ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳2:現代にいる中華組が飛んだ
08/12 14:11
・多分遠呂智的な世界
あぁ、またこの夢だ。沈んでいく体、水面にみえる赤い光。そうして私はつぶやくのだ。きれいだね、にいさま、と。
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バカだなぁ、このおっさん。俺はそう思いながら上司を見る。近くにいた陸治さんも馬鹿がよ、と小さく舌打ちをする。
「いいか、お前たちは我が子房をさがせ!!」
さっきから同じことの繰り返しであるが、おっさんはそう言ってそのまま陣の奥に引き返していった。俺は横にいる陸治さんを伺った。陸治さんといえば、ガシガシと頭をかいているのを見るとイライラしているのがわかる。近くにいた君主組が俺たちを見たが。
「我が……子房?」
「俺たちはアンタ達より後世の人間だからな、どこぞの誰かがそう言った記録があってなぞってるんでしょう」
陸治さんはサラッとそう告げる。まぁ、その人が恐らく曹操殿なのだが。
「手元においときゃいいのに、アイツが左遷したんだから自業自得だろ」
「いやでも、李子さんきたらかなり心強くない?」
俺の言葉に陸治殿がそれはそうだが、と眉間に皺を寄せた。孫堅殿が口を開く。
「何かあるのか?」
「アレの餌食になって可哀想だろ」
陸治さんはそう言っておっさんが入っていった陣幕をみる。
「李子?」
「ええと、俺たちの軍の軍師で軍医です」
「アイツの性的な誘いを断って、地方に左遷された奴だ。出世のチャンスを逃しただの偉い方がいってたが、李子殿は出世に頓着する奴でもない。飽きたらくるとか言ってたが、地方で穏やかに民の相手してる方が好きなんだろ」
陸治さんの言葉に周りが眉を顰める。それはどちらに対してのことかわかりかねるが。孔明さんが口を開く。
「軍医、とは?」
「あれ、いない?金創医ってなかったっけ」
「信長殿あたりの文化だな。俺たちの世界では、兵士の生存率を上げるために軍内に医者や傷の手当てなんかができる衛生兵ってやつがいるんです。李子殿は軍師としての才も軍医としての才も高く、護衛などの軍務もこなせる優秀な方ですが……」
陸治殿はそう言って腕を組む。性格に難がある、か?と曹操殿が尋ねた。
「いえ、違います。美少年に見える女性です」
陸治殿の言葉に俺は確かにそうと頷く。まぁー、軍内には陸治殿のファンクラブみたいなものもあるが、李子殿のファンクラブみたいなものもあるのである。あとは人当たりもいいため、対外的なものには駆り出されたりしていたのだ。美少年に見える女性、と繰り返した周りに、陸治殿が頷く。
「まぁ、会ってみたらわかると思いますよ。巻き込まれてるかはわかりませんがね」
「あー、端末がないから居場所わからないのか」
「そのうち噂でもたつでしょう。李子殿を探すなら気長にやったほうがいいし、俺たちが助けに向かうより他が助けに行った方がいい」
「それは何故ですか?」
「李子殿は義理堅いですから、助けた勢力に力添えするでしょう。あのゲス野郎の元に行かせない方がいい」
陸治殿はそう言って眉間に皺をよせた。ここで暗殺した方が後の世の為になるとかこの前言ってたしな。
「士官先を変えては?」
「そうはしたいが、俺や坊は国に家族を握られてるようなものでしてね。その点、李子殿は家族がいないから自由に動けます。それかあなた方が長としての振る舞い方を叩き込んでくださると助かるんですがね」
それか于禁殿の下につけるか、甘寧殿の先陣に入れるか、関羽殿にしごいて頂いても助かります。
陸治殿はそう言って肩をすくめる。俺も頷く。確かにそれはそうである。
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目の前に現れた人に、陸治が告げた「美少年にみえる女性」という表現は正しいと荀攸は知る。魏の領内で腕が良い医者の話を聞き、また近くで暴れた妖魔達を討伐する際に助力したのがそのような人物だった。寵沙や陸治といった人物達と同じような衣服をきている。違いと言えば、二人が赤や緑色という差し色を使っているのに、目の前にいる人は青い色を差し色に使っているくらいだろう。簡素にまとめられた髪は簪で止められてはいるが、確かに美女や美少女というよりかは美少年という表現が似合うのだ。まるで荀ケ殿を少し幼くしたようなーー。
荀攸の視線に気がついたからか、当の本人は何か?と首を傾げた。彼女の人当たりの良さそうな雰囲気は郭嘉と似ているといえよう。
「いえ……じろじろ申し訳ございません。もしや、あなたが李子殿、でしょうか」
荀攸がそう尋ねれば、彼女は不思議そうに荀攸をみる。
「私の名を?」
「ええ。陸治殿や寵沙殿から、『美少年のような女性』を見かければ貴女だと聞いており……また、先に他の陣営で保護してほしいという旨を聞いております」
荀攸の言葉に、李子という人物は目をぱちぱちと瞬いた。恐らくよくわかっていないのかもしれない。これは説明した方が良いだろう。
「説明をいたしましょう」
「それが助かります。よろしければ、私の職場にお越しください。傷の手当てもいたしましょう」
「いえ、これくらいは」
「ふふ、ちょっとした口実です。お疲れでしょうから、少し休憩してからお帰りください」
李子はそう言って、こちらです、と手招いたので、荀攸はそれに続いたのであるが。
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「あの方が曹操殿のような方なら良かったのですがね……私はもとより家柄があるわけではなく、孤児ですし女なのでああいった誘いはよくあるのです」
李子さんはそう言ってはっきりと言った。
「左遷された今も、やれ共に寝れば本隊にもどしてやるからなんやらと言われて困っていました」
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李子さんが重い人ほいほいしているのを陸治殿とみる。いやぁ、李子さんはよく重い人に好かれることが多々あるのだ。馬岱殿とか徐庶殿とか法正殿とか徐盛殿とか荀ケ殿とか。しかしながら、隣をよく陣取っているのが郭嘉殿である。まぁ李子さんからすれば病人が出歩くなと言う話なのもあるだろうし、郭嘉殿はわざとそうしてる感はある。
「ほらまた貴方は無理をするからそうなるんです」
そう言ってぷんぷんしている李子さんに、郭嘉殿が李子殿が見てくれるからね,と笑ったが。
「笑い事ではないのですよ。言うことを聞かないのであれば、曹操様に談判して私のところに隔離させます」
「おや……それは魅力的なお誘いととってもいいのかな?」
2025年ネタ帳3:懸かるも引くも 1 (中華組と刀剣?)
「あぁ、なるほどね」
そう告げたのは役人である。高校の時に必ず受ける何かしらの適応試験。私は何故か大多数が受けるはずの筆記試験は受けずに、直接面接のようなものを受けている。噂に聞けば、これは審神者という歴史を正す役割を担う者の素質を見極めるために行っている。らしい、といいたいのだが、最初に噂の話を絡ませて話したところ、肯定されてしまった。まぁ仙人が世界を超えられるのであれば、そういうこともできるのだろう。
目の前にいる役人はどこぞのモデルかと思うくらいに綺麗な男性だった。銀色の髪をして、スーツを着こなした役人は、私の情報が書かれたバインダーをみて、冒頭のセリフをつげたのである。私は首を傾げる。彼が何に納得したかわからなかったからだ。
「昔の話だ。修正主義者が、いく百人かの子供を過去に連れ去った。現代の子供を過去に落とすことにより、過去の改変を狙ったんだ」
彼は独り言をいうかのように口を開く。
「結果は失敗。多くはその時代に適応できずに死にーー生き残った子供も未来を変えるまでには行かなかった。時代の修正力の方が強かった、と言うことかな」
わからない話ではない、ので、私は黙ったまま彼の話に耳を傾ける。
「こちらで保護ができた人もいたが、それは2割にもみたない。多くは現代に戻ることはなくその時代で死んだ。ーーが」
そこで役人は初めて私を見た。
「どうやってか自力で帰ったものが、ほんの数人だけ存在する。君はそれだね」
「そちらの紙に書いてありましたか?」
「君が該当する期間から数年行方不明になってーー戻ってきていることはね。その帰還に我々が関わった記録はない」
「なるほど」
「どうやって戻ったのか聞いても?」
「話しても良いですが、頭がおかしい人だと思われそうですが」
私はそう言って困った顔をした。事実、私はそれを話したことがあったが過酷な状況下にいたことによる妄想で済ませられている。
「……端的にいえば、確か仙にあい、仙の方の力で戻りました」
そう少し考えながら告げる。せん、と繰り返した彼に私は頷いた。
「仙人、と言えばわかりやすいでしょうか」
彼はその言葉に思考を働かせるようだった。私は訂正する為に口を開く。
「そもそも、私が飛ばされた過去というものは日本の過去ではございません」
「ーーというと?」
「後漢末期、すなわち三国史と呼ばれる中国の過去でした」
私の言葉に彼は目を見開く。そうして、詳しく聞いても?と尋ねた。
「今でも夢に見るほど覚えています。目が覚めたらどこか知らない場所でしたので、両親を探し彷徨っていたのですが、野盗に襲われました。恐らく他の子供もそうなのでしょう。私は運が良かっただけです」
そう言って目を伏せる。
「誰かに助けられた?」
「ええ、高貴な身分の方と、その親戚の方に。その時は名乗られませんでしたが、施しをうける際、二人で話されているのを聞き字を覚えました」
「字はなんと?」
「孟徳」
「まさか、曹操?」
「ええ。その人でした。私はその時よくわからなかったのですが……その数日後、水鏡先生……司馬徽殿に出会うことができ、彼の門下になること、彼の屋敷への滞在が許されたのです。そして、そのまま男として門下に入りました」
「何故?」
「その頃には、なんとなく過去に移動していることは理解できていたので……現代の女性の価値観を持つ私が、馴染めると思いますか?」
「難しいかもしれないね。異国なら尚更だ」
「はい、私もそう思いましたし、何よりーー私は女として家を守るよりも、助けていただいた方の力になれるよう勉学を積むことにしたのです。まぁ、そこでできた友人と切磋琢磨したり、武技を教えてもらう代わりに勉強を教えたりとしていましたが」
「しかし、水鏡門下となれば、蜀ではないのかい?」
「私の友人の三人はそちらですね。一人は途中で同じ所属に来ましたが……私は途中で穎川から来た戯志才殿と知り合い、彼の養子にという話になりーー穎川にでたので。そこで兄様達にあった」
「兄様?」
「荀ケ殿、荀攸殿、郭嘉殿です。戯志才殿が亡くなってからは郭嘉殿の元にいました。彼が曹操様に仕官したあと、彼に紹介されるように仕官しました。そこからは忙しくも充実していましたね。郭嘉殿の補佐もでしたが軍師の方々と働いていましたから。でも、ある日、知らない方に薬を渡されました。現代の。郭嘉に飲ませれば、彼の命は繋がると」
「ーー貴女は飲ませた?」
「いいえ、受け取りましたが、使いませんでした。郭嘉殿の生き方に反するので。何度も使おうと思いました。私は彼が死ぬ前、そばにいることを許された人間でしたので。というか、本人に聞きました。いらないって言われましたね」
そう言って私は困った顔をする。
「どうして?」
「先が短い私のために使うのではなく、貴女が飲みなさいって。まぁその後郭嘉殿が亡くなり、私は彼の代理を任され……赤壁は友人達への後手に回りすぎて負けましたけども」
ふふ,と笑う。
「と,なると君はかの有名な生き延びたのか」
「いいえ。私は赤壁で曹操様を逃す為、船に残ってーー川に落ち沈んだ。本来ならばそこで私は死んでるはずだった。でも、目が覚めたら違う場所にいました」
「違う場所?」
「なんでしょうね。仙人が自分を殺してもらうために時を超えて死者の霊魂までも集う場所,と言えばいいのか……そんな記録もなく、ただ、ぼんやりとした記憶だけがあるなのですが……その世界が崩壊する際、仙の方々がそれぞれが正しい時間にもどれるように術を使われてーー戻ってきました」
困ったように笑って、目を伏せる。何か色々と思案していた彼が、私をみた。
「戻りたくなかったのか」
「ーーそうですね。本来、この国で育まれるはずの愛国心を、私はそちらに置いてきてしまったので」
恐らくこう言えばこの国の役人である彼は手を引くだろう。しかしながら、彼はなるほど君の事情は分かった、と笑ってうなずいて、いつでも連絡が取れるようにしておけ、というのであるが。
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泣かせたいわけではなかった。でも、俺が「もう関わらないでくれ」と告げた時、彼女は目を見開いてーーすぐに飲み込んで、わかりました、と頷いたのである。元直がそう望むのであれば、と。
その改変を正すのは難しかった。政府は最初こそは改変を正そうと躍起にはなっていたが、途中で諦めたに近い。まぁ結局は晋は統一したものの、過程が違いすぎた為、そこで世界が潰えーー放棄された世界である。何人かの歴史修正主義者が、各勢力にいて時代が入れ替わるように悪さをするのである。その一人があの女性だった。女性というのは前情報があるからこそ分かったことで、ぱっと見美少年のように見える。魏軍の軍師の補佐をして、郭嘉殿の代理になって、入れ替わった俺と合流した孔明や士元によって赤壁で彼女は死んだのだ。正史よりもかなり犠牲を抑えた形で。以降、なし崩しである。各勢力に一人ずついたが、一番悪かったのは彼女なのだろうーーと思っていた。俺が現代に戻ると同時に体の所有権というものは、その当時の俺に戻る。孔明曰く、あの世界の俺は何度も赤壁の地に足を運び、彼女が死んだとは信じずに探していたらしい。自分でも健気なものだ、とおもう。しかし、同じように様子を見に過去に行っていた郭嘉殿が眉間に皺を寄せてこう告げたのだ。
ーーあの子はただあの時代を必死に生きようとしていた子供にすぎない、と。
郭嘉殿はどうやらあの時代の、あの世界の自分と対話したらしい。死ぬ前だからできることかもしれないね、と告げていたが。その中で彼女の情報を事細かにまとめたのが彼だったのである。その報告書を読んで、新たにログを確認してみれば、そこより十数年前に確かに微かな異変が感知されていた。子供一人、迷い込んだような、と荀攸殿が告げていたが、彼女の歳を逆算すれば確かに子供時代に迷い込んだことになる。5、6歳となれば恐らくは何もわからないくらいだろう。あれらの改変は悪気があったわけではなく、本来早急に保護されるべき現代からの迷子があの時代を生き延びようとした結果、彼女はそうしていたということである。俺や孔明、士元といった水鏡門下や、郭嘉殿達魏軍師とよばれる彼らと仲良くなったのは、未来を改変するためではなく、本当に流れで仲良くなっていたのだ。あの世界の俺達は、いや、俺は、紛れもなく彼女の友人であったのである。それを俺は歴史修正主義者だと思い込み突き放したのだ。彼女はきっと泣きたかったはずだろう。しかし、きっとあの世界の俺の事情を飲み込んで、了承したのだ。友達だからこそ。現代に帰るべき彼女を俺は殺したのだ。
「徐庶殿、あの世界のことなのだけれどね」
その言葉に俺は数字の羅列ーーログの画面から郭嘉殿を見上げる。彼の告げるあの世界とは彼女のいた世界を指す。
「正常化したよ」
「えっ……もう放棄されてませんでしたか」
「それが、どうやら巨大な力をもつ修正主義者の介入が発生したようでね。まぁ、あの世界の全部の世代の君主や将、軍師が一つの別の世界に集められたようなのだけれど……」
「えっ」
「なかなか面白い世界だったよ。日本の将もいたようだし……あの子も赤壁で落ちた後にそこに集められたみたいだね」
郭嘉殿はそう言ってコーヒーを飲む。その動作さえもまるで俳優のようだ。
「もちろん、そんなめちゃくちゃな世界が続くわけはなく、滅びかけたのだけど……仙人達の介入したらしい。それぞれが正しい時間に戻り、あの子たちのいた痕跡は消えた」
「ーーということは」
「あの子たちは現代に戻った。きちんと生きて、ね」
彼の言葉に、俺は目を見開く。
「徐庶殿の後悔は終わり、というわけだ。あまり根を詰めて仕事しなくていい……というよりは、正史により近くなった結果。もしかしたら他の時代で起こった記憶の融合が起こる可能性もある」
「記憶の融合……」
「夢であの世界の自分の人生を再体験、という形らしいけれど……だから今日は我々は帰宅、というわけだ」
そう言って郭嘉殿はお疲れ様と言って俺の肩を叩いた。郭嘉殿といれ違いに士元と孔明が同じ通達を持ってやってきたが。
ーー夢をみる。元直、何を言ってるんですか、と、あの子が笑っている夢をみる。また無理をして、と、怒っている夢をみる。あの子が連れていかれる夢をみる。そうして。
「ナマエ、どこに……頼むから生きててくれ……謝りたいんだ……」
あの子を探す、夢をみる。何年も。何十年も。頼むから、生きていてくれ、と俺はずっと願うのだ。
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