ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳107:大神妹と特異点巴里パターン2

08/12 15:59 

「あっ、えっ?」
そう言って私は目を瞬く。巴里だ。まごうことなく。しかも、年代的には私達のいた年代と合致する。不特の揺れ、あるいは穴、霧に似た何か。虚数海で起こることはあり得ないモノ。そんなものに巻き込まれて行き着いた先である。奏くんは私をみた。
「私、なんとかなるかもしれません」
そう進言すれば周りは私を見た。
「ここ、いえ、必ずしも同じであるとは言えないのですが、私の世界と同じです。この世界が私のいた世界と100%イコールではありませんが……」
「え、でも1900年代前半だよ」
「立花ちゃんの混乱を招くために黙っていましたが、奏くんは明治生まれ、私は大正時代の生まれです。まぁ、エジソンさんよりは年下ですが……貴方からしたらおばあちゃんくらいかも……」
私の言葉に、えっと彼女は固まる。そして、エッ!?とさらに声を荒げた。通りでスマホとか使い方をアワアワするんだ!と変に納得されてしまった。
「異聞帯……特異点から来た、ということでしょうか」
「いや、違うと思う。俺たちの世界は止まることなく進んでるしーーたまに揺らぎっていう他世界干渉の現象が起きて、俺たちみたいに異世界に飛ばされることもあれば、逆もあるんだよ。まぁ、立花にわかりやすく言えば」
奏くんの言葉に、わかりやすく言えば、と彼女は繰り返した。
「ロボット大戦とか、異世界クロスオーバーとか、他社併合クロスオーバー系ゲームに巻き込まれる世界」
「本当によくわかってしまった……」
複雑そうに告げた立花ちゃんに、周りもなんとなく分かったのだろう。
「まぁ日本や紐育、維納じゃなきゃ俺は何にも役にたたねぇわな。巴里なら妹ちゃん一択」
「はい、私でよければ外を確認してきます。よく知った方もいらっしゃいますから、何かしら協力を得ることができるかもしれません」
私の言葉にまぁ話はそのままそうなる。この世界に合わせて上品めな服に、帽子をかぶった。マシュちゃんにも普通の服っぽい霊衣を着てもらい、アルジュナさんは……そのままの格好でもいいが、彼が心無い言葉をかけられるのではと思ったりもする。この時代、結構差別が激しい。私が言われないのはただ名前を上げたから、というだけである。
「マスター、いかがされましたか?」
「あの、立花ちゃんも、なのですが、なかなか人種差別が激しく……」
「みつはは大丈夫?」
「私の世界なら大丈夫かと」
そう言って困った顔をする。まぁ、セーヌ川あたりに見えないように着陸し外に出れば私の知る私を知る街だとすぐにわかった。やっぱり地下の設備などは残っているかはわからないが拠点にできるか否かは大きい。
が、期待とは裏腹に見上げた看板はしばらく使われていないのだとはわかる。休業中と張り出された紙も雨風にさらわれているし、設備も傷んでいるかもしれない。あの時大使だった迫田さんもいらっしゃらなくなっていた。そう思っていれば、アルジュナさんがマスター?と私を見下ろした。私は困った顔をしていたのかもしれない。
「うーん、当てが外れてしまいました」
これでは悪戯に彼を好奇や蔑みの目で見られてしまっただけかもしれない。申し訳ない。そう思っていれば彼はそうでもないかもしれない、と告げた。私が首を傾げれば、アルジュナさんが振り返る。視線を辿れば先程の大使館の職員がバタバタと走ってきているのが見える。
「申し訳ございません、迫田に連絡が取れまして、あの、ライラック夫人を交えて貴方と詳しく話したいと……」
「え、ありがとうございます。迫田大使はもう本国にもどられているものだと……」
「こちらの不手際でして、」
そうあわあわとしている職員さんに、ご丁寧な対応ありがとうございます、と頭を下げれば、彼は首をブンブン左右に振った。
「大神みつはくん!」
「みつは!」
聞こえてきた声にそちらをみる。なるほど、年を重ねた二人だ。対し、私は年を重ねていない。みつはなんだね!と私をハグしたマダムに私は頷いた。
「お待ちください、少しばかり、あの、私も混乱しています。あれから何年経って……?」
そう問いかければ、約10年ほどだね、と告げられる。迫田さんは真面目な顔をして私を見下ろす。
「君たちが例の作戦に参加して、10年ほどだ」
「10年……兄達は……」
その言葉に彼らは首を左右に振る。私は固まる。一緒じゃないのかい、と告げたマダムに私は小さく首を左右に振った。
「敵を止めるために、私と奏組の苗字体調のみ残ったんです。そうしたら揺らぎに巻き込まれて……違う場所に」
「揺らぎ……報告にあがっていたものだね」
迫田さんの言葉に私は頷く。詳しくは中で話そう、と告げた迫田さんとマダムに私は再度頷いた。
「彼は?」
「あぁ、えっと、私が今お世話になっている違う世界の世界を守る組織の方で……アルジュナさんです。基本的に私と行動していただいています」
「アルジュナ、と申します。マスター……いえ、みつはさんにはいつもお世話に」
「……みつはがお世話になってるんだろう?みてりゃわかるさ」
「それはどういう意味ですか……」
複雑である。まぁ、マダムはケラケラと笑ったが。
「とりあえず詳しくは中で話そうかね」
「はい」
マダムは扉に手をかける。通行人が、マダムと声をかけた。
「ついに店を開けるのか」
「まぁね、うちのトップスタァがお戻りだからね」
そう言ったマダムは私をみる、というよりは、周りが私を見た。私は仕方なく目深に被った帽子を外す。いろは、と誰かが口を開いた。
「イロハ!」
「イロハさんではありませんか!」
そう騒いだ周りに私はワンピースの端をつまみ、カーテンシーをする。
「長らくの不在、申し訳ございません。世界をまわるみ、いつまでこちらにいれるかは分かりかねますが……少しでも皆様に安全にお楽しみいただけますよう、尽力いたします」
そう言えば、まぁ歓声があがった。迫田さんが開けた扉に私はアルジュナさんと中に入る。ホッと息を吐けば、上出来だよ、と言われた。
「随分しっかりとしたじゃないか」
「ははは、君がこちらにきた時は14歳だったかな。後からお兄さんが合流するにしろ、一人で本国からよくきたものだよ」
「本国……みつはさんは日本でしたね」
「あぁ、まぁ大使館職員が付き添ってはいたけど、飛行船や船をのりついで……よくきたものだ」
「それを言って仕舞えば、アイリスもでは」
「そうだね、それもそうだ」
迫田さんはそう言って穏やかに笑う。で、色々と話す。向こうの話と、こちらの話だ。まぁ、虚数海云々は分かりにくいに違いないので、私がカルデアのある世界に行き着いた話はそのままに、世界を守るために世界を渡る巨大な空中戦艦がありその戦艦に乗っていたら揺らぎに巻き込まれただろうこと。見えないようにしてセーヌ川に不時着していること。などなどである。
「お二人さえ良ければ、代表の方をお連れ致しますが」
「私たちは構わないよ。事情が事情だ」
「みつはさん、私がお連れします。貴方はこちらに」
「ありがとうございます、アルジュナさん」
そう返せば彼は扉を出てからーー霊体化したらしい。気配がすぐに離れた。やっぱりサーヴァントは早い。さて、ここからは例の作戦の話だ。
「さて、みつはくん。何があったか聞かせてくれるかな」
その問いかけに私はまた頷いてーー口を開くのだ。

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しばらくしたら、アルジュナさんに連れられて新所長とMr.シャーロック、立花ちゃんとマシュ、あとはマリーさん達がやってきた。なるほど護衛。
「ゴルドルフ新所長、Mr.シャーロック。こちらは日本大使館大使の迫田大使、こちらはテアトル・シャノワールの総支配人及び巴里の対魔防衛組織である巴里華撃団司令イザベル・ライラック侯爵夫人です」
と、偉い方を紹介してから、反対にも紹介する。
「迫田さん、マダム、こちらはカルデアのし……所長のゴルドルフ・ムジーク伯爵です。違う世界のイギリスの貴族の方です。こちらはMr.シャーロック・ホームズ。共にイギリスの方ではありますが、イタリアの方、フランスの方などたくさんの方が所属されています。他の方は……恐れ多くも私のお友達です。たくさん紹介してもアレなのでまたおいおい」
まぁあとは偉い人同士で話し合うだろう、と思っていれば間に入ることになった。まぁ、当たり前かもしれないが。


まぁここが異聞帯だとか、違う世界だとか、そういう考察はMr.シャーロックに任せることにする。やっぱりというか地下設備を使わせてもらう代わりに退魔的なことやらステージということになった。個人練だけはしているが、それでも完璧かと言われたら否だ。幸い、内装は綺麗なままで保たれている。奏くんには悪いが演奏に回ってもらわないといけないししばらくは考えることがいっぱいだ。そっちの方がいい。みんなのことを考えなくて済むからだ。
「あああ、えっと、そうですよね。巴里に馴染みがある方もいれば、ない方も多いんでした」
私はそう言って手を叩く。
「と、いうより、ここ is なに?」
そう聞いた立花ちゃんに、キャバレーです、という。キャバレー、と返した彼女はキャバクラみたいな?と聞いてくる。キャバクラ……?と首を傾げていれば、奏くんが語源は似たようなもんだが、と口を開く。
「まぁ、シャノワールは大人向けの劇場って感じだな。俺たちの時代じゃ世界で五本指に入る劇場だよ」
「大人向けの劇場……」
「フレンチカンカンやシャンソンなどを披露することが多いですね。大人っぽい演目はロベリアさんのベリーダンスでしょうか……私はまぁ朗読劇や歌だったので、年齢層は幅広かったですね」
「妹ちゃんが大人の男が苦手だったからマダムが敷居下げたんだろ」
奏くんの言葉に私はウッと言葉を詰まらせる。
「奏組で少しは……」
「そーさな、あそこは音楽バカしかいないからな。下心もった大人の男は苦手だろ」
それはそうではあるが。うぐぐ、といいかえそうとしたら、アルジュナさんが、そうなのですか……?と眉尻を下げて告げた。
「いや、アルジュナは別。フェグルスとか相手に固まるだろ。ああなるんだよ。あくまで妹ちゃんは体弱かった時期があって、過保護な親兄姉と甥子に家に押し込められてた時期があったみたいだしな」
「なんで知ってるんですか……!」
「こちとら妹ちゃんが配属されるってなった時、兄からあれこれ言われてるからな。まーーーー、あの人たらし修羅場回避ギャルゲ主人公気質主席が過保護なこって!」
奏くんの言葉に私はがっくしと肩を落とした。あのあとの巴里でさえそうだったのだ。恐らく色々と言われたんだろうな、と想像がつく。申し訳ない。というより色々と変なセリフが出てきたような。私は彼を見る。彼はスルーしたが。
「みつはちゃんの家族の話初めて聞いた気がするなぁ」
「そうでしたか?」
「妹ちゃんの家族はやべーぞ。二天一流道場主姉、海軍士官学校主席卒業兄、海軍士官学校飛び級主席卒業似た歳甥……姉に至っては士官学校主席から参席まで全員もれなくぶっ飛ばされてるからただのやばい人。もれなく全員妹ちゃんに過保護。落ち着いてきた兄姉にかわり、甥の過保護が高い」
「なんでそんなに過保護なの?」
「いえ、かほ……」
「雪降った日に兄姉や甥と遊んだら、三日三晩死にかけた逸話があるから。体が弱い」
その言葉に、えっとこちらを見た。アルジュナさんもこちらを見た。
「違うんです、あの、私、大気中にある霊力というか魔力というか、良いもの悪いもの関係なく、そんなものをですね、体の上限を超えて取り込んでしまうんです。おーばーふろー?というやつです」
「それを早く言わないかキミー!」
「それガチでやばい案件だろ、大神ー!」
話を黙って聞いていたらしいダヴィンチちゃんとムニエルさん、眉間に皺をよせたアルジュナさんに私は首を左右に振る。
「違うんです!今はですね、今は!アルジュナさん達と契約しているので、自分の体が捌けない魔力はアルジュナさん達に回ってるんです!だから昔より随分と元気で……奏くん!!」
ぽこぽこと怒る。はいはい、と流される。
「奏くんが余計なことをいうから、皆さんに心配されたじゃないですか!」
「初恋は兄の友達の次席……」
「奏くん!!!」
そう言って私は彼を軽くぽかぽか叩く。余計なこと言わないでください!と言っていれば、彼は笑い、立花ちゃんが可愛い〜とニヤニヤしていたが。
「もう!!もう!!二人ともからかってますね!!」
「ははは」
「驚いた」
「何がですか!」
「オオガミってそんな感じだったのか〜」

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