「おお……凄い多いな、ヴィクトリーサポーター」
「……ああ、ヴィクトリーのホームだからな、」
「さて! 両陣の采配とかを記録しますか!」
ノートを広げたら、シグマに驚かれた。
え、何、驚かれる要素あった?
「驚かれるような事あった?」
「ノート、」
「ん?」
「全部取ってるのか?」
「んー、ちょこちょことね。全部じゃないよ、」
ホイッスルがなり、歓声が激しくなる。
東京ダービーを征するのは、どちらか。
ETUかヴィクトリーか、
タッツの顔が、平泉監督が、厳しい顔に変わった。
「ナツは、どう思う?」
「何が?」
「この勝負、」
「あぁ……持田選手入れたら強制的に向こうのゲームに代わるかな、それまではETUだろうけど。点数は……どのタイミングで持田選手入れてくるか、かな」
「ナツが達海監督なら、どうする?」
「持田選手を潰させる、かな。それが無理なら、出すまでに大量リードさせる。それでも無理なら、ドローに持ち込ませる」
「……ナツらしくないな、」
「何が?」
「全部だ、」
「――……タッツより、ETUの選手がわからないから、ね。江戸代でやるなら、また違うのを考えさせる。けど、キングを潰すのはかわらないよ、」
シグマを見ないでそう答える。
「シグマならどうする?」
「何がだ?」
「キーパーとして、どう指示する?」
「それは、どちらから見た場合だ?」
「そうだな、持田選手がいないヴィクトリー側」
「………………落ち着け、」
「うん、そわそわしてるからね、」
「指示の問題ではないが、意志疎通があまりできてないように思える」
「持田選手がいないからね。ヴィクトリーは持田選手中心に意志疎通していた。だから、意思がズレたあとにできる穴――その穴に付け込んでくると思うんだ、タッツは。大きな穴になりやすいのは?」
「攻撃のとき? ――カウンターか?」
「うん、多分ね、」
試合に見入って、喋らなくなったシグマをよそに私はノートにボールペンを走らせた。
赤崎妹と、東京ダービー#3
(持田選手……!)
(足大丈夫なのかな、)
85
SQUELCH!!