ネタ帳vol.3

2023ネタ帳124:君僕主if

01/14 17:58 


「ナマエって、ジョージさん結構好きだよね」
そう言ったのはセツさんである。彼女は芋けんぴを酒のあてにつまみながらもぐもぐする。ちなみにナマエちゃんは「そうだな」と肯定した。
「結構好きだ」
「ジョンさんに似てるから?」
「それは外側だけだろう?あの兄弟全員に言えることだが、中身はまるで違うよ」
ナマエちゃんはそう言ってエールをあおる。近くに当の本人たちがいるけども、二人は気づいてないのか別に聞かれて困る会話じゃないのか話しを続ける。
「ジョージの方が紳士的だから。なんだろうな……歳が近いから話しやすいのもある。まぁおおかた向こうも私をいいように使う気なんだろう。同い年ぐらいの女の知り合いは何かと有用だからな」
「なんだ、バレていたのか」
そう言ってジョージさんが移動してきてナマエちゃんの隣に座る。なんとなくわかる、と告げた彼女に、私は有用?と首をかしげる。
「すくなくともパーティーや大学とかで興味がない女の子をかわす材料にはなる」
「その上君は腕もいいからな。私は君を本当の恋人にしてもいいんだが?」
サラッと告げたジョージさんに、ナマエちゃんが「こう言うことをサラッとつげるあたりも違う」といった。え?これわりかとガチで狙ってるのでは?と私はセツさんをみる。セツさんは爆笑していた。後ろでジョンさんがすごい顔してるからだろうか。いやたぶんよっぱらいだ。ジョージさんは頬杖をつきながらナマエちゃんをみる。さらり、と腹部を撫でながら。
「私の子を孕むか?」
「こら、そう言うことは本命に言えっていつも言ってるだろう」
「そうだな」
そうフハッと笑ったジョージさんはナマエちゃんを見つめたが。ナマエちゃんも同じく頬杖をついて見つめて、髪をすいた。
「綺麗なグレーだな」
映画のワンシーンみたいにみえる。まぁ、ジョンさんが割り込んだが。
「ナマエ、いい加減にしろ」
「怒った?」
「当たり前だろ。飲み過ぎだ。昔からお前は酔うと人との距離がおかしくなる」
ジョージさんを叱ることはないらしい。ナマエちゃんだけを叱った彼にジョージさんは頬杖をついたまま二人を見たが。立てる立てないと言う話の後、かつがれたナマエちゃんは、ジョージまたなと言って手を振った。ジョージさんは手をひらりと振ったが。
「ジョージさん割りかと本気でしょ」
「まぁな」


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「まみぃ」
そう弱々しい声に覚醒する。ねむれないの、と告げた彼女にゆっくりと起き上がった。そうして抱き寄せて、ホットミルクでも飲む?と尋ねれば彼女は頷く。私は寒くないように上着を羽織ると、大きくなった彼を抱き上げてその部屋をあとにした。
アマナはどこででも安心して眠るが、どうもライクの方は違う。誰かがそばにいないと眠れない。日中はお姉ちゃんだからと甘えないようにしている分、こうやってそばにいたがるのだ。元が繊細なのもあるし、記憶の関係もあるのかもしれない。キッチンでミルクに火をかけていれば、ヘイティ、とオセロットがやってきた。
「夜食……いえ、ホットミルクですか?」
「ああ」
「私が作りましょう」
そう言った彼はマグカップを準備する。私にしがみついたままのライクはぐすぐすとはなをならした。背中を撫でながらたずねる。
「怖い夢をみた?」
「うん……こわくて、かなしかったの……」
「そうか、こわかったな。でも、もう大丈夫だ。私がそばにいるから」
「うん……」
「ほら、ホットミルクだ。飲めるか?」
そう言ったオセロットにライクはホットミルクとオセロットを見比べて、またぐすぐすとはなをならして手を伸ばす。
「シャラシャーシカ」
私はその呼び名を知らないことになっている。彼がそう呼ばれ出したのは私が死んでからだ。でも、明らかにオセロットに向かってこの子はそう呼んだ。オセロットは目を見開いたが、目を伏せる。自分の役割を悟ったのだろう。そうして彼は慣れたように口を開く。
「マイレディ、大丈夫だ。ホットミルクを飲めばよく眠れる」
そう頭をくしゃりと撫でたオセロットに、私はライクを椅子に座らせる。ホットミルクにふうふうと息を吐きかけたライクを二人で見下ろした。まぁ、半分飲み終わるくらいには寝落ちだが。オセロットがライクを抱えたため、私は廊下をすすむ。ベッドにライクをおろして、部屋を出る。そうしてあてがわれた部屋、というよりはジョンの部屋に向かう前にオセロットが尋ねた。
「聞かないのですか?」
「聞かれたくないかと思った」
そう告げれば彼は困った顔をするだろう。
「言い方が悪かった。……そもそも、私はどれくらい貴方達の人生を聞くべきかわからない。いや、」
自嘲的に笑う。
「私には貴方達の口から聞く勇気が、向き合う勇気がないんです。貴方達がどう生きて、何を感じたのか聞かなければならないのはわかってるんですけどね」
私が敬語で話したからか、彼は少しだけ驚いた表情を浮かべた。
「……ジョンさんは私にとてもよくしてくれます。貴方も、ジョイさんも、彼に繋がる人はみんな。それは私が昔『ナマエ・クラウディア』という女性だったから。みんなが求めるのは私ではなく彼女。妹達も。私じゃなくて、私を通して過去の彼女をみている。お父さん達もそう」
「……貴方の父親達も?」
「実父は母を騙して結婚した。私がどこでどうやって生きたか理解した上で、私が生まれるけどを期待してね。父親の念願通り、私は生まれた」
「……」
「私の母は可哀想な人。母は私をつれて実父から逃げた」
「実父がおいていったんじゃなかったのか」
「いいえ。母も父もそういうけど、実父の異常さに気づいた母親が私を連れて逃げた。でも、次は養父がでた。彼も私をよく軍事施設につれていった。彼もまた私を知っていて、偽って母親に近づいた。でも多分、ライクのこともアマナのことも知らなかったんだと思う。二人には関心がなかった」
「貴方の母親は、また貴方達を連れて逃げた?」
「日本にね。私の友達の家族が手引きしてくれた。周りのみんなが私が記憶を戻した時、彼女は私を拒んだんじゃない。私がいるから彼女は永遠に利用されると私が理解したから、日本の警察に保護を私がお願いした。彼女は誰にも利用されない場所で、彼女の人生を生きてる。だから、母が私に同行することはありません」
私はそう言ってもう一度、彼を見る。
「お母さんは最後に私にこういった。私は誰かの記憶があっても、私だと。何も変わらない。貴方と彼女は違う人間なのよって。だから、余計に勇気が持てないのだと思う」
これはただの言い訳だ。向き合う勇気がない私の。
「と、いう見苦しい言い訳だ」
そう言って苦笑いをする。見苦しいとこを見せた,と言いながらノブに手を回す。
「ありがとう、アダムスカ。娘と仲良くしてくれたら嬉しい」
「……もちろん」
「おやすみ」
そう告げて私はジョンの眠るベッドに向かう。隣に潜り込めば、起きていたらしい彼が私をみたが。どうかした?と尋ねる。いいや,と断った彼は私を抱き寄せた。暖かい。心臓の鼓動が聞こえる。彼は架空じゃない。生きている。
「ジョンは生きてる」
「……それは俺の台詞だ」

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