ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳31:下記事の書き直し(李子オリジン入り)

08/12 14:43 
揺すられる感覚がする。李子殿、と、今ではあまり呼ばれなくなった呼び方とともに。私はゆっくりと目を開いた。ぼやけた視界の先、なんとなく木造の建物が見えるのがわかる。正常に機能する鼻が、草木や川の香りを感じ、もう一度目を伏せる。
「李子殿!起きてください!」
耳元で叫ばされた声に私は目を覚まし、体を起き上がらせる。私を見下ろしていたのは、確か。
「仙殿……?」
そう、たしか、どこかの世界でいた年を重ねない彼女である。彼女にこうやって呼び出されるのは二度目だが、前回を考えるに結構面倒な事態が起こっている可能性はたかい。そのそばに、知らない人達と士元や文和殿がみえる。珍しい組み合わせである。というよりは、士元はさっきまで一緒にいたはずである。
「士元と文和殿を呼び出されているなら私はいらないのでは?というか、士元は先に目覚めて?文和殿も早く戻らねば仕事が溜まりますよ」
そう二人に言えば彼らは少し訝しげに私を見る。私は首を傾げて仙殿にもう一度視線を向ける。いやそれがね、と仙殿が私を見下ろした。
「この世界、李子殿達がいなくって!ちなみにこの二人はこの世界の二人だから!」
「その説明を一番にしていただきたかったですね。ただの怪しい人になるじゃないですか」
私はそう言って、きちんと立つ。もう一度周りを見渡せば、恐らく赤壁の祭壇跡地だろうか。私の服装が制服のままだ。まぁ、普段からスラックスを履いているから動きやすいのではあるが。これは服を調達しないと。
「先ほどは失礼いたしました。貴方達が知人と似ていた為混同してしまい……私は名を李子、字をナマエと申します。仙殿とは不思議な縁があり、たまにこうして異界に呼び出されて協力を迫られます」
私がそう言えば、それは正しい、と仙殿がにっこり笑った。自覚あるなら呼ばないでほしいところである。いちど瞳が不思議な色をした青年に視線がむき、彼が何かを伝えるように頷いた。なんだ?と思っていれば、緑色の服を着た青年ーーいや男性かーーが口を開いた。
「李子、だな。俺は劉玄徳だ。こちらは紫鸞」
えっ、と目を瞬く。何かあるのか?と首を傾げられたが。
「あぁ、えっと……失礼いたしました。私が初手を誤ったのともう隠すのも面倒くさいので話しますが、私のいる場所にも同じ名似た姿の方がいらっしゃるのですが……劉備殿はもっと私と歳が離れていらっしゃるので」
と言ってから私はサイド周りを見渡す。
「龐統殿や月英殿はいらっしゃいますが、義兄弟の方々や孔明く……諸葛亮殿や趙雲殿はいらっしゃらないのですか?」
「あぁ、そちらの俺も一緒にいるんだな。それがな、李子。敵対してる」
「は??」
なんで??と言えば、困惑してる李子殿珍しいし可愛いと仙殿が告げる。いや、和む前に説明しろ。
「仙殿、呼んだからには説明義務がございましょう。きちんと説明してください。一から十まで」
「説明したいのは山々だけど、撤退戦なんだよね!本当ごめん李子殿、撤退戦被害最小で組み立て!」
「あぁわかりました、貴方の無茶振りにはなれました、賈詡殿と龐統殿を借ります。あとはありったけの情報ください。最善手をだします」
そのあと兵数や将兵の数をきき、策を頭で張り巡らせていく。とりあえず浮かんだものを片っ端から賈詡殿と龐統殿にできるできないを判別してもらう。まぁ、一つ言った瞬間、それだ、みたいに二人が告げたのでそれを主軸に地理を試みて追手を交わす伏兵の位置などを考えて補強し、召喚陣も一度使えないようにはしておいた。


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頭を抱える。いやなんだその女版董卓というか悪役令嬢モノの敵対者というかそういうのは。しかも政事放棄はやばすぎる。まだ保てているのはその人の術が聞いていないからだろう。やることが多すぎる。関羽殿と張飛殿は、劉備殿を確保する為に術にかかったのだろうか。
「女性陣はかかられていないのです」
「同性にはきかないようだね。目の敵にされる人も多い」
龐統殿の言葉に、なら私は大丈夫ですね、と告げる。周りから二度見もらったがスルーだ。最悪色々やってもらわなければならない月英殿を見つつ、口を開く。
「この事態になる前の大きな戦は?」
「赤壁です」
と、なると、劉備殿は寄る辺がない。孫堅様がいるので呉でも良いかもしれないが、攻められやすい。話を聞くに満寵殿がいなかったりするし、いない人がちらほらいるのは確かである。……。
「仙殿、私の友人を呼べませんか?」
「いいけど、誰?」
「孝直……法正殿です。今の時点で皆さんに接触がなく、政も軍師の仕事もできる。あとは、成都および漢中の記憶があればよし」
私の説明に、尚香姫が首を傾げた。
「成都?」
「益州か」
孫堅殿が代わりに答え、私の意図を理解した賈詡殿がなるほどな、と頷く。龐統殿もそれが一番かね、と考えたが。よくわかっていない劉備殿や紫鸞殿に説明する為に私は口を開く。
「はい。劉備殿、孫堅殿、混乱に乗じて成都を取りましょう」
「えっ」
「あそこは攻めにくく守りやすいからね。天然の要塞だ」
「それに加え、治水工事もされていて兵糧も安定する」
「ただ、こちらの諸葛亮殿や郭嘉殿、周瑜殿がそれを見越した策を用意してくる可能性はありますが、まぁそれはどこにいたってそうだ」
「だが……」
やっぱり劉備殿は身を引くかぁ、と思う。私はまっすぐに彼に向き合った。
「劉備殿、貴方を慕いついてきている民達は兵ではありません。今回の撤退戦はうまくいったから民が皆無事だった、それだけです。このまま兵と同じように連れ回せば、弱り、病にかかる方も増えましょう。民のためにも落ち着けて身を寄せる場所が必要なのです」
そう説明した上で、孫堅殿達をみる。
「孫堅殿や尚香殿、孫家に連なる方がいらっしゃるので、揚州も考えましたが、あちらは地理をよく知られています。豫州なども同様です。司隷および西涼もまたあちらが兵を出しやすい。西涼にも働きかけは必要ですが、今はまだその時じゃない。まぁ、賈詡殿はあまり貴方に寄る辺を与えたくないでしょうが」
「あっははぁ、それはそれ、これはこれ、だな。今は劉備殿に匿ってもらってるんでね」
「劉備よ、李子殿のいうとおりだ。このままじゃお前を慕う兵達も疲弊し、命を落とすだろう」
「まぁ、戦は私も好きではありませんし、平和的に交渉してみましょうか」
と言っていれば、いつのまにか離れていた仙殿が、「李子殿連れてきたよー!」と言いながら孝直殿と伯寧くんを連れてきたが。
「えっ……えっ!?伯寧くんもきたんですか!?」
「やぁ、ナマエ。無事だったんだね!よかったよ!消えかけた法正殿を掴んだらここにきたんだけど、どうなってるんだろうね!」
「……。……まぁいいです」
「よくないだろうが。トラブルメイカーですよコイツ。そもそもなんです?ナマエが呼んだと仙殿に聞きましたが?」
あぁ?とガンつけている孝直殿に、私はにっこり笑って劉備殿をみた。
「劉備殿、ご紹介しますね」
「は?」
「私たちと似た流れになれば、5、6年後に貴方が出会う軍師・法孝直……法正殿です。法正殿、こちらはこちらの世界の劉備殿と傭兵の紫鸞殿です」
目をぱちぱちしている孝直殿はレアである。法正殿、と言って劉備殿が孝直殿をみて、うん覚えておこう、とにこやかに笑った。
「……事態が読めませんが」
「女仙の方なのか知りませんが、魅了の術を使い男版酒池肉林を築いてらっしゃる方がいらっしゃいましてね。ここにいる方以外は術にかかっています」
「と、いうことは」
「こちらの世界の孔明くんは術にかかってます」
「乗った」
話が早い。こちらに視線が向いたので、喧嘩するほど仲がいいんですよ、と言えば、んなわけないでしょうと言われたが。いや、仲はいい。
「しかし、俺を呼んだということは」
「成都取りに行きます。皆様の話を聞くに赤壁を終えた後、だそうです。覚えてます?」
「同じである確証はありませんがいいでしょう」
「ということは戦だね。兵器を改良していいかな?」
「伯寧くん、移動しながらなので気をつけてくださいね。後二人も術にハマらないように気をつけて」
「その言葉そっくりそのまま返そうかな」
「残念、女は効かないそうです」
「あぁそう言えばアンタ女でしたね。忘れていました」
「ナマエ、お兄さん達がめちゃくちゃ心配していたよ。帰ったら説教待ったなしだ」
「幼馴染もね。いきなり幼馴染達の前で消えたらしいじゃないですか」
帰りたくなくなってきたな……。


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法正殿がいないけど劉璋殿配下とお話し合い(物理からの交渉含む)の元、成都の乗っ取りに成功した。劉璋殿は荊州で一眼みた彼女にお熱で帰ってきてないらしい。うーん、本気でただただやばいな。とりあえず内政を回しつつ、民達の暮らしを安定させつつ、あとは荀攸殿・太史慈殿救出戦とか、第一次郭嘉殿防衛戦とか、そう言った戦もしていく。ちなみに月英殿と伯寧くんを兵器関連に入れたらエグいものつくり出してた。まぁあの二人はあれでオッケー。じわじわと民が逃げてくるから領土的なモノもじわじわと増えている。あとは、術の解き方も仙殿と元化殿、紫鸞殿が探してくれているし、これは原因がお香とか食事じゃないか説が出てきているみたいなので大丈夫だろう。あとは孫堅殿と劉備殿の仕事を割り振って……。
「ナマエ殿、いるかい?」
「伯寧殿、どうかされましたか?」
「そろそろ君が倒れる頃合いかと思ってね。うん、呼び名が昔に戻っているから体調がよろしくないね」
あっけらかんと告げた伯寧殿あらため伯寧くんに私は困った顔をする。近くにいた軍師陣や劉備殿、孫堅殿がこちらをみた。
「あぁ、確か止まれを言われるまで走り続ける馬車馬でしたか」
「そうなんだよね。まぁ、私は普段ナマエ殿に世話をしてもらう立場だけど、ストップをかけるお兄さん達もいないから多少はね。今は比較的落ち着いているし、休んで大丈夫じゃないかな」
「いえ……伯寧くん、お気遣いありがとうございます。しかしですね」
「君って疲れてくると咄嗟の判断に自己犠牲が現れるから休んだ方がいいよ。いや今もそうか」
「……。いやしかし、ここで寝込むと……」
「お兄さんそっくりの荀攸殿に添い寝してもらうかい?」
「は!?」
「あの、もっぱら無関係の荀攸殿に迷惑をかけないでいただいて。わかりました、大人しく寝ます」
そう目を伏せて、起きあがろうとする、が、やっぱり立ちくらみがひどいわけで。世界が回るわけで。……。
「はは、おっとこれは重症だよ。いいかい、李子殿はとっても働きものだけれど、限界を超えて働きすぎることがままあってね」
「誰のせいですか、誰の」
「君の一番歳が近いお兄さんと私と、私たちの世界の諸葛亮達のせいだね!」
「問題児の自覚あるなら問題行動やめてもらえます?」
回る視界で伯寧くんをみる。孝直殿が正論ですね、と言い放ったが。回る視界に気分が悪くなるので目を伏せる。
「李子殿?」
「……少し休んでから自室に戻ります」
「ナマエ、さっさとそこを退いてくれますか。仕事の邪魔です。伯寧殿、邪魔なんで連れて行ってもらえますか?」
「いえ……休めば……」
「貴方が再起不能になる方が厄介なんですよ」
退け、と言った彼に私は伯寧くんにひょいと俵担ぎされる。こうなっては仕方ないので私は大人しくそれに委ねる。意識が完璧に落ちたが。

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起きたら3日ほど時間が進んでおり、元化殿にはちゃめちゃに叱られた。起き抜けから説教はやめてほしいが、自分が悪いのでその辺りは反省する。
「良いタイミングで起きましたね。郭嘉殿との戦ですよ」
「風上に例のお香を置けば良いのでは」
「量がまだ全然足りてないんだよ」
そう言った龐統殿に、そうですか、と困り顔をする。
「あのですね、郭嘉殿が兄様と似た思考の持ち主なのでうまくいってるだけで万事そうじゃないんですよ。というか、断定ということは郭嘉殿もきてる?」
「曹操殿が率いてきているので、間違いなくいるでしょう。彼女の命令で俺を追ってきたのかもしれません」
か、荀攸殿がまだ術中にあると踏んでいるからか、だ。まぁひっそりお香を嗅がしてるので本人は元に戻っているか、だ。
「数がないのであれば、各将軍師が持っておきましょう。交戦することで何かあるかもしれません」

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「彼女の元にその理はあると?」
私はそう言って曹操殿の首元にスレスレで刃を構える。
「世界を再度混沌に落とした先に、何があるというのですか。彼女が何をしているか、もう一度お考えになられてはいかがですか。貴方の歩む道はそうではないでしょう」
と、ゆすりをかける。彼は珍しく瞳を揺らした。
「貴方は犠牲となった方々に今の現状を見せれるのですか」
はっきりと。彼をまっすぐにみて告げる。彼は何も言わない。
「貴方を殺しません。ご撤退を」

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「だいたい、ナマエはこっちの俺に甘すぎなんだ。放っておけばいい。こちらの士元もそう思うだろう!?」
「はぁ?元直、こちらの士元がそう思うわけないじゃないですか!」
「おやおや……」
「そもそも私が徐庶殿にいつ甘くしたんですか!」
「常に甘いですよ」


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