ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳17:魔法使い的な人(そこはかとなく人外)と遠呂智?
08/12 14:27
「お前いつからいたんだ!?」そう告げた青年に、指さされた人は後ろをみた。そうして後ろにいた徐庶に、徐庶殿はいつからいた?と聞く。徐庶は目をぱちぱちと瞬いて、え?っと戸惑ったように声を出した。その様子に腹を立てた青年は、徐庶さんじゃなくて!お前だよ!ナマエ!!と叫ぶ。その言葉に、ナマエと名を呼ばれたその人は酒を口に運んだ。
「敬称がない、挨拶もない、やり直し」
そう言ってデコピンをするような動作をしたナマエに、青年はまさに弾かれたように二、三歩下がった。
「いってーー!!」
「テイク2」
デコピンの手を構えたその人に、青年はくっそー!と言いながら口を開いた。
「ご機嫌麗しゅう!!偉大なる星の魔法使い、ナマエ様!!何故このような場所にいらっしゃるのでしょうか!!流れ星など最近はめっぽうこちらの世界で見ておりませんが!!」
そう告げた青年に、ナマエと呼ばれたその人は、口を開く。
「ご機嫌麗しゅう、宮廷騎士のユージ殿。いや何、いつも通りこの世界にたどり着いてね。楽しく飲んでいる人がいたからご合判に預かっていただけだよ」
ふふふ、と笑ったナマエにユージと呼ばれた青年は眉間に皺を寄せる。
「あのな、あんた、殺されるかもしれないんだぞ!?」
「おや、物騒だね、この世界ら郭嘉殿」
「あぁ,そうだね、物騒だ。私としてはもといた場所では会えない貴方のような美しい人と飲めるのだから楽しいけれども」
「アンタは節操がねぇな……」
ナマエの腰に手を回した郭嘉に、ユージは物言いたげな目で郭嘉をみた。郭嘉は笑って酒を口に運んだが。
「お前、世界の行き来できるだろ。物騒だからさっさと世界渡れ。お前みたいな奴が来ていい世界じゃねぇよ」
「いや、それはできないよ。誰かのお願いに導かれたからね……」
ナマエはそう言ってユージをみた。ユージは眉間に皺をよせる。
「我欲が強い奴ばっかだからやめとけ」
「そのようだ、でもそうじゃないかもしれない。怯えている子供だとは思うのだけれど……ユージ殿は知らないかな?」
そう言ってナマエは首を傾げる。ナマエという人は男だとか女だとかそう言う概念がない人物である。願いを叶える妖精や魔法使い、魔人といった類だ。人の姿をしているのも、そういう願いを聞いたから、らしい。ユージと呼ばる青年の世界においては、ある意味天災扱いされている存在には違いなかった。子供の願いであっても、それが国を左右してしまう可能性だってある。ユージが答えないのを見て、徐庶がもしかして、と言いかけたが、ユージが徐庶殿、と声をかけた。
「答えるな」
「えっ」
「相変わらず君は心配性だ」
「お前が厄介すぎる存在なんだよ。大人しくしといてほしい。それか俺が先に釘を刺す」
そう言ってユージは徐庶殿をみ、人物を聞き出してその場を去ろうとしたところにーー該当する子供が不安そうに周りをみてやってくる。ユージはそれを見つけてさらに眉間の皺を濃くした。ちょこちょことやってきた子供は誰かを探しているらしい。
「いいか、絶対に下手な願いは言うなよ」
そう念押ししたユージに子供は意味がわからないと困った顔をした。ナマエが上機嫌にキラキラとした粉を散らしながら郭嘉の隣から消えると、子供の元に姿を現した。宙に浮いた状態で。
「わっ!?」
「やぁ、やぁ、幸運な子供。私のご主人様」
「えっ……」
子供はそう言って眉尻を下げ、ユージや周りとナマエを見比べる。
「人違いじゃ?」
「いいや?私は確かに君の願いを聞いたよ」
そう言ってナマエは人の良さそうな笑みを浮かべる。どこからか取り出した紙を眺めて、善行よーし!と鼻歌を歌いながらナマエは少年をみる。困った顔である。その様子に目を瞬いたナマエはふむ?と考える。
「あぁ、そうか、自己紹介をしていなかったね」
「え、あ、はい……」
「私は今はこのような人の姿をしているけれど、人ではないんだ。かつてそう願った人がいてね」
その言葉に周りが静かに警戒する。そんな警戒を無視してナマエは口を開く。
「私は君たち人間が願いを託す星の一つだ。まぁ妖精魔法使い魔女魔人様々に人間を言われるけれどね、願い星というのが正しい」
少年はナマエを上から下までみつめる。確かにキラキラとした星屑のような光の粉が待っている。
「……星?」
「どうしてか、君たち人間は星や流星に願いを託すだろう?私達は届いた願いを叶える役目がある。まぁ、星に願いを託す人間なんて本当に星より多いから時々願い同士が事故って砕けたりするんだけど……」
ナマエはははは,と笑う。少年は首を傾げた。笑い事なのだろうか。違うのでは。
「まぁ、星も色々いてね。星によって願いを叶えられる個数だって違う。君はアラジンと同じく三つだ。三つ、私が願いを叶えてあげよう」
ナマエはそう言ってどこからか杖を取り出す。
「ただし、願いを増やす願いは受け取れないね。正しく願いは三つだ。おっと、先にウェルカムフードだ。甘いお菓子をお食べ」
そう言ってナマエが杖をふれば山ほどの甘いお菓子がおちてくる。個包装されたお菓子の山である。
「億万長者になるだってよし、騎士、王様、なんなら家族のもとに連れて行ってあげても良いし、家に帰してもあげれる。願いはなんだっていい。三つだけ。他の人の願いは受け付けできないから、言わされた願いは叶えられない」
宙に寝転びながらチョコレートを摘んだ。まるでチェシャーキャットだ。そのゴミを投げればそれは可愛らしい鳥になって羽ばたいていく。
「少年、人間の俺から注意しておこう。コイツに選ばれたお前に罪はないが、コイツは俺の世界からすれば天災だ」
「てんさ……?」
「台風とかそう言ったものに近い。ある意味は災害だ」
「災害なんて酷いよね、私達は願いを叶えただけだ」
ナマエはそう言ってまたどこからか盃を取り出すとそれに口をつけた。
「お前たちには悪意はないがお前以外は善意もないだろ」
ユージはそう言って突っ込む。
「いいか、たとえば平和にしてほしいと願ったとする。限りない善意の願いだ。でも、それがどう叶えるかなんてコイツら次第だ」
「ええっと……」
「ご主人、困っているね。例をあげよう。平和にしてほしいと私の仲間に願った人は今まで三人いた。素晴らしい願いだ。一人目は、願った人の国を滅ぼした。二人目は不毛の大地にした。3人目は周辺の国を滅ぼした」
「えっ……」
「一人目は考えたのさ。だってどう考えても他の国に喧嘩売ってるの主人の国じゃん。滅ぼせば世界は平和になるよね!と言うことで滅ぼした。二人目は、人間がいなきゃ平和だね!っていう価値観のもと、人が住めないようにした。三人目は攻め込まれなければ平和だから、それ以外を滅ぼした。全部平和になった。めでたしめでたし」
「めでたし、ではないような……」
「どうして?争いは起こっていないよ?」
category:msu(1039/359/遠呂智)