「タッツ、おひさ!」
「! おー、ナツ、おひさ。食う?」
「いや、いい。さっきセーラームーンにもらった」
「……だから何でそんな同い年の友達みたいな反応なの?」
「あ、有里さん、ゴトゥー、女医さん、おひさしぶり!」
有里さん達に片腕を上げて挨拶すると、有里さんに溜め息をつかれた。
なぜに。
……あー、有里さんの問いに答えてないからか。
「あー、んー? 私がタッツに敬語使ってないから?」
「そうかもなー、けど俺、ナツに敬語使われんのいやだし」
「じゃあ、使わないでおこう」
「おう」
あ、また、有里さんが溜め息ついた。
ゴトゥー笑ってるけど。
「似た者同士なんじゃないか?」
「そうかもネ、ゴトゥー」
「そういえば、試合はどうだったの? ナツちゃん」
「勝ったよ、1‐0で。試合内容はダメだったけど」
「……試合内容が?」
「相手のミスで得点できたものだし、全体的にチームの守備とかがずさんだった。……私の責任だけど」
女医さんの前にあった回転する椅子に座ってクルクル回る。
地味に楽しいよね、これ。
あんまりすると目が回るけどね。
あ、何かタッツが顔しかめた。
「ナツの?」
「私ちょっと色々あって、指揮はおろか立つことも震えてできなくてさー、チームメイトが私を気にしすぎて集中力途切れてたね。あれは」
「あら、赤崎がこの前"震えとめるにはどうしたらいいッスか? "て聞きに来たのはそれだったのね」
「遼兄が? ……迎えに来てくれた時には治ってたけど」
「風邪かい?」
「や、トラウマ的な……? ……精神的な物からくるみたいな? まぁ、人間生きてたらこんなこと経験するときもあるさ、的な?」
「いや、聞かれても……」
そりゃあ、聞いてもね。
あ、目が回ってきた、とか思ったらタッツが止めた。
「大人しくしなさい」
「はーい、」
「で、トラウマって何?」
わぉ、タッツ、そこ詮索する?
普通しな……あ、私もしたことあるわ。サトルに対して。
これ話すとみんな顔しかめるからヤなんだよなぁ……
「えー、中学生の時に私がサッカー部の公式戦のベンチに入った事による入れない先輩からの嫉妬のすえの行動的な」
「……イジメかい?」
ほらみんなしかめっ面。
というか、ゴトゥーよくわかったな。
今の説明で。
「そうともいうね、隠れて殴られたりしたし。最終的に最大の怪我が足の捻挫ですんだからいいんだよ。過去のことだし。しかも、その先輩、先生に怒られたし。遼兄もキレてくれたし。まぁ、」
「?」
「ケイトとササとアズが助けてくれたんだけど。助けてくれる人がいるだけマシだよ、マシ。その前なんか――……」
あぶない危ない、これ以上は駄目だな。
「うん、まぁそんなわけですな。どのみち、タッツ達が気にすることではないよ」
「じゃあ、その先輩にあったのね」
「うん。試合の相手でしたー、試合出てなかったけど。治したいんだけどなぁ、何かいい方法ないッスか? 女医さん」
「カウンセリングしかないわ」
「マジっすか」
めんどくせー、何て言いながらまた椅子を回す。
「同情なんていらないからネー。昔のことだもん。今が楽しけりゃ、私はそれでいいんだよ。みんなと楽しくサッカーできたらいいのです」
「そーかい、」
「うお!?」
急にタッツに止められてよろける。
スピード乗ってきた所だったのに。
ていうか、ほっぺつねらないで!
「いひゃい! たっつ、いひゃい!」
「けどな、ナツ」
「うー?」
「お前、さっきから"昔のこと"って何回も言ってるけど、」
「だって、昔のことじゃ……いひゃい!」
「それが清算出来てないから震えて立てなくなるんだろ?」
「! ……」
「……ナツ、無理しなくていい。サッカーでも90分間全力疾走できる奴なんかいない。泣きたいときは泣けばいい。笑いたい時に笑え。そんな暗い顔すんな」
「……」
「お前には今、家族もチームメイトも友達も、俺達だっている。一人で頑張らなくていい」
「で、も、」
「あぁ、もう、泣け!」
俺の胸をかしてやる!
そんな威張らなくても、タッツ。
笑けるよ。
でも、
おかりします。
赤崎妹と、監督達
(……ふぇ……うぅ……)
(よし、)
(……つらかったのね)
(ナツちゃん、今度会ったら私がぶん殴ってあげる!)
(有里ちゃんそれはちょっと……)
68
SQUELCH!!