ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳29:郭嘉がいっぱい(以下略)

08/12 14:42 
あああー。すん、とした表情を浮かべているが、内心は顔を覆いたい気持ちでいっぱいだった。彼女がいるとこういうことが起こるのか、こういうことが起きるから彼女がいるのかは分かりかねるが。とりあえず、この状況を打破するためには、と、一瞬で考えを巡らせが、疲労が溜まっている今なかなか難しい。紫鸞殿が桃李、知り合いか?と尋ねてきたが。
「えぇ、恐らくは……でも……」
と、しゅんとしておく。多分向こうは向こうで私が本人かどうかわかっていないからアクションを起こせないのだろう。
「以前お世話になった兄様達に似ていますが……会えなくなってもう随分と……」
そういえば、彼は、ふむ、と考え、本人では?と尋ねてくる。まぁ多分本人である。兄様……?と小首を傾げれば、郭嘉殿が、阿李、と呼んで手を広げた。私は兄様、と言いながらそこにいく。まぁ、ハグより痛いそれだ。わざと力を込められている気がする。
「兄様、痛い。本当に痛い」
「おや?勝手にいなくなったのはどこの誰かな?」
ああー、そういう程にするのね、はいはい、と納得していれば、本当に無事でよかった、と少し力を緩められた。紫鸞殿が、何か頷いていたが。なんで頷くんだ。
「……久しぶりに会うんだったらゆっくり話したらいい。郭嘉殿達には報告してくる」
「ありがとうございます」
「貴方は……」
「無名だ。だが、紫鸞と呼ばれることの方が多いから紫鸞でいい。死んだやつが生きたりする変な世界だから、まあ色々注意した方がいい」
ケ兄様の言葉に、紫鸞殿はそう答える。ご忠告どうも、と告げた攸兄様に紫鸞殿はふっと笑ってそのまま去ったが。あの人も確か若干の記憶持ちだった気がするが。それを見送って、郭嘉殿が私を見下ろした。
「ナマエ、珍しく随分と女性らしい格好をしているけれど……」
「あぁー……バレました」
そういえば、エッ、と荀家と仙殿が声をこぼし、賈詡殿と満寵殿が目を瞬く。
「バレた……」
「赤壁で殿を庇った後、川に落ちたのですが」
「うっ……」
「アンタまたか……」
「まぁ今回は紫鸞殿が助けてくださったので、元の世界には戻らず……ただ傷を手当てする際にバレてしまい……殿を庇ったことと功績を持って、騙していたことは罪は問われずただ辞めざるを得なくなったのですが、こちらの郭嘉殿の計らいで」
「形だけでも婚約して曹操殿に仕えている?」
「はい」
素直に頷けば嘉兄様の眉間に皺がよりーームニっと頬を引っ張られる。
「いひゃい……」
「私のことは私が一番理解しているけれど、どうして頷いたのかな?私以外にも荀攸殿達がいたのでは?」
むにむにと引っ張られて離される。
「だって郭嘉殿、どこで気付いたのか、手套をあのように外されて……先に知っているのが郭嘉殿しかいなかったですし……そもそも兄様達は兄様達ではなく同僚ですから……今回水鏡穎川かんでないので、兄様達とはこちらに来てからの対面なんです」
頬をさすりながらそういえば、彼らは目を瞬く。
「水鏡門下ではない……?」
「はい、桃李という姓名で貧しい暮らしをしながら妓楼に売られたところで意識を得ましたので……そのまま妓楼にいたところ、戯志才殿が誰かに連れられてやってきたり、易者の不穏な予言したりで、戯志才殿が私を身請けし、そのまま殿に男として紹介してくださいました」
「おや、そうなるとまるっと君たち合わないわけか」
「ナマエ殿、何歳で仕え始めたんだ?」
「数えで15です」
しょもしょもしながらいえば彼らは十五と繰り返した。理解したケ兄様が眉尻を吊り上げる。
「子供の歳ではありませんか!」
「成人はしています」
「おや、ということは私とナマエより歳が離れている気がするけれど」
「だいたい180年生まれあたりだとは思います」
いつもは175年あたりであるが。まぁそんな話をしていれば、郭嘉殿がくる気がするので久しぶりみたいな話をしておく。まぁ、嘉兄様との間に割って入られーー、腰に手を回される。力が強い。そのまま私を見下ろした彼の目は怒っている。
「桃李、旦那の前で不貞を働くのはよくないね」
「違います、奉考殿」
「言い訳はよくないけれど……まぁ、貴方の言い分を聞こうか」
怒気を含んでそう告げた彼に私は困った顔をする。
「この方は兄様達です」
「……兄様?」
その言葉に彼は少し考え、すぐにまた口を開いた。
「……貴方に軍略を仕込んだ?」
「はい、私の朧げな記憶にはなりますが……父母に手を引かれて兄様達が住む場所を後にしてからお会いできておらず……」
しょんぼりしながらそういえば、彼はなるほどと言いながら少し考える。
「これは失礼しました、まさか桃李の慕った兄君達だとは……」
「いいや、こちらもまさか大切に育てていた妹が連れ攫われたあとーー身を固めているとは思わなくてね。つい昔のように接してしまいました」
「……連れ攫われた?」
郭嘉殿がそう尋ねる。私がそんなことを言ってないからだろう。
「外からやってきた人間の男女に、ね。そこまではわかったのだけど、なかなかそれ以上のことはわからなくてね」
「はい、我らはずっと探しておりました。我々一族は桃花源を守り住まう者。基本的には外に出てはならぬという決まりがありますし、子供一人では抜けることはできません」
そう言ったケ兄様に、ああそういう設定ね、と私は思う。
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