過去を生きる少年の戯れ
連れてこられたのは生徒会室らしかった。ゴシゴシと手で涙を拭えば雷蔵みたいな子がハンカチを差し出してくれる。知らない女の先生もいて、知らない女の先生は僕に着替えるように告げて僕の手を引いて別の部屋に移動させてくれた。おとなしく着替えていると、先生は息を飲んだ。
「……せんせ、?」
「何でもないわ」
そう首を振った先生に連れられて、また生徒会室に入る。ひょこり、と顔を出して、タミヤ、と言えば、タミヤ達はこちらを振り返った。
「タミヤ?」
「・・・・・・オレのことっス」
手招いたタミヤに僕は首をかしげながらそちらへ行く。眼鏡をかけた人が僕を見た。生徒会長という札があることを見ると、恐らくは生徒会長さんなんだろう。
「君は1年6組の転入生、であってるかな?」
「うん、恐らくは」
「恐らく?」
「ヒルのとこ――あっと、タカアマハラ?くんのとこにいたんだけど、多分タカアマハラくんとノノ……ミヤくんが何かした。知らない間に決まってた」
そう答えれば、眼鏡をかけた人は僕を見た。
「君の名前は?」
「僕の名前? 僕の名前はヌル。よろしくね。でも、おかしいなぁ。僕はタミヤと同い年なのに、タミヤは一学年上なんだよね?」
「弾はタミヤなんて名前じゃ――」
「タミヤはタミヤでしょ? だから僕を助けてくれた」
そう七三分けになっている人に告げて首をかしげる。何か言いかけた彼に、タミヤが「帝一、いいんだ」と告げた。また言葉を紡ごうとして、タミヤがまた止める。無言の間。でも、タミヤがすぐに打ち破った。
「ってか、お前はヌルじゃなくて零だろ!」
そうぐしゃぐしゃと頭を撫でたタミヤに、また頭がグチャグチャとして来た。そうだ、僕は零だ。でも、ヌルだ。頭がいたい。頭を抱える。痛い。
「……零?」
「頭がいたい……」
そう椅子の上でうずくまる。痛い。
「大丈夫か?」
「……ん、寝たら治る、から、ちょっと寝る……」
そのまま目を瞑る。隣に座るタミヤにもたれかかれば、タミヤが少し反応した。それに笑う。
「タミヤのうーぶ。何緊張してんのさ」
「さっさと寝ろ」
殴られるかと思えば、優しく頭を撫でられる。それに僕も「あの子」も酷く安堵したのだ。
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