ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳138;君僕主たちはmgsにとりっぷする

08/12 16:26 

うっわ、きついなぁ,と私はみる。関わるな、と釘を刺されてしまった今私は関われないが。彼女へ向いた敵意を、彼女はなんとも思っていないかのように過ごす。押し付けられる仕事も、嫌悪も、慣れているのだというふうに。普通はそこでダメになる。と、いうのに彼女は彼が生きていることに安堵し、彼女がいることに安堵して、迷い込んだこの世界を生きていた。
まぁ、この世界の人は知らない。彼女がどんな人物で。どんな生き方をして、どう慕われているかなんて。付け加えるならーー彼女を除け者にしたあの子たちも。

「放っておいていい。ああでもしないとあの子達は気が保てないんだ。現実を見たくないんだよ」

と。


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「申し訳ないお言葉ですが、ミスター」
彼女はハンガリー語で答える。彼と同じ訛りが入った。
「この恨みは報復するものではない。あの子達は私に嫌悪を向けることにより、現実から目を逸らしたいだけだ」
「これは驚いた。同胞か?」
「いいえ、私の父はユダヤだ。母親は日本人ですが。この言葉は……友人の一人から教わった。戦禍で国を追われた数多の友人の一人から」
彼女の言葉に彼は彼女を見つめた。何言ってるんだ,と一部が騒ぐ。彼女はそれに気づいて英語を使う。
「もう少し貴方とはハンガリー語で話していたかったけれど、他が怪しんでしまいますね。貴方の母国語で話しただけなのに」
「英語の思い上がりだよ」
彼はそう告げた。淡々と。
「他の言葉を消したがる」
「それは英語だけでないでしょう?他の大国も、です。言葉は形を持たない国家。それゆえに侵略されても目で見てわからない。悲鳴もなく消えていく。継承されなくなってはじめて焦る人が出てくるかーーはたまた、気づかれないまま世界からなくなるか」
彼女はそう言って困ったように笑った。緊迫する雰囲気なのに、彼女はただ雑談のように話す。
「私には好きな童話があります。それはそれは小さな頃から」
「ユダヤの?」
「いいえ?恐らく日本のです。世界を旅してまわるツバメの話」
ここで私達は理解をしめる。それは彼女の率いる隊の活動理念に近いのだ。
「動物も植物も人間も、それぞれ違う暮らしの形で同じ世界を生きている。当然求めることも描いていることも違うし、自分達の暮らしを守るために他者を傷つけることもある」
「童話を模った真理だな」
「ええ、私もそう思う。でも、話はこう続く。他者を許し、認めることで我々は繋がりあえたままでいられる。他者多様な人々が暮らす、ありのままの世界を守るために、我々は何ができるか考えていくべきだ、と」
彼女はそう言って彼を見た。彼は「偽善だな」と告げた。
「ええ、そうです。偽善です。独りよがりのね。でも、報復は繰り返す。貴方達は私達を子供だと言いますが、子供が報復だらけの世界を望むと思いますか」
「……」
「我々ができることはあまりも小さい」



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