ネタ帳vol.3
2023ネタ帳138:ユー ノウ マイ ネーム(君僕主if)
01/14 18:05
これはよくある嫌われ的な話では!?そう思ってしまうのは仕方ないと思う。私がたまたま知り合いがいたからまだ無事な居場所を確保しているだけで、彼女はそうじゃない。クラスの中の一匹狼となっている彼女は長い前髪の隙間からただその成り行きを見つめていたが、話が通じないと思ったのか面倒くさいと思ったのか、ただ、申し訳ございません、と弱弱しい声で告げた。あの子、役立たずなの、と綺麗な彼女はいう。それに同調した周りもそういう。でもここにいる限りは働かないとと告げた金髪の男性に彼女は頷いたのだけれど。
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よくわからないことに巻き込まれたな,というのが印象である。ブラシ片手に掃除をしながら外を眺める。訓練する軍隊,その指揮をしているのはジャックに違いない。違いないのだが、私が知る話のように生きているわけではないし、加えて私がいた場所でもないのだろうとは思う。何故なら本来作られた子供であるはずの蛇たちがジャックの兄弟らしいという話を聞いたからである。どこかにある平和を維持するための軍隊。私のいる世界に存在しないそれ。よくもまぁ基地の中に落ちて敵だなんだと尋問されなかったなと思う。まぁ、ボスの存在が大きいし、彼らの目の前で落ちたことも大きいかもしれない。クラスメイトたちはそれぞれ得意なことを振り分けられ、ゲームのようにそれぞれどこかの班に配属されているが、それはあの子の評価であり、所詮は学校やお遊びの延長線だ。私はあの訓練に加わることもなくどこかの班に加わることもなくお手伝いさんもしくは雑用係を拝命しているのだが。
「ネイキッドが気になるか?」
不意にそんな声が聞こえてそちらを見る。私の記憶より歳を重ねたオセロットがいた。ロシア語で尋ねられた言葉に私は首を傾げた。ロシア語がわかると理解されても困るが、まぁ結局はロシア語の問いかけに反応しているから意味はないだろう。
「何故この言葉を?」
彼の問いかけには答えずそう問いかけなおす。彼は驚いた顔をした。私がロシア語で返すとは思わなかったのだろう。
「一種の賭けのようなものだな。この前一瞬だがグレーの瞳が見えた」
私の国で比較的多い。
前髪で目を隠す。向こうの瞳の色。あの世界に行って帰ってきたら、いや、事故にあってからそうなった後天的なものだ。医者も首を傾げていたが。
彼は近づくと私を見下ろした。
「あまり見られたくない?」
「揶揄われます」
「ここにはいろんな瞳の色の人間がいるんだ。揶揄われやしないさ」
そう言った彼に困った顔をする。何故なら彼らが揶揄わなくても身内が揶揄ってくるからである。
「それで?ネイキッドを見てどうかしたか?」
「いえ、あの人、片目どうしたのかなって」
再度問いかけたオセロットに、私は無難に返す。
「あぁ、銃が暴発したらしい」
「暴発……」
と言いながらもう一度ジャックをみる。エヴァを庇った結果ではないらしい。あの子が知らない女の子とかけてきてドリンクを配っているのが見える。それを見てから私はブラシで掃除を再開した。オセロットは「お前が一番働き者だな」と笑って(もしくは嘲て)そのままどこかへ行ったが。
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「お前は働き者だな」
そう告げたのはジャックである。窓越しで顔を覗かせた彼は私を見下ろしてそう告げた。私は箒を握りながら口を開いた。
「お世話になっているので、当たり前では……」
「だが、他はもっと遊んでるぞ」
言われてみればそうである。だから私の仕事が増えるわけなのだが。
「……働いていた方が、考えなくても済むので」
そう言って彼から視線をそらす。
「家族のことか?」
「ええ、まぁ……」
「研究班が今調べている。そのうち帰れる」
優しいのだ。彼は。帰りたいのかさえも宙ぶらりんだ。彼もいる。彼女もいる。みんないる。私の願望が詰まったこの世界にいれば、どんな生き方でも幸せなのではないだろうか。でも、きたのであれば私達は帰るべきだろう。だから、私は困ったように笑う。「そうですね」と告げてから、少しだけ元気が出ました,とつげた。
「お嬢さん、また仕事を押し付けられたのか?」
ロシア語でそう言ってやってきたのはオセロットである。意地が少しだけ悪い。ああ、ネイキッドといたのか、と告げた彼にジャックは首を傾げた。
「ロシア語?」
「得意らしい」
「そんな話聞いてないが……」
そう言った彼は再度こちらを見る。彼はあの子から聞いてないのだろう。いや、あの子達クラスメイトはしらないのだ。だから、ただ、大人しくて喋らない人間というし、彼らもそれを聞いている。それだけだ。私の知っているジャックじゃない。彼が私を知らないように、私もまた彼を知らない。
「あまり、喋らない方がいいかなと」
「どうして?」
「私のいた場所では、仲が悪いから。それに、貴方達に警戒されたくなかったから」
私の言葉に彼らは目を瞬いた。眉尻を下げて困った顔をする。
「腐ったリンゴと同じです。こういう時、私一人が異常だと他も異常だと思われやすいので。貴方達に敵対心を抱かれてしまうと、帰れないしこちらに怪我人も出るでしょう?」
「黙っていた方がタチが悪いことになるぞ。第一降ってきた非現実な瞬間を見たんだ。疑いようがない」
「貴方達はね。でも他は違うでしょう?」
無駄な火種は持ち込まないに越したことはありません。
私はそう言って困った顔のまま笑う。彼らは否定せず、そうだな、と告げた。そのまま彼はカズヒラ・ミラーと名乗った男性に呼ばれて窓から離れたが。こちらをみおろしたオセロットに、何か御用でしたか?と尋ねれば彼はこちらを見下ろした。
「これは他の奴の仕事だろう」
「暇だったのでいいんですよ」
私の返答に彼はため息をついてこっちだと手招いた。
「今日はお前は暇だ。片付けて大人しくしておけ」
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「ごめんなさい」
そう言って手を離す。彼女は私を見下ろした。苦し紛れに、母親に似ていたのでと言えば周りはケラケラ笑った。マザコンだとかそういう言葉はきこえないふりをする。彼女はと言えば少しだけ驚いた後、私の頭をくしゃりと撫でるとその場を後にする。ストレンジラブ博士の視線が突き刺さった。ふはっ,と笑ったのはコブラ部隊のメンバーだろうか。母親に置いていかれた子供のようだ,と言われて私は困った顔をしておく。
「お爺さん……寝てる」
そう車椅子に座ったジ・エンドをみる。彼はまぁ今光合成をしているからか眠っているが。暇と言われても、することはない。肌寒いだろうから私は上着をかけて隣に座ってただ景色を見る。そこには何もない。目を瞑れば花畑が見えた気がする、ので、また目を開く。そのままぼうっとただ景色を眺めた。クラスメイト達が蛇や軍隊に戯れている。無邪気に。彼らはその気になれば彼らを殺せるといっても、彼らは戦争で人を殺していると言ってもクラスメイトは異常者扱いはしないのだろう。私がそうであれば異常者とみなすだろうが。オウムが飛んできて、私の肩に止まる。私はその頭を撫でて、またぼうっと景色を見た。まぁそれを見ていたメディックにぼうっとしてる暇があるなら手伝ってと言われてまた手伝いにむかうのだが。
しばらく手伝っていれば、違うメディックが私を見る。ジャックにどことなく似た彼は私を見て目を瞬くと口を開いた。
「……お前、今日は休みだったんじゃないのか?」
「え、うそ!?ごめんなさい!」
「いえ、休みでもやることがないのでお気にせず」
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お断りします、とミラー副司令を見る。まぁ、何人か美人なクラスメイトに手を出している彼である。このような軍隊では性欲が高まるのはよくあることであるが、好色家なことで。とりあえず私には修羅場に飛び込むような趣味はない。とりあえず壁ドンされているのでそれを潜り抜けて彼と距離をとる。そうして、一言。
「あまり口に出したくはありませんが、そのうち修羅場になるので気をつけた方がいいですよ」
と釘を刺したのだが、ジャックとの殴り合いに発展していた。半裸ならまだ許せたが全裸はやめてほしい。というか私を巻き込まないでほしい。私は深く深くため息をついて、備品のタオルに取りに行って戻ってきたら私が誘ったという言葉が聞こえた。
「は?」
割りかとマジトーンである。彼ら、と、クラスメイトは固まった。
「ミスター、それは本気で言っていますか?私はお断りした,それだけでしょう。馬鹿なことをおっしゃらないでくださいますか」
鬱憤が溜まってるなぁと思う。
「私この前貴方に言い寄られた際、お断りすると同時にご忠告差し上げましたよね?いつか修羅場になるからやめろと。聞こえてませんでしたか。結構な至近距離だったと思うのですが」
ジャックがもう一度ミラー副司令をみおろす。私は言葉を続ける。
「もう一度言います。お断りします。あまり遊んでいると修羅場になりますよ。あとタオルくらい巻いてください。大変不快です」
そう言って二人の顔面にタオルを投げる。綺麗に二人の顔にぶつかったタオルに、私はそのまま周りを見た。そのまま怒気をはらませて学生をみる。
「年上の喧嘩なんて見てないでさっさと学生は持ち場に戻れ。仕事をしろ」
学生だけじゃなく一部の大人もそのまま回れ右をしたのを見送って私は髪をかきあげてため息をついた。まぁ、そのままオセロットが律儀に私の前髪を元通りにしたが。
「お嬢さん、前髪をあげてはまぶしいだろう?」
「……ええ、まぁ」
「大人もさっさと持ち場に戻れ。ジョン、指導ならちゃんと服を着てしてください。学生には些か目に毒だ」
肩にポンと手を置いて周れ右をさせられる。
「タオルを投げるのはやり過ぎですね、ごめんなさい」
「いや、お前の言うことはもっともだ。ジョンもミラーもお前がああ反論することに驚いたんだろう」
いつも反論をしないから。
室内に入るとパッと手を離され、そのまま今日手伝いをしているメディックに合流させられたが。
「そう言えば上着はどうしたの?」
「あ、お爺ちゃんにかけたままでした……」
私の言葉に彼らはお爺ちゃんと繰り返す。車椅子に乗った,で理解したようだが複数人お爺ちゃんがいるのだろうか。
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何故にこの四人。そう思いながら私は彼彼女らをみる。一人目クラスの陽キャラ頼れるオニイサンポジションである七篠くん。二人目、そんな七篠くんと仲良し番長的な位置の名寺くん。三人目、一匹狼女子苗字さん。で,最後が頭脳だけがちょっと普通じゃない私である。
「幸野さんめちゃんこなんで私って顔してんなぁ」
そう告げた七篠くんに、思ってるよ!と小声で告げる。彼はケラケラ笑った。
「俺さー、二人と話してみたかったんだよな」
「なんで?」
「俺はまぁ持病で。名寺はなんだっけ?事故?」
「バイクのな」
「苗字さんも事故にあって、幸野さんは行方不明で学校休んでたじゃん?」
そう問いかけた彼に私は首をかしげる。確かにそうである。まぁ,私はその期間に違う世界に行ってこの世界のデイヴィッドではないデイヴィッドと仲良くしたりしていたのだが。
「まどろっこい。いた部隊を聞けばいい話だろう。俺はダイヤモンドドッグス、とんで、狐狩り部隊だ」
私はその言葉に固まる。彼は今なんて言った?その並びでの狐狩りはFOXHOUNDではなかろうか。
「せっかちだなぁ。俺はシアーズプログラムからのフランス外人部隊を経て失楽園入りした」
「えっ……えっ!?二人ともいたの!?あそこに!?無事だったの!?」
「知らん。蜂起に参加はしたが死んだ」
「俺も俺も〜!バイク横転した!」
無邪気に告げる内容ではない!わけである。二人の視線がこちらにむく。
「あたしは軍じゃないよ。フィランドソロピーでおた……博士の助手してただけ」
あたしはそう言って苗字さんをみる。苗字さんは待ってくれ、と私達に告げる。そうして色々飲み込んだのか、一度ぎゅっと目を伏せて、深呼吸をしてから私たちをみた。
「君たちも同じようなことが……?」
「苗字どこいたの?」
「……陸軍からグリーンベレー、とある人の師事をへてxofという部隊だ」
「やべぇ人がいたよ。いつまで?」
「彼女の代わりに死んだ。白い花畑で」
彼女はサラッと告げる。私はそこで理解した。恐らく彼らもそうだ。あの世界は少し道筋がずれていた。本来白い花畑で死ぬはずの人は違う場所で死に、彼女は汚名を被らず誰か他人がその汚名を被っていたからだ。そして、いないはずの人達の存在も理解できる。恐らく彼らは彼女がそのいないはずのどちらかだと思っていたのだろう。オリジナルとは思わない。確かにもし彼女の遺伝子をつかったのか、面影はある。私たちの表情をみて彼女は自嘲的に笑った。
「彼らの道筋を変えたかったが、できなかったらしいな」
そう言った彼女に私は何も言えなくなる。彼女の気持ちは理解できた。確かにザボスの代わりに自分が死ねば、ビッグボスはアメリカにいたのではないかと思ってしまうきはする。ただ、私は一つだけ言える。
「その人ね、苗字さんに答えを言いに行けるっていってたよ」
「……そうか」
彼女はそこで困ったように笑うと、で、と話を変えた。
「どうするんだ。見たところ、これは完璧に実力を計りにきてる」
そう言ってフィールドをみる。はたとり合戦みたいなものだ。きゃっきゃいいながから周りはこなしているが。
「下手に動けば実働体に組み込まれる。私たちが異常なだけで他はそうじゃない」
「あー、これは多分俺と名寺のせいだな」
「何したの?」
「サバゲー好きを理由に混ざって訓練受けたりなんぞした」
そうグッドサインをした二人に、私は何してんの!と怒った。苗字さんはため息をつく。
「まぁ一番トップが落ちてきたところをみているから警戒はしないと言っていたし、大丈夫だとは思うが」
「あたし使い方すらわからないんだけど」
「幸野さんは、オペレーターでいいだろう。私は幸野さんを援護する。自分で蒔いた種だ二人で頑張れ」
サラッとそう告げた苗字さんに、二人はオッケーオッケーと頷いた。不意に苗字さんはどこかを見つめる。視線を追えば、若オセロットが苗字さんを見ていたらしい。
「仲良いのか?」
「いや。監視されてるだけだ」
何したんだろう苗字さん。とは思ったが、私はあの世界を考える。あの世界において、オセロットが手放さなかったもの。デイヴィッドが持つことになり、恐らくサニーちゃんが持っているもの。
「苗字さん、あの世界でさー、銃あげたことある?」
「……?あぁ、養父から私にもらったSAAを山猫さんにあげた」
彼女の台詞に、私達は彼女をみる。彼女は首を傾げたが。私は顔を覆う。はいはい,ビッグボスが指摘して苗字さんが渡して共同作業育成、そういうことね、と。
「え?つら……」
「……?何が?」
私の言葉に彼女は首をかしげる。
「朴念仁だ」
「これは恐ろしい朴念仁」
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好きなものを選べと言われてもあたしは選べないわけでして。扱ったことないし、と言えば、男子二人は各々好きなものをとり、苗字さんが残ったリボルバーと拳銃をとった。わからないのならそのまま判らない方がいいとは彼女の言葉である。慣れたように装備を整える彼らに、彼女はそのまま武器を見た。
「苗字さん邪魔ならもっとこうか?」
「いや、元々こうだから気にしなくていい」
彼女はそう言って、一つを胸元のホルスターに、もう一つを足のホルスターにつける。元々とは?と首をかしげる。はたとり合戦だ。夜ご飯のメニューが決まる系の。そのうちに違うグループではあるものの、数人が七篠くん達の元に集まった。
「苗字さん、幸野さん、どう思う?」
「舐められてるから適当に舐められて終わるべき。実戦に組み込まれる」
「いやでも晩御飯がかかってるじゃん?」
そう言った七篠くんに苗字さんはためいきをついた。
「……身軽な部隊を背後から回せ。正面は粘れ。ただ、少年兵のような命を捨てる方法はやめろ。今回は死なないが、癖がつくとだめだ」
「じゃあ名寺、正面頼むわ。俺数人連れて背後取ってみる」
「わかった」
「苗字さんと幸野さん適宜指揮と情報頼むわ。入ったら無線する」
「私は他も見る。幸野さん頼む」
「はーい」
「何次防衛戦までひく?」
「最初は前に構えておく。無謀な学生だと……いやああみると普通の学生が先にバカをする。七篠くんの侵入確認後、君達が有利な場所にひいて狩れ。あと君たちが旗を一つ持っておけ」
苗字さんの言葉に名寺くんは分かってんじゃねぇかとニヤリと笑った。二人とも違うチームに話しかけていく。周りが何言ってるか判らない風なのはフランス語だったからだろう。彼女が私をみる。
「君も旗を一つ持て」
「えっ。苗字さん、面子見てほしい」
そう言って私は大人チームのメンツを見る。蛇が4分の3いるんだけど。まぁ流石にオセロットさんとか副司令とかはいないっぽいけど。
「彼らは私が持つと考える可能性が高い。適当にこの中に他のフラッグを撒いてくる。一人は回収に充てるはずだと思う」
「苗字さんはどうするの?」
「私は周りを見てどうするか考える。最悪、この前全裸で喧嘩していた人を止めるか何かする。君のところで君が旗が持っていると分かった瞬間、君は降参しろ」
そう言った彼女はそのまま敷地を歩き出す。
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はわわ。と思ったのが、ネイキッドさんの部隊ががこちらにきた瞬間、苗字さんが自分のコートを投げて、それが落下していく中相手の顔が見えた瞬間早打ちで彼らをしとめたからである。部隊壊滅したんだけど。強っ。向こうもびっくりしてるじゃん。ネイキッドさんだけ避けたけど。
「……あと十分か……」
彼女はそう言って時計を見て窓を乗り越えて広いところに誘導していく。彼女は景色を眺める。彼は無線を受ける。多分あと一つ旗がないとかそういうやつだ。恐らく彼女が持ってると判断した周りには悪いが、私が持ってるんだな実は。めちゃくちゃ心臓バクバクですよ。平静装うのは慣れたわ。
「無粋な場所ですが、できる限りお相手します」
彼女の言葉に大人が笑う。彼相手に無謀だと。勇気があると。ただ、両手に銃を持った彼女の弾がつき、彼も弾がつきーー彼と似た構えをするころにはそれはなくなったけども。
「俺の勝ちだな」
と告げた彼に、彼女は「いいえ」と告げる。
「私達の勝ちです」
その瞬間、周りにアラームが鳴る。びっくりしたらしい彼に、彼女はふは、とわらった。
「この施設の時計はすべて送らせてあります。貴方達が子供騙しに引っ掛かるかどうかは運でしたが、引っかかってもらえてよかった」
そう言った彼女に彼はなんとも言えない顔をした。ふふ、と彼女は笑う。
「だが、最後の旗はお前が持ってるんだろう?」
「クラスメイトに聞きましたか?」
「あぁ、みんな恐らくお前だろうと」
「私ではありませんよ。もう一人管制塔にはいたはずです。彼女には自分の身が危険に陥った時に渡すように言ってましたが……貴方の仲間は随分と紳士的らしい」
その言葉にデイヴィッドさんがこちらをみる。私はそろそろと隠し持っていた旗をみせた。デイヴィッドさんがミスに気づいて頭をかかえ、周りがデイヴィッドさんをいじりにはしる。めちゃくちゃ申し訳ないが、彼が私はもっていないと勘違いした。それだけだ。それを無線で聞いたのか、彼は「末っ子」と恨めしそうに告げて彼女の隣にすわった。
「俺達は君に踊らされたわけだな」
「ただの子供騙しですよ。貴方達が子供だからと思ったからできたことです」
「情報を制するものが勝つ。俺たちは情報戦で負けた」
そう言ってネイキッドさんは彼女をみる。
「だがお前の早撃ちは見事だった。2丁拳銃の扱い方もな」
「……夢の中で養父に教わりました」
「変な話だな。夢の中で教わってできるものか?」
「今も夢の中みたいなものでしょう?」
彼女はそう言って彼を見た。彼は「今は現実だ。夢じゃない」とつげる。彼女は「そうですね」と言って困ったように告げると、また何もない場所をみつめた。
「今は、そう」
何かを思い出すように告げた彼女に、彼は覗き込むように「お前の名前は?」と尋ねる。
「ナマエです。苗字ナマエ」
「ナマエだな。俺はジョンだ」
そう言って差し出された手に彼女はまた困ったようにそれを重ねたのだが。
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懐かれたと言えばいいのか。とりあえず色々思うところがあるので撒いて、一人になれる影のところでぼうっとする場所をさがす。まぁ結局エンドさんのそばが落ち着くので、そばでじっとするかオウムと戯れているのだが。ちなみに、だいたい彼は寝ていて、起きていても私をチラッとみてサンタのように笑うだけであまり会話はしない。恐らくある程度地位があるので寄ってくる人は少ない。私が勝手に懐いているに近い。三角座りをして蹲るように目を伏せていれば、まぁ、目の前にコーラ瓶が現れて驚いたが。わっと声を出せば、目の前にいたフィアーと呼ばれた彼はカラカラと笑ったが。
「ジ・エンドのそばが気に入ったか?」
「……彼は静かなので」
「確かに最近お前のそばは騒がしいな」
立ち上がった彼にそのまま視線をそちらにうつす。なるほど原作で言うところの全員勢揃いしているのを見ると、何が演習予定だったのだろうか。あの世界ではなくなっていたアダムスカの父親も生きている。その中にかつて養父であった存在をさがしてみたが、やはりいない。彼もまた介入者だったのだろうか、と考えたところで、思い出す。たしかソローと言われる人は心が読めたはずなのだ。そちらをみれば彼は微かに眉間に皺を寄せた。敵意はないので困った顔をする。ただ、知っているだけだ。彼は目を瞬いただけだが。となりにいたお爺ちゃんがまたふぉふぉとサンタクロースのように笑った。
「いつも迷子みたいな顔をしとるお嬢さんじゃ」
「……そんな顔してます?」
「あぁ、今もしとるよ」
彼はそう言って笑う。フィアーさんはそれをみて口を開く。
「帰るところを無くした子供のようにも見える」
「帰るところ」
私の帰るところはどこなんだろうか。本当に私が帰る場所は彼彼女達と同じ場所なのか。彼らのいうとおりだ。私が本当に帰りたい場所はもうない。フィアー、と咎めた師と同じ名を持つ彼女は私をみると抱き寄せる。
「大丈夫、きっと帰れるわ」
その言葉に目を伏せる。ありがとうございます,と告げて、彼女を心配させないように笑うしかできないのだが。
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苗字さんの周りに人が増えた。遊び半分だった学生達も帰れないことで焦りが出てきたんだろう。その中で、彼女は変わらないからだ。そして雑用係をしていたことで大人との関わりもある。七篠くんも名寺くんも、あくまで戦う人だ。同じサバゲー仲間,そしてそれに加わった人達に関しては面倒を見るが全員をきにかけるわけではない。それに対して彼女はなんとなく周りを見ているのか、はたまた天性のものなのか、一人になっている子や相談を聞くことがたたあるようである。彼女が仲介して医療班の一員として働き始めた子もいれば、食堂で働き始めた子もいる。彼女から私を介して研究班に所属した人もいる。彼女のもとでそれぞれが役割を見つけていき、彼女を慕う人が増えたというわけだ。あの人ガチで朴念仁とは七篠くんや名寺君の話であるが、私もそう思う。まぁ私達は確かに彼女と関わりが深くなったが,彼女はたまに一人になりたいのか、ふらっとどこかにいたりするのだ。ネイキッドさんが彼女をさがして研究班にくるのも珍しくない。私といえば、デイヴィッドさんに何かと絡まれるようになった。ぶっきらぼうな口だけ番長、根は善人と言えばエメリッヒ博士に爆笑されたが。
ーー現実を見ている人と、夢見心地の人の溝が深くなってきている。
今で大体半分半分くらいだろうか。いや、多分夢見心地よりも現実を見ている人は半分を超えた。何人かはもうどこかへ所属している人に手を引かれて、または彼女に相談して自分のできることを進んでしていた。それにネイキッドさん達が彼女を気にかけ始めたこともある。だから、夢見心地の人達は苗字さんを敵視しているのがみてわかる。だから余計に彼女は無関係であるジエンドさんの隣で時間を潰しているのだろう。
「幸野さん、あとで少し時間を取れるか?」
「大丈夫だよ。何かあった?」
「いや、確認したいことがある」
彼女はそう言ってまた後でと言って席を外す。私はうんと頷いて彼女の背中を見つめた。
「帰れると思うか?」
夜である。空いている部屋で、彼女は開口一番にそう告げた。彼女と私、名寺君、七篠君というメンバーである。名寺君が即答した。
「知らん。が、帰れない可能性の方が高いだろ。どう考えても」
「俺も無闇に周り刺激したくないから黙ってたけど無理だと思う」
「私は違う世界に行けてもそれが私達と同じ世界だという確証はないと思う。それに加えて安全に渡れるかどうかなんてわからないしね。ザ・フライみたいになっても嫌だし」
「渡れたがいいが、違う世界は怖すぎるなぁ」
七篠くんはそう言ってなんとも言えない顔をした。帰ったと思ったらサヴァイブ世界とか一番嫌なパターンと言った彼が一番シリーズをやりこんでいる可能性はある。
「苗字さんは?」
「私はある程度大人が尽力しているなら彼らの言葉は信じるべきだとは思う。だが、最低なケースを頭に置いておくべきかと思ってみんなに集まってもらった」
彼女はそう言って、そうか、違う世界に帰る可能性もあるのか、と呟いた。おっと違う心配事をふやしてしまった。
「何話す気だったんだ?」
「最悪なケースの場合の最大の問題点があるだろう?」
「最大の問題点?」
「私たち全員に現状国籍がない」
「フランス外人部隊入隊国籍取得RTA始まるなこれは」
七篠くんがそう言ってケラケラと笑った。それは私は無理なやつである。
「それは君たちは可能だろうが他はそうじゃない。この年だと多くの孤児院は受け付けない。私たちは戦争孤児でも難民でもない。私たちは身寄りがないまま世界に放り出される」
確かにそれが現実的だろう。
「ここで働かせてください、は?」
「かけあってはみれるだろうが、この組織、詳しく話を聞いたわけではないが紋章を見るに国連が噛んでる。そうなると難しい」
「マジかー」
そう言って七篠くんは椅子にもたれてる。私も同じく項垂れる。名寺くんが「あとは進学するにも戸籍を買うにも金はないな」とつげた。それはそうだ。名寺くんは頬杖をついた。
「まるで漂流教室だな」
「あぁ,それに近い。まぁ文明がある世界、尚且つ似てる世界だからマシだが」
「てかさー、これ,戻らなかったら俺たち死亡扱いだと思う?」
七篠くんが回転する椅子でくるくる周りながら告げる。
「俺たち、あの世界から戻ったから、今生きてて夢オチくらったじゃん。今回飛行機移動中だし、こっちにきてないやつも大勢いるわけじゃん?」
私は死んでないんだよなぁ,とは言えない。でも、私も区切りはちゃんとあった。名寺くんが七篠君の椅子を足で止めた。
「あの時はガキになってたから違う理由じゃないのか?」
「考えてみれば、理由も不可解だな」
「お、俺の父さん候補じゃん」
開けられている扉の方から顔を覗かせたのはソリダスと呼ばれる男性である。父さん候補?と首を傾げた私たちであるが、気にしていないらしいソリダスさんは私たちをみた。
「問題児が集まって何してるんだ」
「えっ」
私も問題児……?
「帰れなかったらどうするか話してたんだよ。父さんこっちきて帰れなかった時どうしたらいいか考えてほしい」
そう言って手招いた彼にソリダスさんが仕方ないなと言いながらやってくる。
「どんな話を?」
「国籍がないことや身寄りがないという話をしていました」
「金がないから国籍も買えねーしな」
「現実が見えているようだ。そうだな,お前たちには国籍も身寄りも金もない。裏稼業をする人間には非常に都合がいいが」
そう言った彼に私は首をかしげる。苗字さんが答えた。
「どこで何をしても何をされても証明できないからですね」
「あぁ、そうだ。だからこそ、ある程度整うまで無理には放り出さないだろうがな」
「俺たちには居場所がない。居場所があるとしたら」
「天国の外側」
そう言ってヒャッホーウというふうにハイタッチした七篠くんと名寺君になんとも言えない顔をする。彼女はそれに困った顔をした。ソリダスさんが不思議そうにする。
「天国の……?」
「いや、こちらの話です。そう言った話があるだけ」
彼女はそう説明する。
「逆にお前たちに何か心当たりはないのか」
「ない。こっちの方が科学力低いしな」
名寺くんの言葉に私は頷く。確かに私達のほうがどうあがいても科学力がひくい。ちょっくらハッキングしたがどこもかしこもここまで科学力は持たない。メタルギアなんて夢のまた夢だ。
「そもそも何があった?」
「民間の飛行機乗ってたらダウンしてコレ」
七篠君の言葉に私はああ確かにそうだったと思い出す。と、なるとやっぱり私達は死にかけだからこの世界に来たんじゃないか?と思うわけで。ソリダスさんは少し考えて、ならお前たちは戻った方が地獄だな,とつげた。私は首をかしげる。彼女や名寺くんは、そうかもしれません/そうかもなとだけ告げたのだが。
「でも、今生きてるので希望はある。帰りたい子達は帰らせてあげないとかわいそうです」
彼女はそう言って彼を見た。ソリダスさんは問いかける。
「他人事のようだ。帰りたくないか?」
「……私は……」
わかりません、と告げた彼女の声は珍しく消え入りそうな声だった。
結局、最悪の場合はこの組織の上部が動くという話でまとまる。私も帰りたいかと言われたら、ちょっと考えてしまうかもしれない。もう慣れてしまった寝台でそう考える。私がいるべき場所はどこなんだろうか。
category:君僕主if(mgs)