ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳177:君僕主(if)とジョン(if異世界ファンタジー)
08/12 16:54
うっ。私は息を詰める。はっきり言って、推しである。推しのこの表情に私は弱いし、友人に借りた漫画などの異世界風な世界であるが、この人もわざとやっている可能性はなきにしもない。ただ、ダメか?と眉尻を下げて首を傾げる姿も、すこししょんぼりしたような声色も、この間見た夢での彼を思い起こさせて私は弱かった。
「いやでもどうして?ジョンさんって引くて数多でしょ?」
私はとりあえず平静を取り繕ってそう告げる。ポーカーフェイスができている自信などないが。引くて数多、と告げた彼に、私は頷く。
「あなたは素敵な方なので、お慕いされてる方が多いでしょう?」
と、困った顔をして聞けば、彼は「お前にはそう見えるか?」と言われた。私は素直に頷く。そう見えるに決まってる。
「そうかぁ!」
うっ。嬉しそうな顔をした推しが可愛い。
「残念だが、そいつは男にはモテるんだがな、女はからきしだ」
背後からやってきた男性に、彼は「少佐」と苦々しくつげた。
「本人の問題もあるし、見かけの問題もある」
「見かけ?」
「隻眼だろう?」
そう言った男性に私は彼を見る。確かに。でもマイナスになるか?私は首を傾げた。ただ素敵じゃないか??
「お嬢さん、普通は怖がるところだ」
「ああいえ、怖い感じはないので」
「ほら、みてみろ」
ジョンさんは男性にそうつげる。ふむ、と考えた男性は口を開く。
「最大の要因は本人の問題だな」
「おい」
「人妻への初恋を拗らせている」
男性の言葉に、私はザボスみたいな人がいるらしいと察する。なるほど。少佐、と怒った彼に、男性は事実だろう、と答えた。
「いや私も人のことを言えないので……」
推しのあんな夢みるくらいには私も拗らせている自信がある。あ、ジョンさんの表情がちょっと曇った。少佐が彼を見てから面白そうに口を開く。
「ほう?ジョンとどっちが素敵だ?」
「えっ」
「少佐」
「冗談だよ、冗談。何も噛みつくことはないだろう。で、その男は元の世界にいるのか?」
「いえ、戻ってもいませんね……夢にちょっと出てきてくれるくらいで……」
まぁ夢の話だ。色々あったけど、夢の話である。困った顔をしてそういえば、彼はそうか、で会話を終わらせた。ジョンさんがちょっと拗ねているような顔をする。
「えっ、拗ねてます?」
「……いや……で、一緒に行ってくれるのか?」
「あの、お誘いは嬉しいんですけど、そもそもいいんですかね」
「何が」
「いや、私、ほら他の子と一緒に召喚されたはいいですけど、国の運営する学園から追い出された身ですし……」
ないことばっかり言われてまぁ疎外されて追い出された身である。夢を見てから何故か外国語に不自由しなくなっていたし普通にまぁある程度身を守れるから少し離れた街にあった医療系部隊で働いていたんだが。
「それに関しては気にしなくてはいい。あの学園は少し世間に疎い人間が集まっている場所でな。要するに外を知らない馬鹿が多い」
彼の言葉に私は何とも言えなくなる。だって王子的な人がそこに通っているからだ。
「それに、君のことは粗方調べさせてもらった」
「えっ」
「君が手伝ってくれている医務隊は、汚い!臭い!怖い!穢れる!……と、常に人員不足でな。君のようなお嬢さんが転がり込んでくるとすぐに素性がわかる。君を熱心に誘っている男は君がどういう経歴かわかっていながら声をかけているわけだ。どうだ?」
男性の言葉に私は目を瞬いてーージョンさんをみる。照れくさそうに頰をかいた彼に、私は断る理由がない。「喜んで」と少し笑って告げた。多分顔が赤くなっていると思う。
「あ、でもそういうところにきていく服が……」
「それは君が気にしなくていい。男が準備することだ。なぁ?ジャック」
「あぁ」
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かっこいい。正装はだめ。私は多分今度こそポーカーフェイスが崩れている気はする。私は顔を覆う。どうした?と覗き込んだ彼に、私は目線をそらす。
「素敵、なので」
と、言えば、彼は見るからに嬉しそうな表情を浮かべた。可愛い。
「君も似合ってる」
彼はそう言って囁いた。私は固まる。無理だ。コレは無理だ。多分真っ赤だ。それをいいことに、彼は右手で私の頬に触れ、もう片手は私の腰元にまわす。距離が近い。ドキドキする。
「ジャック?まだ始まってもないパーティーを抜け出すのはどうかと思うが」
「……少佐ぁ……空気を読んでくれ」
そう言った彼は振り返る。私はちょっと顔を俯かせる。落ち着け、と念じてはみるが、多分無理だ。心臓がバクバクいっている。深呼吸をして、私は少し彼から離れる。
「こんばんは」
「あぁ、こんばんは」
「あの時は自己紹介できず申し訳ございません。私は医療第13隊に所属しているナマエ・苗字と申します。こちらの挨拶のマナーもよくわかっておらず……」
「いや、こちらも名乗らずすまないね。私はデイヴィッド・オウだ。彼の友人であり上司でもある」
隣は妻だ、と告げた彼のそばには彼と同い年くらいの女性がいた。美人な人である。さて、助かるのが騎士団の階級が軍の階級のままということだ。少佐という経歴はわかりやすい。
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確かに大人ばかりである。ばかりであるのだが、なんか学園の人がいた。ジョンさんが席を外した時に限って絡んでくる。私がどこにいるのかわかっているらしく、めちゃくちゃ言ってくる。のを、適当に言い返しつつ聞き流してたら、持ってたシャンパンかけられた。最悪である。ジョンさんから!もらった!ドレスを!汚すな!!と頭の中でコンボをきめた。
「……私はお誘いいただいてきた身、無断で帰ることはできかねます。あと、いくつか。私自身のことはどうぞお好きにおっしゃってください。しかし、あの部隊を貶す言葉は聞き捨てられません」
私はそう言ってまっすぐに彼を見る。
「彼らは国を守って傷ついた方々です。そして、彼らを治療する方々です。それを悪くいうのはやめてください」
といえば、何の騒ぎだ、とジョンさんがやってきたが。そうして濡れている私を見下ろす。私は彼を見上げる。
「ごめんなさい、いただいたドレスなのに」
「怪我は?」
「ありません。せっかくお誘いいただきましたが、帰るよう助言くださった方がいるので……」
「……そうか。俺も帰るところだ。送ろう」
そう言って肩を抱いた彼はそのまま私を外に連れ出したが。
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家に帰ると思うじゃん。ジョンさんの屋敷である。そのままメイドさんに案内され、あれよあれよとお風呂に入れられてしまった。いい香りがするお風呂だ。まぁメイドさんに洗われるのは慣れてないが。いや待て。これもしやお泊まり……?と勘付いたのは着替えさせられて部屋に通された時である。大きいベッドがある。待ってほしい。待って待って。いやでも客間と言う可能性も、と、とりあえずベッドに座った、ら、ジョンさんが入ってきた。うっ。待ってほしい。
「ナマエ、暖まったか?」
「はい、おかげさまで……あの、この部屋」
「あぁ、悪いな。ゲストルームは弟の友人達が使っていて」
「か、帰った方がいいのでは……?」
「どうして?」
そう言って彼は私の隣にすわる。いや気のせい。ただの好意で下心はない。コレは多分私がドキドキしてるだけ。と、念じる。手が、重ねられる。ナマエ、と、名を呼ばれる。うう。私がちらりとそちらを見れば、近くにジョンさんの顔がある。う、顔がいい。と、目を伏せたら唇に何かあたる。髭がくすぐったい。ちょっと待ってほしい。少しだけ目を開けば、彼もまたこちらを見つめる。いやコレは流されちゃだめなやつでは。
「あ、あの、ジョンさん、こういうのは、あの、」
「こういうのは?」
「まだちょっと心づもりが」
と彼を少しだけ押す。まぁそれを意もせずに彼は笑った。
「大丈夫だ。できるだけ優しくする」
その視線に射抜かれない人はいるんだろうか、と、私は頭の片隅で思うのだ。
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「いや……あの人がやりそうなことだと思っただけだ」
そう告げた医療団の団長に首を傾げる。
「そもそもそのパーティーがどんなパーティーか知っているか?」
「いえ、パートナーがいるパーティーだとは聞きました」
「パートナーといっても、夫妻帯者用だ。妻か夫しか出れない。よって、そのパーティーに一緒に行かないか?と誘われるというものはこの国では一般的に婚礼を申し込む言葉だ」
その言葉に私はとまる。
「この国では夫婦は同じ匂いを纏うことになっている。ウッド系はあの人の家系の香りだ。混ざっていないのを見ると長男であり家を継ぐあの人の妻であるということだな」
私は頭を抱えた。いやこれはどっちだ。確信犯か、私がわかっていないのを忘れていたのか。
「……どっちだと思います?」
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