「……行ったか」
ナツの姿が見えなくなってから、ため息をつく。
上手く達海監督が連れて行ってくれたらしい。
「大変だなぁ、キャプテンは」
「うるせぇ、サトル」
「さっさと告っちゃえばいいのに」
「ホントに。そうしたらさ、慰められるのに」
「「ねぇ」」
「黙れよ、シュン、ハヤ。アイツはただの腐れ縁だ、馬鹿」
「Really?」
「No, He loves……イテッ!」
「リュウに変な事を教えるな、アズ。第一、」
俺がアイツの事が「好き」っていう証拠は何処にあるんだよ、
と呆れたように聞いてみると、「普段の言動」という答えが返ってきた。
とりあえず、全員を一発ずつ殴る。
「おや、キャプテン、ご乱心ですか?」
「! ユーシ」
「まぁ、大方彼らが悪いんでしょうけど」
ユーシは苦笑いをこぼした。
俺が思うにコイツは大人だ。精神的に。
「あ、殴るならサトルくんを思いっきりどうぞ」
「何で?」
「あはは、そうだね。俺が怪我すればユーシ君の試合出場が多くなるからな。俺より下手だから」
「誰が下手ですか。ド下手」
「ド下手で結構。ドド下手」
……こういう点を覗けば、だけど。
そして相変わらずサトルは一言多い。
「……?」
「? どうした? シグマ」
「……ナツは?」
「赤崎さんのトコに謝りに行った」
「……元気でるといいな……」
シグマは優しく笑う。
俺は反射条件でシグマの頭を撫でた。
(なんか、小さい弟みたいだ)
多分、俺より身長がデカいシグマの頭を撫でてるなんて外から見たら、
「お前……ケイト、俺、いっつも思うんだけど、それおかしいぞ」
「正論なんだろうな、ササの意見が。最近普通な奴と練習組まされてないから常識が……」
「え、何それ! 俺が普通じゃないみたいじゃん!」
「キタ、お前は普通じゃねぇ。このチームは、俺とアズとササ以外普通じゃねぇ」
「俺が思うに、ケイトも普通じゃない」
何言ってんだよ、俺は正真正銘の平凡な学生だ、と主張するとササに鼻で笑われた。
イラッとしたので一発殴ってやった。
「ふぇぇ、ナツは? 監督は?」
周りを見渡して泣きかけているユウキのを見て、俺とササは溜め息がでる。
(何才児だ。アイツは)
面倒くさいと思っていると、シグマがユウキの頭を撫でた。
「……赤崎選手の、ところ」
「! なかなおりしにいったの?」
「……そう、」
「じゃあ、あしたはきっと元気だね!」
ユウキが憎たらしいほどの笑顔でそう言うと、「良かった!」と走り回っている。
その隣で、ナツの鞄を漁っている人物が一人。
「何やってんだ。ユキ」
「ん? 何にもしてへんけど」
「いや、してるだろ」
「あ、やっぱり携帯おいていってるやん。ナツ」
俺、アイツの姿見えへんくなってからめっちゃ電話かけててんけど。
そういって、ヘラリとユキは笑った。
コイツは一歩間違えれば犯罪だとかいう考えはないのだろうか。
「なぁ、キャプテン。俺、お前がライバルやと思ってたから注意しとってんけど、違うみたいやな」
「は?」
同じポディションには変わらないだろ?
と聞き返すと、またヘラリと笑われた。
「そういう意味ちゃうし。まぁ、関係ないか。ケイトはただの腐れ縁やもんな?」
「!」
「俺はあの監督がちょい怪しいから、あんまETUいかせたないねんけど」
ライバル去ってまたライバル、とユキは言うとユウキにちょっかいを出しに行った。
それを言うなら一難去ってまた一難だろ、と思ったがその言葉は飲み込んだ。
「俺は、ナツに、もう、振られてんだよ」
チームメイトの、赤崎妹の話
(俺はピッチに立てていない)
(お前と同じグラウンドには立ってないんだよ、ユキ)
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SQUELCH!!