そうして少年は過去を生きる
目の前に流される映像を見る。何だ、ただの昔の映像じゃないか。いや、きっと違う。本当は違う映像を見せられていて、あまりに耐えられないから僕が違う映像を重ねてるだけだ。
不意に視界が真っ暗になる。そっと目隠しをされたように。おかしいな、目は無理矢理見開かれたままだというのに。
――見なくていい、こんなものは。
誰かの声が聞こえる。誰か?そんなのはわかってる。王様だ。ゼラだ。ゼラがささやいたのだ。見なくていいの? と尋ねれば、今度は雷蔵が「だってつまんないじゃない」と本当につまらなそうに告げた。
――お前は、僕たちのヌルだ。
「そっか、」
――あぁ、そうだ。
「『僕』は君たちといれるんだね、ゼラ」
そっと耳を塞がれる感覚もする。誰かが手を握る感覚も、膝の上を触られる感覚も、腕を掴まられる感覚も、首を絞められるような感覚も、頭を撫でられるような感覚も、頬を触られる感覚もする。そして、最後に抱きしめられる感覚もした。この感覚はよく知ってる。なぜなら、昔、一度だけタミヤが僕にした行動だからだ。
「帰ってきたよ、タミヤ。僕は帰ってきたんだ、みんなのもとに」
ぽろぽろと涙がこぼれた。拭おうとするけども、手は固定されて動けそうもない。ただ、ぽろぽろと涙が出た。それは多分僕の涙じゃない。あの子が泣いてる。でも、あの子の声は遠くなっていく。まるでラジオのボリュームを下げたみたいに。そうして、プツン、という音とともにあの子の声は聞こえなくなった。
――……おかえり、零。
「ただいま、タミヤ」
優しい声がする。酷く、落ち着く――。
意識が浮上したら、僕の部屋だった。広いベットに寝かされていた。相変わらずみんなは鏡の中で、自分は外側だ。でも、みんながしゃべりかけてきてくれる。僕はそれがうれしかった。
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