感染注意(5) 



「ナマエ、貴方も一緒にいきましょう!」
「ううん、ごめんね、ビンディ、ナナン。私は、いいよ。二人で行っておいで」
「そんな、」
「私が騒ぎを起こすから、その間にいきなさい」
「ナマエ……」
「二人の幸運を祈ってるよ」

 勢い良く扉を砕いたジープは一気に化け物へとぶつかる。ナマエは顔をしかめた。蜘蛛のようなそれからは人の血の臭いがする。おとなしくなったそれに、ピアーズがジープにC4を慣れた手つきで仕掛けたのを見てナマエはジープから降りた。血なまぐさい。見れば生徒の死体がちらほらある。
 ナマエは眺めていた化け物から距離をとり、ピアーズと女性に近づいた。

「貴女が、ナマエちゃん?」
「えぇ、はい」
「私はメラよ。やっぱり落ち着いてるのね」

 メラの言葉にナマエは苦笑いをした。そして、化け物に目をやる。まだ、微かに動いていることをみると、まだ生きている。ナマエの様子を感じとったピアーズが無線から話を切り上げる。

「ナマエ、どうかしたか?」
「……いえ、はやくいきましょう」
「えぇ、そうね」
「ただ、ピアーズさん、先に爆破した方が正解かと」

 思います。ナマエの言葉を遮って化け物が動き出す。ピアーズが顔をしかめて、起爆スイッチを押した。
 ドォン、と音を立て化け物が燃え上がる。肉の焦げる臭いにナマエが顔をしかめれば、メラがナマエの目を塞ぐようにかばった。野太いような化け物の叫び声が聞こえる。

「ナマエ゛」

 ふと、化け物から聞こえた声にナマエは目を見開く。今、名前を呼んだ。化け物が、名前を。

「いい子だ……そのまま……」

 ピアーズがライフルを構えたのをナマエはメラの指の隙間から見る。ドシュッという音が聞こえ、化け物は動かなくなった。そこでようやくナマエはメラに解放される。さすがは北米支部のエースね、どうも、だなんてやりとりを聞き流しながらナマエは化け物を見た。動かないそれ。人の姿ではないそれ。

「ビンディ……?」

 あの黒髪の少女が見えたのは気のせいなのだろうか。

「ナマエ、?」
「いえ、なんでもありません」

 ピアーズの問いかけにナマエは首を振る。

「はやく、クリス達に合流しましょ」

 メラの言葉に、ナマエは気をひき閉めた。