赤崎妹と、公式戦#2 





「おー、久々に見たな、あの嬢ちゃん」

歓声がわくスタンドに、1人の男が立っていた。
男は、じっと懐かしむように奥のベンチ――ここからだと少し遠いため、あまり見えないのだが――を見る。
そして、あたりを見渡してまた口を開いた。
一番前列で柵から少し身を乗り出しながら、プレーを見ている達海を見つけ男は少し笑う。

「達海達も来てるじゃねーか」
似てるもの同士、惹かれんのかねぇ、

男はもう一度、じっとベンチを見た。

「楽しませてもらうよ、ナツ」



「ぶぇっくしょん!」

あー、誰かが噂してやがるな。
誰だよ、噂したやつ。
何て考えていると、教授が「すごいくしゃみだな」と言った。

「しょーがないって!」

教授ではなく、サッカーコートを見ながら答える。
失礼だとはわかっているが、今はゲームから目が離せない。
――もうすぐで、30分。
私の集中的な仕事はそこまでだ。
今の得点は0−1で、此方が勝っている。
だが、気は落とせない。

「よし、決めた。ユウトとユーシを替えよう」

審判員に変えることを告げる。
すると程なくしてから、ユウトとユーシが変わった。

「じゃあ、静かなうちに」


スッと腕を上げて人差し指と中指をを立たせ、大声を上げる。

「"Con fuoco"!!!」

メンバーは同じように腕を上げた。
伝わったらしい。

「トップを三人にでもするのか?」
「まさかー。ツートップのままですよ」
あれはフェイクですよ、フェイク。

教授の方を見てそういってから、帰ってきたユウトを見る。

「お疲れ、ユウト」
「……もっと、でれたのに!」
「うん。そうだね」
「じゃあ、なんで交代させるの〜!」
「よしよし、泣かない泣かない。――……今回は感覚でプレーするユウトは相性悪そうだったからね」
「うー」

サッカー――……スポーツをする人には二種類の人がいると思う。これはあくまでも私が思う事だけどね。
感覚でプレーする人と、考えてプレーする人。
前者はサッカーセンスがある人であり、後者は努力を惜しまない人だと思う。
ユウトに付いていたのは、同じように感覚でプレーするタイプ。
それだけならいい。
ユウトはなかなか背が小さく、体重が軽いのに比べて、相手は背が高く、体重が結構ある。
しかも、相手のサッカーはユウトの苦手なサッカーだ。いくら弱点をカバーしてるとしても、段々疲れて抜かれるだろう。
そんな条件で、感覚だけのサッカーで、相手をまくのは難しい。
その点、ユーシは身長もまぁまぁあるし、体格もまぁまぁいい。
それに、ユーシは相手を観察する癖がある。相手とプレーしながら観察し、どのようにすれば抜けるのか等をはじき出す。
(インターハイでは、それに苦労した。
結局、ユーシの弱点を見つけてそこをつけ込んだけど)
自分のやらなきゃいけないことや出来ることが、わかってる。


笛の音と、歓声が上がる。

「っしゃあ! これで、旦那――……ケイトと並んだで!!」

この声からして、決めたのはユキだな。
そして、その後前半の終わりを告げる笛の音が鳴った。


赤崎妹と、公式戦#2
(ナツ、見た!? 俺の華麗なシュート!)
(ごめん、みてないや! だからもう一発よろしく!)

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SQUELCH!!