ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳174:君僕主(大人)たちがpwトリップ
08/12 16:53
「会いたい人に会えるらしい」「そんなことはありえるのか?」
「さぁね、ただ、僕らの科学では解明されてない技術には違いないよ。スネーク、もし君が会いたい人がいるなら作動して見せたらいいんじゃないかな」
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会いたい人がいない、わけではない。ただ、答えが欲しかったのである。ずっと頭にこびりついたその記憶の中で、その人物が告げた言葉の。なぜそこへ行き、なぜ自分たちを捨てたかの。答えを知るにも投げかけるにも、その相手はいない。自分の手で殺したからだ。
ーー夢を、見なくなってくる。
彼女が笑う夢を。犬が苦手だからと自分の背に隠れる夢を。ボスに一緒に叱られる夢を。些細なことで喧嘩をする夢を。ともに夜を過ごす夢を。
ーー夢をみる。
ーー全てを塗りつぶすように夢をみる。
彼女を殺す夢をみる。真白な花畑が赤く染まる。彼女が好きな花が風に揺れ、彼女は息を止める。
「起動させたらどうだ」
そう告げたのはこの施設を管理する男だった。コールドマン率いるCIAの人間ではない。かと言って、KGBでもない。ただ、双方が何者かわからない男だった。スネークが銃口を向けようが、彼は気にしていない。
「貴方が会いたい人物に会える」
「どこに保証がある」
「私が保証する。私は会えたのでね」
男はそう言って、装置に近づいた。
「生死は関係はない。記憶を持った人物がやってくるだろう」
「死んだ人間が戻ってくるとでも!?」
「あぁ、戻ってくる」
「ありえない!」
「いいや。ありえる。お前が望めば、お前が会いたい人物は来る。正しくは、お前といた記憶がある存在、だがな」
男はそう言って、代わりに起動させてやろう、と、何らかのレバーを下げた。その瞬間、フラッシュのような光が焚かれーースネークの目が慣れるころには、誰もいなくなっていた。男もいない。ただ、その装置もない。あるのはばらけた設計図のようなものだけだ。
ーーほら、嘘だ。彼女はいない。
スネークはそう言って頭を抱える。ありえないことだと理解していたのに、期待していたらしい。あり得るわけがない。殺した人間が戻ってくるなど。
『スネーク!!』
不意に飛んできた無線に、スネークは意識をそちらに向かわせた。
「慌ててどうした?カズ」
『飛行機がーー』
背後が騒がしい。
「飛行機が、なんだって?」
『ありえないことだが、飛行機が急に現れて』
「どこかの軍隊か?」
『いや、おそらく民間機だが、半分になった飛行機がいきなりあらわれて、海に落ちた』
その言葉の意味はわかりかねた。だが、おそらくは緊急事態には代わりない。
「わかった、一度戻る。救助できそうなら救助しろ」
『わかった、スネーク、ヘリを回す。フルトンで離脱してくれ』
散らばった資料をいくつか手に取り、スネークはその施設をあとにする。そうしてヘリに合流しーー通信の意味を知る。まさに半分だ。飛行機の先端がない。後方部だけだ。船が来て回収しているのが見える。はたして生きている人間がいるのか。そう思いながら基地に戻る。
「ボス、悪いな」
「いや……あれはどういうことだ?」
「俺もよくわからん。いきなりだ。いきなり空に現れて、堕ちた」
「生きている人間は?」
「運が良かったのか何人かいる。たまたま医者もいたようでな、まわりを安心させたりしてくれている」
あそこだ、と、指差した先には、確かに子供を含んだ数人の人が毛布にくるまっていて、何か飲み物を渡している。背を撫でた人が医者だろう。
ーー見たことがある気がしたのだ。その後ろ姿を。黒髪なんて特徴は世界中に何人いると思っている。その人物が立ち上がりーー振り返った。目が合う。よく知った灰色の瞳と。
「ナマエ……?」
ありえない。あり得るはずがない。その人物は死んだ。自分が殺した。この世にはいない。わかっている。でも、あれは彼女だ。問いかけたい。ある。違うかもしれない。よく似た他人かもしれない。そんなはずはない。自分が間違えるわけがない。聞かなければならない。触れたい。この10年で忘れかけた、声を、聞きたい。
「ーースネーク?」
そう呼びかけられて、スネークは意識を隣に並んだカズにむける。
「……いや……あちらからも話を聞こう」
「そうだな、それがいい」
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「救助していただきありがとうございます」
その声だ。忘れかけてたその声だ。かちりとはまった最後のピースに息を詰める。
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