ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳162:君僕主(大人版)は潜入する

08/12 16:44 

視界の端にとらえた監視カメラの映像。そこに写っていた兵士が一瞬で消えた。角の奥に消えたといえば聞こえはいいけれど、あれは本人の意思で曲がったわけではなくーー誰かに引き込まれてきえた。恐らく話している人は気づいていない。それに気づいたのは、私と、片手に足りないくらいの人だろう。あるカメラはぶれる。よくよく見ないとわからないが、時刻表記が過去に変わっていた。こうなってくると、私はいよいよ彼女がきたな、と疑うのだ。淡々と彼女は優雅に移動しているに違いない。残っているのは軍人でもなんでもない女だ、と、目の前の人は言う。
「なぜ軍人でないと言い切れる?」
そう尋ねた隻眼の彼は正しい。衛生兵、医務官、そんなものがいるからである。それに対して何の経歴もない小児科医だから、と告げる。それを聞いて、少し目を輝かせたヨーロッパ支部の子供は多分は恐らく彼女を知ってるのだろう。まぁ、普通はわからないし理解もできない。微かに彼の後ろのダクトの金網が外される。恐らく相手の後ろ側だからわかっていない。音は立っていない。彼女は上半身だけを軽々しく外に出すと、男を撃った。音はない。サイレンサーがついているからだ。麻酔弾だろう。男の周りにいた人は異常に気づいたがーー時はすでに遅し、と言うわけだ。彼女はそのまま降りると一人には斜め下から蹴りを喰らわせ、もう一人には麻酔銃を撃ち、もう一人を掴むと盾にして制圧、そうして掴んでいた人は一本背負いで意識をとばさせた。そうして彼女は私たちをみてーーつけていゴーグルを外した。
「待たせたな」
そう言って笑った彼女に私はめちゃくちゃかっこよかったのである。私は内心叫んだ。いや隣にいるセツくんは声に出して叫んだ。
「うおおお!!!かっけーー!!!」
「静かにしなさい。周りにいたのは全員眠らせたが、どこから援軍がくるかはわからないんだぞ」
彼女はそう言いながらテキパキと武装を解除していく。銀色の髪の男性の後ろに隠された女の子が口を開く。
「ナマエ先生がどうしてここに?あそこにいなくて大丈夫なの?」
「友人に頼まれたんだ。久しぶりに医療派遣に行った帰りだったから距離が近くて助かった」
聞こえる音からして親指を結束バンドで固定したっぽい。
「詳しく話を聞けば日本支部の子達も巻き込まれてるし、君たちも巻き込まれてると聞いたから」
彼女はそう言って手を叩く。ヨーロッパ支部の人が口を開く。
「一人で?」
「いや、流石にバックアップはいますし、もう一人丁度出張帰りのジェームズボンドがいたので」
そう言ってナマエ先生はその人の拘束を外すと、机の上にのぼりーーいい笑顔で手をあげた。
「ではアンダーソン支部長、悪いですが後処理はお願いします」
「……またか」
「おい待て、今回はアメリカ支部もいるんだぞ。そんな勝手ができると……」
「悪いな、ヨハン。先程も言ったように友人の頼みで動いたノンオフィシャル事案だ。うまくやってくれ。バレると協賛組織がうるさい。君たちは君たちだけで解決した、私は来てない」
そう言って彼女は少しとんでダクトの縁をつかむとーー器用に一回転して消えた。そうして顔だけ覗かせると、じゃあな、と告げて後にした。




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