ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳35:忍者(子供)が遠呂智にいる
08/12 14:50
・中華組もいる于禁の調練に混じっているのはみるからに子供である。みるからに子供であるので追い出そうとすれば、働きたいから参加させて欲しいと申し出た。この子供は異なる世からこの騒乱に巻き込まれている子供であった。確か、軍師たちの仕事を手伝いーーいや、本格的に加わった、李子という女性の庇護下に置かれている数人のうちの一人である。働かずとも身は保障されているはずなのである。しかしながら、これから食べていくため、何もしないのは良くない、とはっきりと告げたのである。どうせこの子供も泣き寝入りしたり逃げ出すだろう。そう、たかを括っていたのであるが。
ーーついてきている。
槍の扱いはまだおぼつかないが、振るう姿をみるに線いい。素振りを千回などと言うことも文句も言わず、走らされても厳しい訓練にも逃げ出さず、言われた通りに行なっている。子供でも耐えているのだからと逃げ出す兵も減ったように思える。だからこそ、于禁もそのまま参加を認めていたのであるが。
「于禁将軍、子供をみていませんか?」
軍師や将が集まっていた。調練を終えた于禁がそのそばを通ったとき、荀攸がそう于禁に尋ねた。于禁は子供?と尋ね返す。どのような子供かで対応は変わるだろう。
「ええ、李子殿の庇護下にいる子供なのですが、時折抜け出して何処かに行っていると報告がはいり……気になって向かったところ、いなかったので」
その言葉に、于禁は眉間に皺をよせる。ほぼ間違いなく、調練に参加している子供だ。荀攸は于禁の表情をみてまた口を開く。
「知りませんか。そうですよね……」
「いや……恐らくもう戻っているだろう」
「……戻っている?」
「働かねば食べて行けぬからと、私の調練に参加している子供が一人いる。恐らくそれが貴殿らが探している子供だ」
于禁将軍の言葉に、周りは一拍おいて、えっ、と声を漏らした。それはそのはずである。于禁の調練は、厳しく大人でも逃げ出すほどなのだ。一番驚いたのは李子である。「えっ!?」と珍しくひどく驚くと、申し訳ありません!と于禁に頭をさげた。
「邪魔はしていない」
「逃げ出しもしていない?」
「あぁ。ついてきている」
「于禁殿の調練に?」
「ああ。千回素振りをしろと言っても、文句を言わずやり遂げる」
于禁の言葉に、李子はえっと声をあげて目を瞬いた。それは想定外でした、と告げると考えた。
「もしかしたら元より何か心得があるのでしょうか……」
「お、いたいた」
そんな声が聞こえて視線はそちらに向く。そこにいたのは許褚と傭兵の紫鸞である。子供を軽々と持ち上げている。
「探してんのはこいつかぁ?」
「えっ」
子供は目をぱちぱちと瞬く。探されていました?と聞いた子供に紫鸞もまた首を傾げた。于禁は子供をみる。
「部屋に戻ったのではなかったのか」
「最近、畑を手伝いたいっていって畑の手伝いしてんだ。なぁ?」
「はい」
刻々と頷いた子供に、李子はホッと息を吐いた。降ろされた子供に合わせて李子はかがむ。
「あなたが抜け出したと聞いて、焦りました。誰かに唆されたのか……攫われたのかわからなかったので。次に出る時は誰かしらに声をかけてくださいね」
「……ごめんなさい、気をつけます」
しゅん、と子供は肩を落とす。
「しかし、働こうとするのは良い心がけです」
李子の言葉に、子供は首を傾げた。
「働かざる者食うべからず、自分にできることを探そうねって、叔父さんがよく言います」
郭嘉が興味深げに子供を見下ろした。
「できることが于禁将軍の調練だった?」
「……少し違います。できるようになるには、于禁将軍の調練?に参加するのが一番だと思ったので……私は皆さんが扱う文字が読めませんし、礼儀も分かりません。教わる人もいないし……畑の知識もなく耕す場所もないし……一番厳しいそうですが、厳しいところに身を置けば色々と最低限はできるようにはなると思って」
「畑にいたのでは?」
「最近ようやく一通りをこなせるようになって、前に比べて元気がまだ余ってるので他の方に聞いたら一緒にやるかと言っていただき、すみっこを借りてお世話してます」
なるほど、と他が納得する。郭嘉はまた尋ねる。
「勉学は嫌いかな?」
「嫌いではないですし、できた方がいいとはわかっていますが……読めないのでどうしようもありません」
しゅん、とまた肩を落とした子供に、では学問も、と言う流れになるのは早かった。
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子供ーーナマエがこの世界にたどり着いて数ヶ月である。調練もきちんと参加する他、畑や学問も身についてきている。そんなナマエが最近頭巾をつけるようになった。おしゃれのつもりにしては古い頭巾である。まぁ、さすがに黄色ではなく他の色ではあるが、四六時中つけている。話を聞けば、珍しく外すのを嫌がるそうだ。
「頭巾を外したくない?」
そう尋ねた荀攸に、ナマエは頷く。仕事の傍ら学問や礼儀などを教える役目を担っている。いわゆるナマエにとっては先生にあたいするのだ。
「なぜか理由を聞いても?」
「髪の色が」
ナマエがそう言ってしょんぼりと肩をおとす。髪の色、と繰り返した荀攸にナマエは荀攸をうかがった。
「髪の色を染める方法がわからず……」
「……ということは、染めていたのですか?」
「はい」
しゅん、としたナマエが頭巾を外す。なるほど、髪色が二色に分かれている。黒く染めていただろう場所と、白銀の髪色だ。
「呪いだ〜とか言われるかなって」
ナマエの言葉に荀攸は察した。恐らくは元の世界でそのようなことをいわれたのだろう。
「いいえ。元の髪色がその色なのであれば、説明すれば皆理解します」
荀攸はそう言ってから、少し考える。ナマエに待つように声をかけ、席を外した。こういう時、さらっと褒め言葉を言えるのは郭嘉だ。ちょうど今日は郭嘉がいるはずである、と軍師達が集う場所にいけば郭嘉と李子、賈詡と曹操が話している。
「おや、荀攸殿、今の時間はナマエに学問を教える時間じゃなかったか?」
「ええ。今は少し待機してもらっていました。郭嘉殿は……今からお忙しいですかね」
「気にしなくてよい。ただの立ち話だ」
「どうかしたかな?」
「いえ、ナマエが頭巾をずっとしている理由がわかったのですが、俺には気の利いた言葉がいえず……郭嘉殿ならあるいは、と」
そう説明した荀攸に、そこにいた面々は首を傾げる。
「理由があったのか」
「どうやら、あの黒髪は染めていたようです。地毛が白銀のようで……あの様子を見るに今まで揶揄われたりしたのでしょう。髪色を褒めれば自信もついてみせるかと思ったのですが」
安直でしたかね。
荀攸の言葉に李子は郭嘉をみた。
「郭嘉殿、出番ですよ。美しいものを褒めるのは得意でしょう」
荀攸達が部屋に戻ると、ナマエがしょんぼりとしていた。荀攸先生も髪色が嫌いかと、と告げたナマエに、荀攸は弁明するし、郭嘉と曹操がナマエの髪色を褒めるのはすぐのことである。それからナマエは頭巾を外すようになったし、このようなおかしな世界だからか髪色も説明すればすんなりと納得されるのだが。
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道の端に血がついた子供がいる。劉備がそれを見つけたのは、曹操や孫堅、異界の英雄達との話し合いに向かっている時だ。ちょうど許昌近くまで来ていた際である。最初は髪色からして老人かと思ったが、近づいてみれば子供である。どうしたんだ、と馬から降りた劉備が尋ねれば、子供は劉備を見上げて不思議そうに首を傾げる。どうやら本人に怪我はなさそうである。劉備が馬から降りたことにより、後続の将兵達はなんだなんだと子供と龍をみた。他の将兵と同じくそんな様子を見にきた徐庶は、子供を見て目を瞬いた。
「ナマエ?」
許昌に使いに赴いた際にいた子供である。名前を呼ばれて子供ーーナマエは劉備から徐庶を見上げる。徐庶さまこんにちは、と呑気に挨拶するあたり怪我はなさそうである。
「徐庶、知り合いか?」
「ええ、前に魏に使いに行った時に知り合って……寵沙達の同郷の子供です」
徐庶は劉備にそう説明すると、ナマエの目線にに合わせて屈んだ。
「服に血がついてる……」
「え?あっ……あーー」
ナマエはそう言って渋い顔をしーーついちゃったかぁ、と肩を落とす。血は洗っても落ちにくいから困る、らしい。物騒な発言である。
「狩りをしていて、いつもは、兎や鶏をとるので、一人で運べるんです……でも今日は大きくて、血抜きをするのに川まではなんとか運んだんですが、そこからどうしようと思って」
しょんぼりと肩を落としたナマエに、子供で運べない獲物、とそこにいた面々は考える。鹿か何かだろうか。と思っていれば、寵沙ともう一人ーー子供ーーが顔をのぞかせる。
「子供」
「あれ?ナマエじゃん。やっほー」
その言葉に、ナマエはもう一人のこどもをみた。
「明明の知り合い?」
「近所の友達!」
ざっくりとそう答えた子供ーー明明はナマエを上から下までみる。
「血がついてるってことは狩りでもした?」
「うん」
「何鍋?」
食べ方が決定している。明明の問いかけに、ナマエは「熊」と答える。その返答に、周りは一拍置いてーー「くま!?」と声をあげた。
どうやら詳しく話を聞くに、畑にやってくるようになったので山においはらっていたが、人間に危害を加えてしまったので狩ったらしい。子供一人で?と尋ねたが、明明があっけらかんと、この子おかしいからと告げた。
「叔父さんだかお父さんだか知らないけど、大きい動物の狩人してるから教わってるんですよ」
「えっ、おかしい?」
「おかしい。一人でクマは倒せない」
「えっ、ハン兄もお父さん達もできてたってきいた……」
「それは周りがおかしい」
その言葉にしょんぼりと肩を落とす。まぁまぁ、と寵沙が励ますように肩を叩いたが。
「誰にでも得意なことはあるって」
「熊肉どこ?」
「川で血抜きしてる……紫鸞様と元化様と三人で運ぶのも難しいから」
「紫鸞達もいるのか」
劉備の問いかけに、ナマエはうなずいた。
「ちょうどとおりかかられて……」
「よし、俺たちが手伝おう」
劉備の言葉に、ナマエは伺うように劉備を見上げて、良いのですか?と問いかけた。
「あぁ、困っている人を放ってはおけないからな」
あっけらかんとそう答えた劉備に、ナマエは深々と挙礼をする。
「えっと……魏の……色々な人にお世話になってるナマエです」
「ナマエ、だな。俺は劉玄徳だ」
「……!?偉い方に手伝ってもらうのは不敬では……」
「気にしなくていい」
子供のすることだ。そう言ってナマエの頭をぽんぽんと撫でた劉備に、周りは少しほっこりとその光景を見た。
普通にしていたら普通の子供なのだ。髪色は黒く染めていたからか、地毛の白銀と二色に分かれたのを隠していたが綺麗だと言ってやればもうさらけ出している。
「珍しいねー、ナマエ地毛晒してるの」
そう言った明明に、ナマエはうんと頷く。
「綺麗だから隠さなくていいよって言われた」
「ほら言ったじゃん。外野なんて無視無視!お父さんの髪色とお揃いなんだから」
そう言った明明にナマエは頷いた。
「へー、お父さんもこの色なんだ」
「はい、会ったことないですが、祖父もこの色だそうです。でも、元いた場所の学校だと色々言われて……」
しょもしょもとナマエがまた落ち込む。今も一時期呪いだとかと色々言われたが、ナマエが異なる世から来たからそうなのだと納得されることの方が多い。
「劉備殿、お待ちしておりました……ナマエ?狩りに出ていたのでは?」
「はい。とったものが大きくて、困っていたところ、紫鸞様と劉備様がとおりかかって……」
「この前は鹿で同じことになっていましたが……今回は何を?」
「熊です……」
「……は?」
荀攸と李子は一瞬固まると、すぐに怪我の有無を確認する。子を心配する親である。蜀軍は悟る。魏軍も魏軍で熊までは想定外らしい。
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銀の髪に赤い瞳を持つ少年はナマエの知り合いらしい。正しくは近所に住む友達。少年に曰く、少年の親が上司でナマエの親が部下。面倒をよく見ている、と告げた。
「コレは何しろ筋はいいが、根が優しすぎる。戦にはむかん」
そう言ってぺちぺちとナマエの頭をを叩いている少年ーー由間に、ナマエはちょっとむくれた表情を浮かべた。近くにいた明明が、由真くんが厳しいだけ、と返した。
「たわけ、お前たちが甘すぎるのだ。お前らが甘い分、俺達が締める分を占めねばなるまいよ」
「由真くん痛い」
「何か言ったか?」
見上げたナマエに由真は頬をふにっと摘むとのばす。よく伸びる餅、と告げたのをナマエはジト目で見つめた。手を離すとそのままナマエはスッと荀攸の後ろに回り込む。ジトっとした目だ。由真はふはっ、と笑ったが。
「今日は何をとった?」
「熊」
「お前が珍しいな、山に返すだろう」
「人に危害を与えちゃったから……仕方なく……」
「人を食べたか?」
「ううん、引っ掻いた。でも、多分畑でご飯が取れること覚えちゃったから、返しても降りてくると思って」
ナマエの言葉に、由真はさよかとだけ告げる。まぁ、話を聞いていた陸治が、熊……?とナマエを見下ろしたが。
「陸治殿、こうみえてナマエの叔父達は一流の狩人だ。これは人に対するものは仕込まれてないが動物に対する奴は仕込まれている」
「ほーん」
「人に対する?」
「御仁、我々の里は特殊なのだ。まぁ忍というには俺たちの代は人を殺めることをほとんど知らず……ただ、特殊なものをたまに任務で狩っているくらいか。まぁ、ナマエはそのあたりをまだ触らせてない。知らなくても当然よ」
由真の説明に、ナマエは首を傾げる。両親共に忍だとは聞いているし、狩りを教えてくれる叔父(仮)も似たようなものだろう。
「忍とは?」
「隠密です。我が国に古くはいたのですが、その末裔、ということでしょうか」
李子の言葉に、いや、と由真は首を左右にふった。
「貴殿達が知らないだけ、と言いたいが、そもそも国のごく一部しか今はもう知るまい。まぁ、貴殿らもこのようなことに巻き込まれたのだから、何かしら国に目をつけられるだろうが」
由真の言葉に、李子は目を伏せて、心しておきましょう、と告げた。
「お前の大好きなガルグやミツネ、オウガはどうした?翔蟲も連れていないが」
「えっ、出せるの?」
「……試してないだけか。まぁ、妖術に勘違いされても厄介か」
由真はそう言ってふむ、と考えると陸治を見上げた。
「陸治殿、すまない、時間をとらせてしまった。まぁ生きているなら良しだ。甘いが簡単には死なん」
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「曹操殿に許可をとったので、大丈夫ですよ」
そう言った李子に、ナマエは珍しくぱぁっと嬉しそうな顔をした。本当ですか!?ともう一度ナマエが確認すると、荀攸がええと頷く。ナマエは一度自分に与えられた部屋に戻り、いそいそと巻物をとると、李子達のもとに戻ってくる。
「巻物?」
「まきも……?」
「紙でできた書簡のようなものです」
李子の説明に、周りはまたナマエをみる。ナマエは慣れたように親指を喰んで血を出すと、その巻物につけーー地に伏せた。その瞬間、ぽん!という音と共に現れたのは狼のようなものである。
「陸治殿」
「なんだ」
「陸治さん、俺めちゃくちゃあの行動と犬みたいなの見たことある」
「そうだな。目の前で多重影分身された俺の気持ちがわかったか」
そう言った陸治に、寵沙が「はぁぁぁ!?」と声を上げた。李子は目を伏せると、可愛い、と小さくぼやいた。ナマエは狼と戯れているのかコロコロと転がるようだ。まぁ、お座り、という言葉にきちんとお座りしたが。
「もしや、ナマエが言っていた騎乗動物、でしょうか」
「あれはアイツらの一族だけだ。俺たちは違う」
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回避が上手い、とは事前に聞いていたが。ナマエが何もない場所へクナイを投げたかと思うと、近くにいた曹操を掴んでーークナイが刺さった場所に移動した。
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