ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳150:君僕主と違う世界のジャックと夏の終わり

08/12 16:35 
なるほど、向こうは私がいない世界の記憶があるのだろう。だから、いない私には少々当たりが強い。ボスと私に対する態度に少々違いがある。様子を探っていれば、それがわかった。ボスは違う。彼女にはそんな記憶なんてない。
「ジャック」
そう言って私は頬杖をつく。向かい側でコーヒーを飲んでいる彼はなんだ、と返した。
「多分だけど、私のこと嫌いでしょ」
そう言っていたずらっぽく笑う。彼は「そんなことはない」と告げた。母親を取られた子供のように、友人に恋人を取られた男のように、彼は私に接する時がある。
「そう?」
「そうだ」
「なんだ」
「なんだってなんだ」
彼はそう言って私をみた。私はそのまま彼をみて、微笑む。
「私が嫌いなら私を殺すことに戸惑いも葛藤もないでしょう?」
「何言って」
「私、四年後、君に殺されようかと思ってるんだけど」
私の言葉に彼は四年後、と思考を巡らせて、思い至ったらしい。息を詰めた。
「私が知る前の君は私のことを大好きっぽかったから色々失敗して、結局は色々したみたいだし。今の君なら大丈夫かなと思ったんだけど」
彼は私をじっとみる。真意をとうために。
「今ボスが何をしていてどこにいるかなんとなく知っているでしょう?」
「……あぁ」
「変わろうと思ったんだけど……その辺りは父さんがうまくやったみたいなんだよね。今はちょっと雲隠れしてもらってるけど」
死んだと思っていた父さんから手紙がきたのだ。どうやらパラサイトセラピーを受けた彼は不死らしい。老化についても穏やかだ。
「私が向こうに行けば、貴方はボスといられるでしょう?」
私はそう言って、また、何も言わない彼に視線をむけて笑った。
「貴方は私を殺しても大丈夫でしょう?」
私に思い入れがないなら、きっとそうした世界を恨まないでしょう?
その返答に彼はただただ無言だ。珍しく目を泳がせて。答えないのはきっと肯定だろう。私はその反応をみて、近くのウェイトレスを呼びかける。会計をすませてーーそのまま彼の元を後にした。
さて、これでおしまい。全て、私の感情はすべておしまい。私は肩をぐるりと回す。何から取り掛かろうか。顔のない友人にでも、会いに行こうか。

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ほら、全部また同じ。止めようとしても同じこと。そんなことに、私はまだうら若きオセロットを揶揄ったりする。あぁ可愛い子。私の拳銃を譲り受けて、煽られて帰ってきている。
「それは私の父さんの形見みたいなものだから」
私はそう言って頬杖をついた。
「第二次世界大戦中に、それで生き残った挙句に敵を殲滅したっていう逸話と幸運つき」
彼は拳銃と私を見比べる。返そうとした彼に、君が持っておけ、と告げた。
「……私にはもういらないから、何かと大変な役回りの君が持ってるといい」
私はそう言って彼の頭を撫でる。子供じゃない!と吠えた彼にそう返すところがまだ子供、と笑っておく。あんまりいうとコブラ部隊に変なことを言われそうであるが。

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「さて、正しく私は君に殺されるべきだと思うんだが」
私はそう言って彼をみる。彼は銃口をさげて、私をみた。
「殺す理由はない」



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