今を生きる青年の選択



 タミヤに連れられて、家に帰る。帰り道、たくさんたくさん話をした。タミヤは少し、悲しそうだった。理由を聞いても教えてくれなかったけど。変なタミヤ、といえば、タミヤは困ったように笑った。本当に変なタミヤだ。

「そういえば、タミヤ、あの手紙どういうつもり?」

 そう訪ねれば、タミヤは首をかしげる。あの手紙? と。送っておいて、忘れるとは酷いな。不服だ。それを隠さずに表に出せば、タミヤは僕の頬をつついた。

「どんな手紙だっけ?」
「僕を好きだとか書いてた手紙だよ」

 ふいっと顔をそらして言う。顔が赤い自信があった。タミヤは少しの沈黙の後、「あれ机の中にしまってたはずなんだけどな」とつぶやくように告げた。

「しまってたら、届くはずないだろ」
「妹が送ったんだよ」

 そういったタミヤに「言い訳だ」という。タミヤは「・・・・・・そうだな」と認めた。つくづく変なタミヤだ。いつものタミヤなら、うるさいと僕を小突くだろうに。そんなことを考えながら、タミヤを見上げる。タミヤは立ち止まった。僕も立ち止まる。

「零、は、俺のことが好きか?」

 そう訪ねたタミヤに、目を見開く。言葉を探す。なんて言えば良いんだろう。僕は確かにタミヤのことが好きだ。でも、タミヤが泣きそうになる理由がわからない。

「教えてくれ。零は、俺のことが――タミヤのことが好きなのか?」
「・・・・・・好きだよ」

 僕の言葉に、タミヤが目を見開く。

「僕はタミヤのことが好きだよ」

 そう笑えば、タミヤが僕を抱きしめた。なにするんだ、ともがいてみるけども、タミヤはびくともしない。ただ、小さく、やっぱりそういうことなんだな、と言ったのが聞こえる。僕はタミヤを見上げた。タミヤはぽろぽろと涙を僕に落とす。タミヤは身長が高いから、まるで雨みたいだ。

「俺は、零のことが好きだ」
「知ってるよ。手紙に書いてたじゃんか」
「違う。『俺』が、好きなんだ」

 その言葉に、返す言葉を「僕」は持たない。





prevnext


back