窓に映った彼女



「零ちゃん、昨日どこに行ってたの?」

 その次の日だ。いつものように学校で、いつものように隣の席にいる零ちゃんに、そう尋ねてみる。昨日の晩、考えてみた。零ちゃんが昔のことや自分のことを話さないわけとか、色々。でも、答えなんか出ることがなくて。この質問から何かとっかかりができないかなんて期待をする。お菓子を食べている零ちゃんは首を傾げた。

「家にいたよ」
「・・・・・・バスに乗ってくのをみたわ」

 そう言えば、零ちゃんは目を見開く。そして目を鋭く細めた。

「まさかとは思うけど、ついて来てないよね?」

 零ちゃんの言葉に首を左右に振る。嘘、だけど。ついて行きました、だなんて言えない。恐らくは言ってはいけない。その雰囲気は昔の零ちゃんに似ている。『僕』といっていたころの。

「ううん」
「……そっか。トモダチにね、会いに行ってたんだ」

 そう笑った零ちゃんは何時もの零ちゃんだ。それにそっと息を吐く。

「トモダチ?」
「小学校の時の。仲がいいんだけど、私だけ中学生になるとき、引っ越しちゃって」
 だからね、会いに行ってたんだ。

 零ちゃんはそのまま窓の外を見る。窓ガラスに映った零ちゃんは、まるで別の人のようで。少し怖い。そんな私の表情を読み取ったのか、零ちゃんは振り向いて首をかしげる。

「どうかした?」
「ううん、なんでもない」

 その零ちゃんはいつもの零ちゃんだった。




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