ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳32:李子のオリジン入り?

08/12 14:44 
目の前が光りあまりの眩しさにめを伏せた、その一瞬で景色がかわる。確かに通学路であったはずで、目の前には学友がいたはずなのにいない。代わりに、いつかみたことがある姿をした人達が武器を持ってこちらを見ていた。場所も恐らく現代ではない。少し眉間に皺をよせ、状況を伺う。様子を見るに、私の足元にいる怪我人や私の近くにいる人達と周りは敵対している。周りがざわめき、誰かが来たという彼らを尻目に私は足元にいる怪我人が生きているかを確かめる。呼吸がある。生きている。仙女様、と口々にいうあたり女性だろうか。
「二人目の異界の使者?女?男?」
と、言って人混みが割れた先、現れた彼女は私を見た。この見た目で心底良かった、と思うのが、彼女がいけめん!と小さくつぶやいたからだ。きゅるんと表情をかえて、良かった、この世界私しかいなくて怖くてと私に告げた彼女に、私は出来るだけ声を低くしーー嘉兄様とケ兄様を意識して穏やかに尋ねる。
「申し訳ないのですが、僕は何が何だかわかっていなくて……こちらはどちらなのでしょう?」
と、聞けば色々情報をくれる。
「では、こちらの怪我をした方は?」
「その女は自分も仙女だとか言って……」
甘い香りがして眉間に皺をよせる。不快感がするそれだ。小さく後ろからこの香りはと苦言のように吐き出される。
「世界を乱すなとか、この世界は貴方が好きにしていいものじゃないとか色々言われて……私、こんなに平和に尽力してるのに」
という言葉に、背後からまた何処が、とぼやく声が聞こえる。さて、話を引き延ばすついでに逃げることを示唆しなければならないだろう。良かったのがスマホが彼らにも通じる字体になっていたことと、仕事柄手の動作で入力できるようになっていたこと、手にスマホを持っていたことだ。包囲が薄い場所をさがし、さくっと手で入力し、画面が彼らだけに見えるようにみせて一瞬彼らに目線を向ける。こちらに視線を向けた彼らに、私はスマホをポケットにしまった。甘い香りを纏った彼女が私を見下ろす。私はそこにあった剣を拾い上げ、彼女をのす。目を見開いた周りに私は彼女を投げ飛ばす。近くにいた青年が怪我人を抱え、一点突破でそちらにむかった。馬泥棒になるのは仕方あるまいが、馬を呼びそのまま駆け出した。追ってくるかと思えば、彼女の解放に人が取られたのか、それともわざとか、追っ手はこない。とりあえず怪我の手当てをするにも、何処か落ち着ける場所がいるだろう。確かこの辺りに隠れ処があったはずだ。とりあえずそのまま駆けて使われていない隠れ処があった。
「おっと……運がいいのか、知っていたのか」
「運が良いのです。私がいた世界にある隠れ処がこちらにもあった。これはただの幸運です。この方の怪我の手当てをしないと……」
「ああ、それは俺がやります!医者なんで!」
そう告げた少年に私は彼に任せる。
「布はいりますか?必要によっては上着を裂きますが」
「えっ、高価なものじゃ……」
「着ていても先程の方々に把握されやすいだけです。この服は悪目立ちすぎる。近くに農村があれば金品と衣服を交換してもらうところですが……」
そう言って上着を脱ぎ彼に渡しておく。
「彼女に恐らくは正しくない話はお聞きしましたが……貴方達の話も聞いておいても?」
「あの女を……信じない?」
「ええ、あまりにも……いえ、嫌な予感がします。それに、怪我をしている方は私の知り合いだとおもいます。目を覚まされてないので確証はありませんが」
私はそう言って肩をすくめ、いる人をみる。比較的年齢層が高い、気はする。あとは女性か。対する彼女側は郭嘉殿や荀ケ殿と比較的歳が私に近く外見が若い方ばかりである。まぁ、さっと恐らくこの世界の孫堅様が尚香姫を庇うように立ったが。
「やはり貴方達の話もきいた方がいい」
「わかった、話そう」
「その前に、私の名を。私は李子、字をーー成蹊と申します。異界となれば肩書きは関係ありませんね」
そう男性の挙礼をする。彼はそれに倣い、孫文台だ、と名乗ってくれた。あとは賈詡殿や荀攸殿、程普殿、黄蓋殿、韓当殿、蜀は月英殿と龐統殿、あとは貂蝉殿、知らないのは手当てをしている元化殿と、不思議な瞳の色をした紫鸞殿である。
ーー話を聞くに、突然彼女は降ってきたのだという。自らを仙女だといい平和をとく、まではいいが、色んな英傑達を虜にし、世を乱している。誰も異常に気づかない。民を蔑ろにしても。諸侯も彼女の虜になるものが多く、横行がひどい。ここにいた面々は陳言をしたが、受け付けない。異常だ。そんな中、怪我をしている方の仙女がやってきてここにいた面々は決起を図ったがーー鎮圧され、その際に私が呼応するようにあらわれた、というわけだ。
「でも、どうして李子殿はかからなかったのでしょう」
「今のところ、推測は二つです。ひとつ、私がこの世界に呼ばれた立場だから。これは怪我をしている彼女もそうです。二つめは、ある一定の条件のもとかかりにくい人がいる」
そう言って少し考える。
「……疲れてらっしゃいましょう。あなた方も少し休まれた方がいい。私が怪しいのであれば、交代して私を見張っていただければ良いです」
と、言ったところで、お腹減ってる可能性はあるな、と思うわけで。鞄の中には飴などのお菓子が入っているが。
「……」
「李子殿?」
「あぁいえ、私の世界の菓子を持っていますが、貴方達には怪しいと思い……」
と言えば、紫鸞殿が手を差し出した。少し怪訝な顔をする。ちょっと警戒しろ。
「少しは警戒したらどうですか?」
「腕のいい医者がいる。そこまで考えてくれてるなら貴殿に敵意はない」
それはそうだが。とりあえずドロップ缶を取り出して、彼の手のひらに飴玉をのせる。彼はそれを見つめて石じゃないのか、と言ったので私も食べる。彼はそれを見て口に入れた、ら、子供のように目を輝かせた。
「紫鸞殿」
「あまい」
「甘いものですから。私の世界では疲れた時に甘いものを摂取するのをすすめられます。食べ過ぎはいけませんが」
そう言って他の人の手のひらにものせておく。まぁ、みんな甘っみたいな顔をしたが。面白いな……。女性陣も食べれたのでよしとする。

さて、夜も更け大体が寝静まったあと、これからどうするかを考える。立て直すにも落ち着ける場所がいる。あそこにいた面々はあれが全員ではないだろう。動くにもそもそも今がいつかによる。足元の土に簡易に地図を書き、州をかく。先程いた位置が真ん中あたりなのがまた。
「偉く考えてるな」
交代なのか賈詡殿がそう言って私の隣にすわった。
「次をどう動くか、をすこし。立て直すにも、回復させるにも落ち着ける場所が必要です」
私はそう言って彼を見る。
「今の年号は、中平でしょうか?」
「こりゃ驚いた……知っているのか?」
「ええ、ある程度は知識として、ね。私の世界と全く同じであるとは限りませんが」
私は困ったように笑って告げる。賈詡殿がふぅんと私をみる。
「あの女は知らないようだったが……」
「彼女は私たちほど数奇な運命を辿っておられないのかもしれませんね。専門的分野ですから学ぶ方も限られます」
「……ま、いいだろう。今は中平じゃない」
「ということは建安ですか」
「あぁ」
と、いうことは、反董卓の動きは終わっている。が、孫堅殿が生きているあたりやはり似たようで違う道筋を辿っているのかもしれない。
「彼女関連を除いて、最近起こった大きな戦は……」
賈詡殿が魏に属しているのを考えると、だ。
「ーー官渡ですか?」
私の問いに賈詡殿は少し驚いただった。そして、こりゃ参ったね、と言いながら、すっと目を細めて私を見る。
「最後の戦は赤壁だ」
そう言い切った彼に、今度は私は目を瞬く番だった。郭嘉殿や典韋殿、孫堅様がいるのに。
「それは、皆赤壁で戦った記憶がある、と?」
と重ねて尋ねるが、彼はアンタの意図がどうかは知らないが、と口を開く。
「皆赤壁の戦いの少し後だ。全員記憶はあるだろう。ま、珍しく勝敗つかずの戦だからな」
「そうですか……私達とは違う道筋を……」
そう言って目を伏せる。まぁ、今更そこを悔やんだって、みんな転生している現代からきたから意味はないし、みんな今は何やかんや仲がいいから考えるだけ無駄である。
さて、彼女がくる前の戦が赤壁だということは、私の世界で死んでいるはずの方が生き残っているのは彼女の手腕ではないということになる。と、なれば、紫鸞殿という方がいたからだろうか。
「李子殿?」
「いいえ。私の世界とは似てるようで違う世界なのだと理解しただけです」
「あっははぁ、そう言われると逆にアンタの世界が気になるね」
賈詡殿の言葉に私は正直に告げるとする。
「……白狼山での戦の後、私の兄代わりだった方が病が悪化して亡くなりました、と言えば貴方にはわかるかもしれませんね」
そう言えば彼は目を微かに開いた。
「まぁ、貴方達の世界には私はいませんし、逆に私は紫鸞殿のような方にであったことがありません。同じような歴史を辿る、似たようで違う場所なのでしょう。まぁ、それを考えるのは後です」
私はそう言ってまた地面に描いた地図を見る。
「……劉璋殿は彼女の近くに?」
賈詡殿は「劉璋?」と繰り返した。
「何度かは見かけたが……俺はまぁ疎まれる立場だったんでね。詳しくは……」
「答えは是、です。劉璋はこちらに出てきています」
いきなり聞こえた声に少し肩を揺らす。荀攸殿が起きていたらしい。私が肩を揺らしたのをみて、彼はこちらを見下ろす。
「失礼、盗み聞きをしてしまいました」
「……それをいうならほとんどがそうでしょう」
そう言ってから私は龐統殿が寝ている方を見る。
「ね、龐統殿」
「……そうだねぇ、すくなくともあっしらは起きてるね」
やれやれといいながら龐統殿もくる。私はそれを確認しつつ、荀攸殿をみた。
「……劉璋殿は彼女の元から動く気配はないのですか?」
「恐らくは他と同じようにそうかと。俺も途中で疎まれた身なのでわかりかねますが、大体はあの地にとどまり、あの女に貢ぐことに必死になるあまり州の政治などはおざなりです。物だけ取り寄せています」
と、なると、物さえきちんと届けていれば怪しまれない可能性は高い。龐統殿が私をみた。
「劉璋のことを尋ねてくる、ということは、益州を取る気かい?」
「……ばれちゃいました?」
私は頬杖をついていたずらっぽく告げる。
「揚州にしろ、河北にしろ、地理に精通する人間が多く、落ち着ける地盤を築くのは難しい。その点、私達と同じであれば、成都は攻めにくく守りやすい。きちんと整備さえできていれば兵糧の確保も申し分ない」
「そうだな。だが、どう攻める?兵を集めるにも目立つ」
賈詡殿の言葉に私は少し考える。法正殿がいるかいないかで話がだいぶ変わってくる。
「兵は仙殿……寝ている彼女さえ起きれば何とかなりましょう。もう一人私のように呼べれば楽なんですが……まぁ、あんがい、別の官吏候補が来て喜ばれるかもしれませんよ。とりあえず、怪我をおった彼女をおきないまま連れて行くのもきがひけますし、私は商人か野盗にでも服を交換してもらえないか聞いてみましょうかね」
まぁ、野盗だと力づくになるのだが。

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