後から団子をくすねる。あ、と、こちらを見た佐助に団子を口に放り込んだ。うまい。ちょっと!と叫んだ佐助の攻撃を避ける。
「なんで半蔵がいんのさ!」
「小太郎もいるぞ」
「私もいる」
「なんで勢揃いしてんのさ!」
そうプリプリと怒る佐助に同盟国云々の関係で、と言えば佐助は頭を抱えた。俺たちが知り合いであることは国主達は知っている。それがどういう繋がりか、とまではいってないが、恐らく察してはいるのだろう、北条の爺さん以外は。
「この前謙信様と京まで行ったが、やはりいなかった」
「俺様は相変わらず奥州あたり行ったけど見てないんだよねぇ」
「俺は四国に行ったが、いなかった」
「長宗我部の旦那って紛らわしくて腹立たない?」
「わかる」
「お師様があんなむさ苦しい男のわけがないだろう!」
そうぽこぽこと怒ったかすがに、風魔が口を開く。
「前に一度、お師様の血縁かと思って調べたが違った」
「お前は俺か。俺もやったわ畜生」
「ちなみに俺は九州に行ったがいなかった」
淡々とそう告げた風魔は団子をつまむ。ちょっと!と騒いだ佐助を他所に、かすがが同じく団子をつまみながら口を開く。
「……そういえば、自称天女の噂が京で出回っていたぞ」
「なんだそれ」
「一説によれば男を魅了するらしい」
「どっかのくノ一か?」
「知らん、そいつに関しては調べてない」
「そいつってことは他になんかあるの?」
「天女様の周りには五人の従者がいるそうだ。赤髪の壮年の男、青髪の女、金髪の子供、緑髪の若年の男」
「染めてんのか?」
「知らん」
「あと一人は?」
「銀糸に近い白髪。性別はわからない。いつも狐面を被っているらしい」
「なにそれ、まさか、」
「そう思って調べたがなにもわからなかった」
そう首を振ったかすがに、逆に、とぼやく。
「逆に、お師様だから調べても何も出ないんじゃないか?」
俺の言葉に、周りは動きを止めた。


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天女様は確かに人を魅了するらしい。らしい、というか、するみたいだ。武将達が見事に陥落し、奪い合いにまで発展する騒ぎである。今も何故か小田原の城で騒ぎが起きていた。俺たち忍びは考えるのをやめた。疑いはするが。何故ならこの天女様があまりにも自己中心的で馬鹿だからだ。そうはっきり言えば、従者の連中はカラカラ笑ったり頭を抱えたり様々である。赤、青、黄、緑。四人の従者。そこに白はいない。
「あと一人、白髪がいるって聞いたが」
「ああ、あの白髪のことか?」
赤髪の言葉に「恐らくはその人だ」と言えば、アイツは神出鬼没な面があるからな、と言われる。
「時期に現れるだろ」
「そもそもアンタ忍びなら自分で探せばいいんじゃ?」
「無理無理、天女様でさえ居場所がわからないんだぜ?わかるかよ。てか、自分で探せるなら自分で探してるだろ」
そう言った緑髪に、痛いところをつくな、と、眉間にシワを寄せる。
「ま、お前らの敵じゃねぇから安心しな」
赤髪の言葉に黙り込む。そういうことではないのだけども。

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やっとのことでその忍が姿を現したのは随分と月日が経った頃だ。どさり、と死体だろうものを投げた白髪は狐面を被り顔は見えない。ただ、その服には見覚えがあった。それは、自分たちに生きる術を教えてくれた人物が来ていた服によく似ている。ひっ、と息を飲んだ天女様に、彼もしくは彼女は傅いた。
「天女様、これ以上ここにいるのは得策ではないかと」
抑揚はない。でも、その声はひどく懐かしい。
「白、なんで、てか、なにしてっ」
「貴方を連れ去ろうとした連中を殺しただけですが」
「馬鹿!何殺してるのよ!人殺し!」
そう罵った天女様に、白髪は「申し訳ございません」と告げた。
「出過ぎた真似を」
「近寄らないで!!穢れるじゃない!」
「あーあー、天女様、そんなこと言うなってば、味方なんだから」
そう宥めた金髪の子供に、天女とやらは「煩い!」と言った。
「人を殺すような人は、味方じゃない!」
その言葉に、青髪の女が、そうか、と告げる。じゃきん、と何か金属の音、それが銃弾の装填する音だと理解するのは早かった。青髪が女に銃を向けていたからだ。それだけでなく、他の従者がみなその女に刃を向けていた。
「残念じゃのう、それが最後の味方であったはずなのに」

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雑多 

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