「テメェっ! 赤崎妹!」
「うーわー、助けてー」
限りない棒読みでそう言いながらも、黒田改めクロロンを見る。
私の声を聞きつけて杉江さんがひょっこりと顔を出した。
「……何してるんだ、クロ?」
「杉江! コイツが!」
「クロロンって呼んだだけじゃないですかー。元ネタは、ドラゴンボールですよ? あの世界的国民的漫画の」
杉江さんの為の現場解説ついでにそういっていると、クロロンは「クリリンじゃねぇか!」と言って私の頭を小突いた。
(だってそっくりじゃないか! 頭が!!)
兄しかり、クロロンしかり、何でみんな頭を小突くんだ。馬鹿になったらどうしてくれる!
……いや、元が馬鹿だけど。
「世良さんのセーラームーンよりましでしょ? あ、もしかしてそっち系が良かったですか?」
「なワケないだろ!!」
わー、クロロンってからかいがいがあるー。
そんなことを考えていると、クスクスと笑い声が聞こえた。
誰が笑ってるのか、と思い辺りを見渡すと杉江さんが笑っている。珍しい。
「いいんじゃないか? クロロン」
「!!」
クロロンは驚いたようで、目を見開いている。
「赤崎妹! じゃあ、杉江は何なんだよ!」
「ナツってよんでくださいよ、クロロン。……杉江さん? 決まってるじゃないですか! 『杉江もん』」
今度はクロロンが笑う番らしい。
クロロンは爆笑していて、杉江さんはいつもの顔に戻っている。
「世界的国民的漫画のキャラが二人してゴール前を守る。うん、いいじゃないですか」
「……まぁ、赤崎妹――ナツちゃんが呼ぶんなら許せるな。クロや世良が言うよりは」
「あ、じゃあ呼んでいいんですか?」
「ああ」
杉江もんは優しい人だ。
うん、まさにドラえもん。
今度差し入れにどら焼き持ってこよう。
「何やってんスか?」
着替えた遼兄が顔をのぞかせる。
眉間にしわが寄ってらぁ、跡つくぞ、跡。
「あ、遼兄」
「ナツも何やってんだよ」
「アダ名つけてた!」
「アダ名? どんな?」
「杉江もんと、」
「杉江さんスイマセン」
「いや、別にいい」
「クロロン!」
「!!」
遼兄が顔を急に俯かせた。
肩がふるえている。笑ってるな、コイツ。
「赤崎! テメェっ!! 笑うな!」
「笑って、ないっスよ、っ」
「現在進行形で笑ってんじゃねぇか!」
「……クロロンっ、」
「杉江! テメェも笑うな!!」
「クロロン、ゴトゥーにヨロシクね」
赤崎妹と、杉江+α
(ゴトゥー? 誰だ、それ)
(あ! ナツちゃん! 良かった、仲直りしたんだね)
(後藤さん……ん? ゴトウ……)
(ゴトウ……ゴトゥー!!!)
しばらく笑い声が止みませんでした。
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SQUELCH!!