ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳153:君僕主と理想郷の指揮官と

08/12 16:38 

「ーーヨハン」
ナマエちゃんがそう言うと、パニックに陥っていた男性はナマエちゃんを見つめた。目をまんまるにして、驚いて。そうして、微かに「幽霊(プリーズラグ)」と呼んだ。それを聞いて彼女は彼に近づく。周りがそれを止めようとしたが、彼女はそれを聞かず、人をわけて男性のそばにやってくる。そうして、丁寧に武装を解除した。
「久しぶりだな、ヨハン。酷い顔だ」
彼女はケラケラと笑って彼に手を伸ばす。さっきまでパニックになっていたというのに彼はそれを受け入れた。
ああまた彼女は何処かに行って、誰かを誑かせたな、と私は思った。いや、たらし込んだともいえる。ジョンさんも、ナマエちゃんも。無意識に相手の懐に入り込み、無意識に好かれる傾向があるのだ。こういう反応をする人の多くは、そういう人である可能性がたかい。
「もう少し眠りなさい、可愛い坊や」
ナマエちゃんはそう言って躊躇なく彼を気絶させた。ぐらついた彼を彼女は支える。ジョンさんもまた構えていた銃口をさげた。ナマエちゃんはそちらをみる。
「……悪い、確証が持てなかったから伝達できてなかった。怪我は?」
「俺はない。何人か通りすがりにダウンさせられたくらいだ。死者はいない」
「よかった」
「なかなか腕がいい。どこかの軍の出か?」
「まぁ、そうだな……」
ナマエちゃんはそう言ってから、困った顔をした。
「この子は人間が嫌いな節がある。目が覚めて知らない人間に囲まれたから驚いたんだろう」
「どうしてだ?」
「まぁ……似たようなものかな」
ナマエちゃんはそう言って肩をすくめた。
「誰と」
「私と……いや、ジョンにも似てるかな?」
そう言ってナマエちゃんは彼を抱き上げる。イケメンをお姫様抱っこ……。ジョンさんが「お前と俺に?」と眉間の皺をよせてそれをみる。彼女は言葉を続けた。
「……国のために戦って、国に全ての責任を押し付れ、切り捨てられた子。クラウディアさんみたいに人間なんて大嫌いな……優しい子だよ。しばらくは司令室に寝かせて私がついておく」
「……大丈夫なんだな?」
ジョンさんはナマエちゃんにそう問いかける。彼女は肩をすくめた。
「恐らくな」

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海がどこまでもつづく。白い花が揺れる。そんな青と白が美しい世界。そこに立つ一本の木の根元に置かれたベンチに私は座って、ぼうと景色を見ることがたまにある。多忙な中での少しの気分転換、もしくは1人になりたい時に訪れる場所。そのうちジョンが迎えにきて、私はいつもそこから戻る。私が好きな花を、誰だったか研究員が私のために枯れない花としてつくりーーここ一体は花畑になった。ちなみにジョンはとても複雑そうに、心配そうにここに迎えに来ることがたたある。そうして私がそこにいることを確かめて、連れ出すように私の手を引いてそこから離れていくのだ。不意に人影ができて、私は見上げる。そこにいたヨハンは私を見下ろした。
「おっと私がいない間に目が覚めたか」
「……無防備だな」
「まぁ味方しかいないからな」
そう言って私は席をあける。彼はそこに座った。
「どこだここは」
「難しい問いだな。答えがどちらか今の段階ではわかりかねるが、少なくともここはアークじゃない」
私はそう言えば、彼は複雑そうな顔をした。
「なんだその答えは」
「君にとっては、過去、あるいは、異世界だ」
私はそう言って彼を見る。彼は眉間に皺をよせた。
「揶揄ってない」
「揶揄っているようにしか聞こえない」
「おっと。それは普段の行いが悪かったかな。だが、事実だ。シキからd-waveのことは?」
「情報として聞いたことはある」
「そういうことだと思っていい。ただ、こちらに来た人はただの人間になるし、死んだ記憶を持っている。残念だったな、天国じゃない」
私はもっていたマグカップに口をつける。コーヒーだ。
「……天国に行けるとも思っていない」
「そうか?君は頑張ったから行けると思う」
そう言って私は彼を見る。また自棄に落ちないように、頭を撫でる。
「君は選べる選択肢の中で最善を尽くした」
「……」
よく頑張ったね、と




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このめちゃくちゃ美形な男性は、本当にナマエちゃんだけに心許してるんだろうな、という気がすごいする。ヘイティさんが敵を見る目、を、平然と周りに向けるからだ。たまにジョンさん達が絡みに行っているのをみると、ジョンさんにも慣れてきている。ヘイティさんは同族嫌悪、と言っていた。まぁー外見似てるし、性格も似てるっぽいからだろうか。
「うっひょー、すっげーイケメンがいる!!」
私が止める隙もなく任務から戻ってきたセツくんが彼を見てそう告げた。
「嬢ちゃんアレ誰?なんか既視感あるんだけど」
「ヘイティの親戚か何かか?」
くたびれたような桜くんがそう告げた。私はいや……と断る。
「ナマエちゃんの知り合いっぽい」
「へぇーー!!」
どこの誰?と聞こうとしたセツくんだが、ナマエちゃんが見えたんだろう。
「姉御ーー!!それ誰!」
「あぁ、帰ってきたんだな。おかえり、無事でよかった」
「五体は無事だが疲れた」
「主にコイツのせいだ」
イーライさんがそう言ってセツくんを指差した。セツくんはグッドサインを出した。
「いい働きだったろ!」
「いい働き以前にバーサクなるな、バカ」
「突っ込む癖をやめろ」
そう言った2人に、ナマエちゃんはため息をついて、男性の腕を引いてやってくる。
「ヨハン、右からイーライ、桜、セツだ」
「……そうか」
「こちらはヨハンだ。まぁ本人はよろしくしたくなさそうだが、よろしくしてやってくれ。報告書は休んでからでもいい」
ナマエちゃんはそう言ってヨハンさんを連れて歩き出す。ジョンさんが合流するのが見えた。
「なんだアイツ」
「人が嫌いなんだって。まぁでも多分優しい人だよ。この前物資取りたいのに高くて取れない時とかとってくれたし。無口だけど」
「ヘイティの親戚?」
「って、周りが言いまくるからナマエちゃんがヘイティさんの親戚に仕立て上げてた」
「と、いうことは」
「デイヴィッド達と同じ、だと思う。私の推測だけど」
そう言えば、またセツくんが「なんか既視感……」とうんうん唸った。
「報告書はどうする?」
「俺が先に仕上げるからイーライはチェックを頼む」
「わかった。コイツのことはきちんと書いておけ」
「わかってる」
そんな会話をして2人は別れる。桜くんがセツくんにお前も休めと言われて、イーライくんは席を外したが。


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「ヨハン、お仕事いけるか?」
ナマエちゃんがそう言ってヨハンさんを見た。視線がそちらにむく。なんだ急に、と言った彼に、彼女は「私が行きたいんだが」と言葉をなげた。
「今の立場、任務に行くとしこたま怒られる」
「当たり前だろう、アンタはここのトップだ」
「いやでも、たまには良くないか?」
「よくない。で」
「迎えにいってやれ。ついでに迎えに行ってくれ」
ナマエちゃんはそう言って彼のそばにたつ。
「サポートはジョンがする」
「ーー迎えに?」
「昔使っていた特殊回線ーーまぁ君たちとも使ったがーーその回線にコーカサスから連絡があった。情報は信じられる」
コーカサス?と私は首をかしげる。地名、人名だろうか。彼女は彼の肩を叩く。
「君の部隊がいる。ただし、あまり良くない人体実験場だ。君の任務はそこに潜入し、まだ人間である彼女達を救出することだ」
彼女はそう言ってまっすぐに彼を見た。
「いけるな」
「ああ」


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ナマエちゃんが可愛い可愛い言う人が増えている。なるほどなぁ、と私はうんうんと唸った。何唸ってんだ、と聞かれたので私は口を開く。
「ナマエちゃんにとってヨハンさんとオセロットさんは同じ可愛い枠なんだろうなって」
あとそれで行くと、恐らくエヴァさんがいたらはいっているであろう美人位置にコーカサスさんと後の2人、ライクちゃん達と同じ位置にあのノアちゃんとピースちゃんが入るんだろう。
「そうだな」
「男に可愛いというな」
「いや、君は可愛い。オセロットも可愛い。猫みたいだから」
ナマエちゃんはそう言ってお酒を飲んだ。猫、と繰り返す。ヨハンさんが眉間に皺をよせ、オセロットさんがなんとも言えない顔をしーーマスターミラーが爆笑した。
「おいどういうことだ」
「弟に欲しいな」
「僕は一人娘がいい。ジョイとソローに殺される。もう1人はなんか嫌だ」
「どうして?可愛いのに」
「指揮官、私は……?」
そう言ってコーカサスさんがナマエちゃんの腕に腕を絡ませた。うわ、ハニトラだ、ハニトラ。
「君は美人だ。可愛いね、コーカサスは」
あ、違う、百合だ、百合。まぁ、サングラスをかけたピースちゃんが割ってはいったけど。
「この女狐!!私の指揮官にそんなことするな!!」
「私たちの、でしょう?」
「うるさい!そうやってベタベタベタベタと!雌猫!」
「猫か狐かはっきりさせたら?わんちゃん?」
「笑った、そのまんまビッグボスまわりのキャットファイトじゃん!」
セツくんの発言にオセロットさんとカズさんが眉間に皺をよせた。
「どういう意味だ?」
「え?そのまんまのいみ」
……締められているセツくんはおいておいて。
「どうするんだ?」
「どうもしない。ヨハンも、インヘルノ達も、ピースも、コーカサスも、みんな頑張った。だから、好きに生きて欲しい。帰る場所にはなってあげれるだろうから」
ナマエちゃんはそう言って目を伏せた。それに対して、ヨハンさんは一瞬驚いてからーーめをふせる。
「そうだな。インヘルノ達にはそうしてもらおう」
「君もだ」
「勘違いするな、婆さん。俺は好きでアンタといてるんだ」
めちゃくちゃ口説き文句言い逃げしたぞこの人。ナマエちゃんは目を瞬いて、可愛い子、と緩やかに笑った。
「違う、お前その反応は違うだろ」


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