ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳3:懸かるも引くも 2 (中華組と刀剣?)
08/12 14:12
まぁ、全ては計画通り順調、というわけだ。私はあの方と同じ魂を持つ人の前にいる。目の前にいるのはいつかの妖魔である。なぜ現代に現れたのかは見当もつかないが、ろくでもないことであるのは間違いない。とりあえずこの場は制圧できたが、調べることは山ほどあるのだ。
「お主は……」
「……ご無事でようございました」
そう言って少しだけ笑みを浮かべる。
「妖魔の数が増えるやもしれません。もう少しお待ちください。破られた結界の箇所を探しております」
私はそれだけ告げて術を展開する。現代のログに異常が発生しているものの、ここは結界によって守られている。ピピっとなったのでイヤホンに指を当てる。はい,と言えば、同じ部隊の人からの着信である。地図を同時にひらけばなるほど妖魔はほとんど討伐されたようだ。
「李子さん、こちら寵沙!修復箇所見つけたから小明が修復したところ」
「かしこまりました。済み次第合流しましょう」
「こちら陸治。他二人とあらかた掃討はした」
「そちらから南にまだ少しいらっしゃいます」
「りょ!向かいまーす!」
「何が起こってるかわかるか?」
「ログを見る限りエラーが止まりません。日本で起こったことと似た現象でしょうね。対象者をまとめて、というところでしょうか。各々終わり次第合流いたしましょう」
そういえば彼らは肯定をしめして、通信が切れた。私は術を使うのをやめて、あの方、たちに振り返る。
「念のため、この部屋に結界を貼らせていただきます。こちらから出ない限りは大丈夫でしょう。別の経路にて貴方達をお戻しいたしたい、のですが……」
「お前は何者だ?」
あの方の付き添いがそう告げる。
「日本から派遣された部隊の者です。貴方達を守るために。誓って、敵ではございません」
「ーー何が起きた?」
その問いかけには答えていい。私はもう一度術を展開させ、文字を中国語にかえる。簡易体でないのは許して欲しいところです。誰かが、うわっ、と声を上げたあたり恐らくログを見れる人なのだろう。
「現代にて、多数のエラーが発生しています。そしてそれが前の世にも影響し始めている」
「ーー私たちは、ここで消されるはずだった、ということですね」
友人に似た人が口を開く。私は頷いた。
「本来であれば、貴方達と共に働く歴史に関与されない人々も守りたかったのですが、我々は新設された部隊ですので人数が少なく手が回らず……」
「日本でも同じことが?」
赤を身に纏った男性がそう尋ねる。
「ええ。去年あたりに起こったと聞いております。日本とこちらは違う方法をとる、ときいておりますが、結局は時を渡れる本人であったり術者をどうにかして仕舞えば済む話は同じです」
「しかし、何故日本が?」
「貴方達の文化は我らの国の文化にも影響を与え、貴方達の歴史は私たちの歴史と古くから関わっている。私たちのエラーが貴方達に与える影響は……貴方達より後世、それもほとんど影響がない。しかし、逆の影響は大きい」
そう言って私は日本のログに切り替える。平安以前から変わるため、色々とエラーが出ている。
「まぁ、ギリギリにかぎつけたため、打開が難しくはありますが……」
「我々にも先程のエラーを見せていただいても?」
そう言ったのは兄に似た人と、同僚に似た人だ。現代のエラーと、過去のエラーを並べて見せれば、彼らはそれを見た。
「これは興味深い。殿達三人子供のころで暗殺されてますよ」
「笑い事ではないのでは……」
「なるほど、これがこうだからああなって、へぇー、これがああで……なるほどなるほど……。………。……………」
これはしばらくこうだな、と思う。現代側を見ていた兄に似た人が、眉間に皺をよせーーほぐした。
「諸葛亮殿、周瑜殿、貴方達も見ておいた方がいい。もちろん、郭嘉殿、貴方もです。このエラー量は解析の俺たちだけでどうなるものではありません」
そういえば、どれどれと人が集まるので私はそこから少し下がる。
「私たちが死んでいないが、死んだことになっている……?」
「陰陽術で一時的にこの空間を狭間に置いています。爆発などされては流石に皆様をたすけられず困りますので」
眉尻を下げてそう告げる。元にいた場所は爆発してるようです、と荀攸殿が眉間の皺をほぐした。間に合ってよかった。
「李子様!」
「李子さーん、終わったーー!!って、げ!みんな起きてる!」
入ってきた寵沙と小明がそう言って周りを見渡す。私は答えるために口を開いた。
「彼らは日本とは違い、記憶がある方がその当時の本人の体を乗っ取る形をとるようですので耐性があるんでしょう」
「……?」
「貴方が好きなゲームに例えれば、レイシフト耐性が全員にある、と言うことです。このような事件の場合、我らの術で場所ごと移転するため、耐性のない方は意識を失ってしまわれますが、私たちのように耐性があるのであれば、このように起きていることが可能です」
そう説明していれば、他の方も無事に辿り着いたらしい。
「あれ!?みんな起きてる!?」
「みんなレイシフト耐性があるから起きてるらしいよ」
「なるほど!」
「李子殿、ここから移動した方がいい。狭間の世界とはいえ、よくないもんが寄ってきやすい」
「それもそうです」
私は頷いて、彼らをみる。
「皆様揃われていますでしょうか。場所を移動し、きちんとした場所でお話しいたしましょう」
そう説明すれば、あの方に似た人は目を伏せて、よかろう、と頷いた。
「このままここにいても破滅を待つのみよ。しかし、お主の名くらいは聞いておきたいがな」
「失礼いたしました。私の名は……李子、と申します。第0実働隊に所属しております」
「李子?本名か?」
「いいえ。私の国で私たちのような業務にあたる人は、人でないものを使役する為に、名を知られてはいけない、本名を名乗ってはいけないという決まりがあるのです。しかし、李子というのも、始まりこそは張三李四(なもなきひと)をもじったもののーー今となっては私の半身のような名ですので」
そう言って少し笑う。彼は少しだけ目を見開いたものの、そうか、とそう答えた。
「荀ケ、こちらは全員揃っておるな」
「ええ、こちらはもう確認できています」
「劉備、孫堅よ,そちらはどうだ」
「えぇ、準備はできました」
「こちらは大丈夫だ」
私は辺りを見渡す。群雄がいないらしい。
「他の面々ーー袁家や董卓と言った方々はいらっしゃらないのですか」
「うむ。そのあたりはわしからも詳しい話を話そう」
と、なれば理由があるらしい。確かに術で生存者を探してみたが、いなさそうである。ということで転移門を起動させる。桃の花びらが舞い込んでくる。ぴょんぴょんと跳ねてきたこんのすけ達が口を開く。
「主様、ご無事でしたか!そちらの方々が例の異国の方々ですね」
「担当者はすぐに参りますゆえ、中でごゆるりとおやすみください」
そう言ってこんのすけ達はぴょんぴょんと跳ねていく。わたしのこんのすけだけが、私に抱き上げられたが。
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私のいる場所は中華風である。というのも一緒に生活している陸治殿や寵沙、小明という面々は同じような世界にいるからだ。あとは役人や偉い人が話すそうなので、私は軍帽を脱いで庭園の石舫に腰掛ける。陸治殿には私に相性が悪い場所だと言われたが、私はこの場所が好きだ。水面に咲く睡蓮は枯れることをしらず、また桃や李の花も枯れることはない。現世でないからこそできる、季節が入り混じった庭なのだ。
「美しい庭だ。美しい人にはとても合う」
そんな声が聞こえて振り返る。そこにいた人は私の記憶の中にいる郭嘉殿に似ている。現代の服を着た彼は、私を見て少し微笑みを浮かべると私のそばに寄って、池を見た。
「見事な石舫だね。ここまで綺麗な庭にあるのは初めてみたけれど……うん、ここにいると本当に船遊びをしているようだ」
「話を聞かれなくて大丈夫なのですか?」
「他が聞くからね。一人くらい聞かなくても大丈夫」
彼はそう言って私を見下ろした。
「きちんと薬は飲めたかな?」
私は目を見開きーー息を詰める。花びらが舞って、記憶の中で兄様がつげる。その光景を閉じ込めるように私は目を伏せてた。
「……あの時に、連れ帰っていただけたらよかったのに、というのはただの恨み言ですね」
「いいや、貴女がそう思うのは当然だ。本来であれば、子供の貴方が紛れ込んだ時点で我々はそれに気づき、貴方を助けなければならなかった」
彼の言葉に私は目を開いて彼をみた。憂いを含ませた目だ。
「私たちは貴方達を助けることができなかった。あろうことか、貴方達を修正主義者と思い込んでしまっていた。貴方達はただ、見知らぬ世界ーーそれも乱世で懸命に生きようとしただけなのに」
歴史修正主義者と思われてるのは、仕方がないことだ。その時はこんなことが起こり得るなんて知らなかったからだ。仕方のないことです、と私は困ったように笑う。
「私は、異なる私の体を借りる時は最初こそ夢でやり取りをするけれどーーいつもある条件を提示していてね」
「条件?」
「1日だけ、病の症状を軽くするかわりに数日、体をかすんだ。何をしてもいい。曹操殿へ進言するもよし、街に出るのもよし。でも、あの私はーー貴方に似合う簪を引き取りに行った」
私はその日をよく覚えている。だって、ほとんど寝ていた彼があの日姿をくらましたから、探して、探して、ようやく見つけたと思ったら、簪を持っていて。私に贈り物だと言って。その日はずっと体調が良くて。その日がずっと彼が起きていられた日で。たまに、かれは簪をつけているか確認してくるから、私は毎日それをつけて。
ーー泣きそうだ。あの時を思い出して。
その簪はまだ私が持っている。元の世界に戻った時、それだけが私があの場所にいた証明で、それだけがあの人達との絆を示すものだったからだ。今も私の髪を飾っている。
いけない、と、思考を切り替える。
「ーーでは,あの後、数回混乱したような兄様がいたのは貴方が入り込んでいた、ということですね」
「……、そういうことだね」
「あの薬は仙を名乗る知らない方からいただいたのですが、見るからになんとなく記憶現代の薬でしたし……貴方が飲まないとおっしゃってくださったのもあり、助かりました。歴史を歪めてしまうところでしたね」
郭嘉という人がいれば、赤壁は勝って魏は天下を統一したでしょう。
私はそう言って眉尻を下げる。
「否定はしない、かな。私はよく狙われる立場でね」
「貴方は花がありますからね。その点、私があの場に生きて残っていても為せることは少ないでしょう。貴方の劣化版ですし……」
「……おや、貴方は赤壁の結果を知らない?」
「ええ」
「生者も死者もいる混沌とした仙郷では聞かなかった?」
「それは……遠呂智の作り出した世界のこと、でしょうか。聞いていません。基本、誰かが死んだ後の話はしていませんね。タブーに似た感じでした。言われたと言えば、伯寧殿に、やっぱり死んでたんだって言われてーー元直と荀家のお二人が過保護になったくらいで……」
「十分の一」
そう言った彼に首を傾げる。
「正史の十分の一の被害で済んでいるんだ。貴方の策でね」
「……と、なると、呉蜀とにた被害ですか」
「そうなるね」
「……。変わってしまいましたか?」
「すこしね。でも、他の陣営にも貴方のような人達はいたしーー……今はもう正常に戻っている」
「仙達があるべき場所のあるべき時間に戻したから、ですね」
「
category:中華組関連(msu・oa)