ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳15:ちっさい幽霊?な中華組

08/12 14:25 
小さな子供の幽霊が現れる。そんな噂が流れ出したのはついこの半年の間である。何か悪さをすることもない。誰かを祟ったり、誰かを呪うようなこともしない。ただ気づいたらそこにいて、李の花びらを纏いながらこちらの様子を伺ったり、混じってみたりするだけである。
例えば、であるが、残業している荀攸のそばに気づいたらいてお菓子を差し出される事(もちろん荀攸は驚き、子供はびっくりした後困った顔をしていたらしい)があったり、曹操が詩を興じていれはそれを聞いてどこかうっとりしていた(詩が好きなのかと思いきや曹丕の詩は首を傾げるだけだった)り、楽進達に混じって走り込んでいた(気づいたらいたので楽進はしばらく一緒に走った)り、訓練の様子を眺めた(偶に真似をする様は筋が良いらしい)り、満寵の設計図をみたり、軍師たちに混じって会議に出席してみたりするのだ。最初は祓うかと言う話もあったが、悪さをするわけではないと今はもう受け入れられるに近い。それどころか、満寵は子供の霊に向かってひたすらに自論を語ったりするし、困った平職員達を助けたりとするために、平職員達が菓子を供えたりするようになっていた。
「そういえば、今日議題に上がった事案に関する会議を開いた際、郭嘉殿はいらっしゃらなかったはずでは?」
荀ケがそう郭嘉に告げる。議題に上がった事案であるが、その際郭嘉は会議に出席しておらず、当然その事案を把握していないはずなのだ。それなのに、当人は把握している。
「ああ、あの子が教えてくれてね」
「あの子……」
そう繰り返した荀ケに、郭嘉は当たりを伺った。
「今日はいないようだ。訓練を見学にでも行っているのかもしれないね」
そう言った郭嘉に、誰のことか周りは理解する。
「えっ、李子にですか?」
李の花びらを散らす子供だから李子。平職員がつけあ安直な名前である。
「あの子は私がこういう会議に出ていないと、その内容をきちんと伝えてくれてね」
そういえば、だ。李子がやってくる会議は郭嘉が不在の会議が多い。最近は椅子も準備されていて、真面目な顔をして座っていることがある。
「でも、どうやって?」
「幽霊だけど文字や絵が書けるようだ」
そう言って郭嘉はメモを見せる。子供の字ではあるが、まだ綺麗な字である。簡易体ではないが。内容を見ても綺麗にまとまっているメモだ。もう一枚には満寵のような人物と、夜中の3時まで話すのはやめてほしいという苦情のような言葉が添えられている。
「……満寵殿」
「はは、動かないなとは思っていたけれど、律儀に聞いてくれてたんだね!いやぁ、こうして話せるなら次からはペンとメモをわたそうかな……」
と、また考えた満寵に、もう一度満寵殿、と荀ケがとめた。


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「えっ!?わっ!?」
徐庶が驚いた声に現れたいきなり現れた子供は驚いたのか、花びらを散らして消えてーー荀攸の後ろにまた現れて、じっと見つめる。
「じゅ、荀攸殿!後ろ!!」
「後ろ……?」
そう振り返って荀攸は足元にいる李子をみて、わっ、と声をあげた。子供は申し訳なさそうな表情を浮かべるが、いえ、慣れない俺も悪いので、と荀攸は子供の幽霊にあやまる。
「……そうでした。李子の説明をしていませんでしたね」
荀攸はそう言って徐庶をみた。りし?と繰り返した徐庶に荀攸は口を開く。
「この子は李子、と我々は呼んでいます。霊の一種のようではありますが、悪さはせずどちらかと言うと手助けをしてくれます。このように急に現れて消えます……あぁ、徐庶殿の席によく座っていたので、人がいて驚いたのか……」
悪さはしない、と言われても。徐庶は李子を見る。
「ええと、よろしく……?」
そう言った徐庶に、李子は荀攸を見上げたあとに、頷いた。
「魏の部署にしか現れないんですね」

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ぴえぴえと寵沙が泣いている間に、陸治が書類をばさばさと散らかしていき、李子が勝手に機械をさわる。止めようにも触れられないがため、そうして何かを見つけたのか陸治が李子に声をかけ、李子はそれを確認した。そうして陸治の手に握られていた紙を、郭嘉や諸葛亮、周瑜達に見せた。日本語で書かれた書類だ。
ーー探しています、と書かれた尋人の書類である。日本語で書かれたそれには、子供の写真が載っていた。その中に、寵沙や陸治、李子に似た写真がある。李子はそれを渡して、また機会に戻った。散らかしていた書類から数枚またとると、陸治は魯粛にわたし、また書類を漁っていく。時代を選択する画面に移行しーー180年代の画面に移り、ログをみる画面に移行する。膨大なそれをみていたかと思うと、不意に李子が画面をとめた。郭嘉が隣に並ぶ。同じように眺めていた郭嘉が、同じ箇所を見つけたらしい。
「おや、エラー(異物)の混入があるね」
その声に慌てたように荀攸や徐庶が近づいてきた。
「いつから……?そのような報告書は入っていません」
「この時代、この箇所は私たちどの勢力でもありません」
「加えて、見過ごされても仕方がない些細なものだ」
「あぁ、この程度ならエラーともみなさないかもしれないね。まるでーー」
「まるで、子供一人迷い込んでしまったようだ」
そう言って郭嘉は李子に合わせて屈んだ。
「もしかして、貴方はこの時代に迷い込んでしまったのかな?」
その言葉に、李子は小さく首を左右に振った。陸治がまた日本語で書かれた記事を持ってくると、また軍師達にみえる。
行方不明になった子供が歴史修正主義者に誘拐されたことが判明したという旨が書かれた文書だ。
「ーー歴史を変えるのに、故意に何も知らない子供を送り込んでいる……?」


category:中華組関連(msu・oa)