ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳152:君僕主たちと指揮官たちと

08/12 16:37 

「いや、働かせない」
そう言った苗字に、俺は口をへの字にした。
「ピースとコーカサスはともかく、君たちはここでは働かせない。あの2人にしても内勤だ。実働隊にいれない」
「どうして?ニケがいないなら、ニケは戦力では?」
そう聞いたアンダーソンに、苗字が理由は二つある、と告げた。
「一つ、君たちが眠っている間に男女別れて調べさせてもらったが、ニケサイボーグ諸々含めてーー君たちのその体は、普通の人間のものに変わっているから」
苗字の言葉に俺はニケ達やヨハンをみる。
「人、に?」
「あぁ」
「技術が追いついておらず正確に測定できないのでは?」
「その可能性も考えたが、一番は体重だ。この時代の軍用ヘリはニケ達の重量を考えてつくられていない。すなわち、恐らく一台でニケを1人運ぶのがやっとだ。が、君たちはまとめて乗せられて連れて来られている。まぁ、それでも、君たちは腕が立つだろうが……」
そう言って苗字は肩をすくめた。
「……もう一つの理由は」
「この世界で戦うべき相手は人間だ。宇宙人でも機械生命体でもない。ただの生きてる人間だ」
苗字はそう言って俺たちをみた。
「君たちが旧世代と呼ぶ世界では、人間同士の争いが永遠と続いている。いつか終わることを誰もが夢みているが、一つの争いが終わっても違う理由で争いがまた起きる。領土宗教政治思想人種……種が尽きないからな。君たちがここで働くのであれば、人を殺すことができなければならない」
その言葉に俺はだまる。そうだ。この世界はそうだ。人とラプチャーではなく、人と人の殺し合いだ。いつだって。
「君たちには無理だろう?それに、人間を庇ってしまう癖がついている。君たちもまた人間だ。今度は庇った君たちが死ぬ」
苗字はそう言って困った顔をする。
「私は仲間が死ぬのは嫌だ。いつもそれなりに覚悟はするし、殉じた仲間にも敬意は称すが、それでも生きて帰ってくるに越したことはない」
そう言って苗字は、苦笑いを浮かべた。
「なに、急に異世界に放り出すわけじゃない。君たちが何をするにしろきちんと情勢を知ってもらってからだ」
「……」
「好きに生きなさい。この世界では銃を手に取らなくても許される。ここの実働隊にいる人たちは銃を持たされるために生まれてきたわけじゃない。自分の意志で銃を持ち、自分の意志で戦場にいる人だけだ。考えなさい、自分がどう生きていきたいのかを。君たちがそれを決めれば、私達は全力でバックアップしよう。ここはそういう施設も兼ねている」
苗字の言葉に俺は目を伏せる。そうだ、彼女達だってこの世界では好きに生きていい。黙ったこちらに対して、彼女は手を叩いた。
「まぁまずは常識を叩き込んでからだな」
「それはそう」
「じゃあ、先に施設の案内はしよう」
そう言って苗字が近くの放送器具を触った。悪戯部隊は司令室に集合しなさい、と告げた彼女に、悪戯……と俺は口を開く。扉の付近で待機してる男性が苗字をみた。
「いいんですか?」
「あぁ、多少時間を稼ぐ」
苗字の発言に隻眼の男が笑った。
「……また何かしてるのかアイツら」
「毎年恒例のオペレーションを展開中だ」
苗字の言葉に、俺たちが首を傾げる。廊下を走る音がして、扉が開いたと思えば、子供が顔を覗かせた。
「マミー!いまはね、アマナ達、とっても!とーっても!忙しいよ!」
「そうか」
「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!ライクも忙しいよ!」
そう口々に告げた子供に、苗字はふむと考える。
「そうか……残念だな……サンタから連絡がきて、いい子ポイントが足りないから何か手伝ってもらってくれと言われたんだが……」
「……!!!」
「仕方ありませんね、サンタクロース氏の来訪予定に断りを入れてもらいましょう。案内は私が」
「………!!!!」
「やる!!!ライク達にまかせて!とっておきの場所も案内しちゃう!!!ちょっと準備するから待ってて!!」
そう言ってまた扉の外に走っていった子供に苗字は見送った。
「君たちは大丈夫だと思うが、今の時期になると子供達によってちょっと一部施設に悪戯が施されていて……」
「なんでまた……」
「いい子にしていると、サンタクロースという聖人が空飛ぶソリに乗ってプレゼントを持ってくるんだが……あの子達はサンタクロースを捕まえたいんだよ」
「なんで」
「プレゼントを選ばせてもらったり、ソリに乗せて欲しいらしい」
「……その時点で悪い子では」
「ふふふ、まぁサンタクロースも心が広いからな。みんなその日のためにいい子にしてる。まぁここに住む子供達にとっては悪戯も含めて楽しいイベントの一つだ」
苗字はそう言って笑う。しばらくして、子供が増えて戻ってきた。
「みんなでこの島を案内するからー、ついてきて!」
「昼食は食堂に手配しておくから、昼食ごろには向かってくれ」
「はーい!!!!」
全員でいい返事だ。




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