ネタ帳vol.3

2023ネタ帳26:三國とあと田中

01/14 17:00 

従兄の名前が章邯なのは、もしかしてもしかしないだろうか。そう思いながら父に連れられて行った先にいた従兄をみる。彼も困ったように私をみた。まぁ、この歳になって初めて会うのだ。父同士はさすが兄弟だけあってああだこうだとすぐに会話をはじめたが。邯はその子を案内してやってくれと言われた彼は更に困った顔をする。とりあえず、ナマエと申します、呼びにくければ李子とお呼びくださいと言えば彼はまた名乗ってくれた。
「ああ、よかった。こちらの言葉が話せたのか。章邯だ。君の従兄になる……んだが、叔父上から何も聞いていないかな?」
「父から?」
そうこてんと首をかしげる。とりあえず里帰りしないといけないから一緒においでと言われただけである。ちなみに母は仕事が立て込んでおりあとから合流予定だ。
「親戚に会いに里帰りくらいしか聞いていません」
「……やっぱりか」
「何かあるのですか?」
「いや、こちらの話だ。俺のことは兄のように思ってくれたらいいさ」
そう言った彼に兄と目をパチパチ瞬く。兄のような人はいたが血筋的には繋がっていないわけであるし、血が繋がっている兄ははじめてというわけである。
「では、邯兄様と」
内心ちょっと喜んでそう言えば、彼は様はいらないと言ったが癖なので許して欲しいところである。

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この兄、楚漢戦争にめちゃくちゃ詳しい資料を持っている。とりあえず父親が怒っている声が聞こえたのでなんだ?と思ったが、邯兄様の部屋に通された。そこにはたくさんの資料があって、あれもこれも日本でないものというか大学図書館に行かないとないようなものばかりだ。読んでもいいかと尋ねれば、彼は一瞬驚いた後にいいよと頷いたが。
「わからないところがあったらお伺いしても?」
「ああ、私もこちらで自分のことをしているから声をかけてくれ」
その言葉に私はワクワクしながら本を手に取ったのだが。


この時代は戦車かぁ、と思いながら手書きの戦法書みたいなものを読む。戦車は流石に私がいた三国では結構もう寂れた技術なわけだし、扱ったことがないんだよなぁと思いながら紙に書き写す。三人一組。まぁ騎馬を扱う方が楽か。楚漢戦争の陣地図をかいてふむふむと考えてみる。項羽は人心力がもっとある呂布みたいなもの、なのだろうか。劉邦の立ち回りは、秦の継続する道などと考えてみたりもすれば、もう日が暮れていた。目の前にいる邯兄が私がやっと気づいたことに笑ったが。
「すごい熱中していたね」
「はい、あまりにもこの時代の詳しい資料でしたのでつい読んでしまいました。あとはこちらの兵法書も。手書きでしたが、何か出典が?」
そう尋ねれば秘密かなと言われた。日本人だから教えてもらえないのかと眉尻を下げれば彼は苦笑いをしたが。
「君が日本人だからとかそういうものではないよ。ただそれは口伝をまとめたものなんだ。だから、秘密」
これは突くべきではなさそうだ。そうでしたか、と言えば彼もまた微笑んだのであるが。なんか元直をシャキッとさせた感がある人である。

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父親が爆ギレしており、叔父にあたる人も爆ギレしている。何かあったのだろうかと首を傾げれば、彼はため息をついて叔父に声をかけたが彼もまた叱られて終わった。邯兄様が爪が食い込むくらい拳を握っているので、そっと彼の背を撫でておく。まぁ、お前も名誉だろう!的な感じで私に声をかけられたが。名誉、何が?と思ったら私を嫁にもらう的な話が出ているらしい。誰の?と思えば邯兄様ときた。なるほど、だから彼は初対面で困っていたらしい。そして彼はそれは本意ではないのだ。
「叔父様、恐れ入りますが様子を見るに私は分家のもの。それもあなたもご存知のように我が父はこの国を出ているのです。ご子息の妻になど到底釣り合いません」
やんわりと丁寧におことわりしますと言ったのだが、どうやら通じていない。逆に光栄なことだろう的に返してきた。なるほど通じない。なら、根拠を立てないといけない。
「昔であればこの年で本家に継ぐことはとても光栄なことでしょう。しかし、私はまだ未成年でございます。伺ったところ、邯兄様は成人されています。こと急げば仕損じるとも言います。今私たちを結婚させると本家の跡取りである邯兄様は捕まります。さらに私の国籍の話にもなり、我が父の了承もなく無理矢理結婚させたとなると誘拐事件もしくは人身売買とされる可能性もございましょう」
そう言えば叔父は口を真一文字に結んだ。まぁそれでもじゃあ三年後だ!と喚いたが。三年後に云々カンヌンと言い出した叔父に父が手刀をくらわせていた。たまにでるんだよな父親はこういう面。目をパチパチした邯兄様に、父親はハッとしたらしい。
「酔って眠ったことにしてくれないかなぁ?」
「賛成します」
そう言って二人が酔って寝たように工作するの笑う。私も参加しといたが。私は邯兄様の手も手当てしておく。父親がそれをみながらさっさと家を出た方がいいよ的なことを言っていたが。まぁそのあと私が留学することに勝手になっていることが判明し、父がまたキレるのであるが。

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曹操様とか郭嘉さん達に会えて泣いた、ら、他の人に私と会えたと泣かれた。元直が特にひどく、めちゃくちゃぐすぐす泣いていてそばを離れようとしない。可愛いとは言わないが。まぁひっつかれていても同じクラスだし大丈夫だろう。同い年で同じクラスである法正殿や馬岱殿、満寵殿がやれやれしている。私はとりあえずワシワシと元直の頭を撫で続けている。
「そう言えば、李子殿は持ち上がりじゃないし留学生なんだよね?」
「はい、そうです。母が日本人ですので、国籍も日本です。学校も日本の学校に通っていました」
「ということは」
「父が家を出て母に婿に来た形です。しかし、何やら叔父と父が揉めていまして、叔父が勝手に私を編入させたようですね」
そう説明すれば、満寵殿にその叔父がファインプレーだねと言われた。今となってはそうだろう。まぁ結婚云々はちょっと話は置いておくが。
「それにしてもびっくりしちゃった。スラックス履いてるけど、リボンをつけてるってことは李子殿は女の子なんだね」
その言葉に、苦笑いをする。そう言えば、みたいな感じで法正殿がこちらをみおろしてくる。元直は相変わらずぐすぐすしている。まぁ伯寧殿がナマエ殿は元から女性だったよね?と告げたのだが。
「えっ?」
「……ほう?騙していたんです?」
取り調べである。目の前に座った法正殿に、まぁ結果的には、と言ってしまうのは仕方ない。
「曹操様や郭嘉殿は気づかないふりをしていた可能性はありますが、他は結果的に騙してたといいますか……バレていたんです?」
「私が知ったのはナマエ殿がいなくなったあとだね。賈詡殿と私が一番最後までいただろう?その時に賈詡殿に言われてね。まぁ知ってたらあの時代に一緒に仮眠なんてとれないよ。どうどうとできるのは郭嘉殿だけだよ」
ははは、と笑いながらつげた満寵殿に、馬岱殿が困った顔をした。
「なんでまたそんなことを?普通に女の子として生きてたら赤壁で命を落としてないよね?」
「曹操様に命を助けられたので、士官して恩返しをしようと思ったんです。まぁあれはですね、後手後手に回ってしまった私が悪いと言いますか……」
「ナマエは悪くない……俺が……」
「元直も悪くありませんよ。悪いのは時代です。現に遠呂智の世界ではみんな仲良かったですしね」
「いつまでもべそべそしてる小役人は李子殿の性別を知ってたんです?」
「知らない……でもナマエだからどうだっていい」
「ふふ、ありがとうございます」

「徐盛どのには何故か怖がられてしまってね」
「満寵殿がまた熱心にはなされたんじゃないですか。徐盛殿、日本にいる陸治殿が会いたがっておいででした」
「陸治も日本にいるのか!?」
「同級生でした」



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「こうなった満寵殿はテコでも動きませんので引きずります」
「引きずる」
「はい、ではいきましょうか」

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category:中華組関連(msu・oa)