ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳133:君僕主たちとヨルムン組と
08/12 16:22
「キャスパー、選別だ、お守りをやる」
ナマエちゃんはそう言ってキャスパーと呼ばれる武器商人に投げた。なんです?これ?と尋ねた彼に彼女は肩をすくめる。
「そのうちどうしても困った時に使う」
彼女の言葉に彼は不思議そうな顔をした。そうして、ヨナが心配だから君から離れたら連絡をくれ、とだけ告げてひらりと手を振った。彼は「貴方の元に行くとは思いませんが」と淡々と告げた。
「いいでしょう。次は最新の武器を買っていただきたい物です。では」
彼はそれだけ言うと仲間の元へ向かった。ナマエちゃんはそれを見送る。そうして彼が戻った後ーー盗聴器がないか念入りに探した。数日後、ウィンタードさんが珍しくやってくる。他の部隊も不思議そうに戻ってきては、ヘイティさんやカゲツさんが何かを教えている。
ーー私達が学生のころは何もなかった、というのに、いつのまにかこの島にはいろんなものができた。一つの都市とも一つの国家とも言える。彼女の元を離れたくない誰か達の受け皿、といえば、聞こえはいいけれど。彼女は秘密裏に私達技術職に色々頼む。けれどそれはこの組織を運営する中で確かにあったら便利だよね,と言うものばかりだ。一時期彼女はよく出かけていたりもした。ココ・ヘマクトルのロケットの発射に付き添っていた、とはキャスパーと呼ばれる彼の台詞だった。
ーー君はココが何をしているか知ってるんじゃないか。
キャスパーの再度の問いかけに、彼女はただ一言「さぁな」と肩をすくめ、ヨナと呼ばれた少年兵の心配そうな視線に彼女は「ツバメ達は大丈夫だ」と宥めるように答える。彼女は忙しくなった。それは決して大人になったからだけじゃない。私達には隠すけれど、彼女は疲弊しているんだろうな、とわかる時がある。アダムスカさんが聞いても何も言わないらしい。
「ナマエちゃん、何かあった?」
そう問いかければ、彼女は「いや忙しいだけ」と疲れたように告げる。確かに忙しそうだ。
「何を考えているか、は、そろそろ教えてほしいところだがな」
七志くんがそう告げて、彼女は困ったように笑う。周りが色々と尋ねる中、珍しく何も聞いていなかったジョンさんが口を開く。
「ナマエ、俺は敵じゃない。何があっても今度はお前のそばにいる。味方でいる」
彼の言葉にナマエちゃんはジョンさんをじっと見た。俺は、とは酷い男だな、なんて周りは告げた。その問いかけに、彼女はぽつりと、「何が正しいかわからなくなる時がある」ともっとも人間らしい言葉を吐いた。
「何が正しいかわからなくて、模索しているのが今だ」
彼女はそう言って困ったような表情を浮かべた。彼女の困ったような笑みは多々見てきたがーーどれも母親が子供のわがままをきいて、宥めているような困ったような笑みだった。と、いうのに今の彼女は同世代の女性の困ったような表情だ。彼女は目を伏せると、口を開く。
「もう時期世界中で大規模な電子障害がおこる」
「電子障害?」
「衛星を関与する通信、GPS、デジタルおよびオンライン上で管理されるもの、戦争に関わるものだけでなくライフラインに関わるもの全てが恐らく使えなくなる」
彼女の言葉に、私は息を詰めた。それは愛国者達が作り出したSOPシステムに似ている。
「ーー何処かの国がそれを?」
オタコンの問いかけにナマエちゃんは首を左右に振った。
「いいや、国単位じゃない」
「ーーもしかして、姉御がやんの?」
セツくんの問いかけに、彼女は首を左右にふる。
「いいや」
「なら誰が」
彼女は黙る。代わりにウィンタードさんが答えた。
「恐らく、動向を見るにココ・ヘクマクトルだろう」
「ココ・ヘクマクトル?」
「マイガールが小さい頃からのお友達だね。HCL社の娘だ」
ヘイティさんがそう告げる。ナマエちゃんのお友達ーー。
「戦場を歩いていた、矢面に立たされたマイガールの、同じように戦場を歩いている友達。Dr.マイアミを含めて昔から仲がいい。いや違うな、あっちが君に依存している節がある」
ヘイティさんの言葉にナマエちゃんは依存だなんて、とかえした。ウィンタードさんが、いいや、とナマエちゃんをみた。
「あれはある種の依存だ。君が明確に敵意を出さずにいたのは正解だろう。敵意を持っているとわかれば錯乱するぞ」
ウィンタードさんはそう答える。ヘイティさんが、僕も同感だね、とタバコに火をつけた。ウィンタードさんは言葉を継げる。
「向こうはナマエの抱いている思想と自分の抱いている思想が同じなのだと疑いもしていない」
「なにせ、双方掲げているものは同じだからね。大まかに言えば世界平和だ。でも、マイガールがありのままの世界で出来るだけお互い歩みあっていきましょうね、という考え。でも彼女は違うんだね?」
ヘイティさんの問いかけにナマエちゃんは目を伏せた。
「彼女は世界はいつになっても平和にならないなら強制的に平和にしてしまえという考えだ」
それを聞いて、オタコンが立ち上がる。
「だからって、全てのライフラインも止めるのか?どれくらいの人間が死ぬと思ってるんだ」
「ーーそれでも、戦争関連や銃によって死ぬ人間よりは少ない」
彼女のその一言にオタコンは黙る。私もそう言われて仕舞えば、だまるしかない。恐らくそれは他もだ。そこにあるのは沈黙だ。ヘイティさんがおちゃらけたように口を開く。
「マイガールがそっちが正しいと思うならいいんじゃないか。僕は君が正しければ正しいと思う。世界なんてどうでもいい」
ヘイティさんの言葉をきいて、ウィンタードさんが彼を睨んだ。口論に発展しそうな二人をさくように、ナマエちゃんが「ーー正しいはずがない」とつげた。
「そんなの、正しいわけがない。あくまで、ココが言ってるのはその一瞬の話だ。ココはライフラインを狭めたことによる被害を換算していない。年間の被害は恐らく増えるだろう」
彼女はそう言って顔を覆った。
「わかってる。でも、大義のために友人を殺すこともとめることもできない自分が、後手に回るしかない自分もが、ふとした瞬間に、ココのそれが正しいんじゃないかと思う自分が嫌になっているだけなんだ」
そうして、しばらくして、忘れてくれ、と自嘲した。
「我ながら物騒なことを言った。ちょっとした弱音だ」
彼女はそう言って手を叩くと、いつもの彼女にもどる。
「ーーおい何終わり見たいな顔をしてるんだ。これから起こるんだろう」
「そうだな。だから全員に帰還命令をだしている。恐らくヨナが戻れば彼女は起動させるだろう。Mr.キャスパーにヨナが離れたら教えてほしいとはいったが、いつそれが起こるかはわからない」
ナマエちゃんの言葉に、マスターミラーが尋ねる。
「ということは、型落ちの武器や車両、昔からたまにあったアナログの計器での走行訓練は」
「この時のためだ。昔から話を聞いていたが、本当にするかどうか、確証がなかったんだ」
「衛生に頼らずに交信できるシステムも」
「この時のためだ」
ナマエちゃんはそう告げる。そう言われると、色々納得できることが増える、というか、点と線が繋がった気分だ。
「今後はどうするんだ。助ける順番によっては侵攻して戦果が広がるぞ」
「その辺りの調整は国連の総会に投げる。ただ私達はより多くを救助に向かわなくなる。その傍ら、システムの停止させることを目的に動くことが必要だ」
「システムについてはわかっているのかい?」
「どうせ再現できないからと渡されたものがある。専門にもう投げた。ただ,ここにも技術者がいるから言っておこう。126機の衛星『衛星測位補助システム』とココと天田が開発した量子コンピューターだ」
「えっ……」
「ただし、抜け穴は作った。というよりは、アマナとサニー、エマの功績だな」
ナマエちゃんはそう
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