感染注意(8)
ナマエがこの学園に来た時、偶然イジメの場面に出くわしたのだ。それをナマエが助けた。それが、ナマエがナナンとビンディに関わるきっかけであった。
ナマエは良くも悪くも学園では浮いていた。それは、子供兵であるという肩書きとナマエの出す雰囲気、そして、学園長であるマザーを信仰しないという異質があいまっての結果だ。ナマエに関わってくるのは、ほんの少数だけだ。ビンディやナナンもそこに含まれている。
「ナマエ、一緒にこの学園を抜け出しましょう? この学園は異常だわ」
そう言い出した二人に、ナマエは首を振った。確かに異常であった。だが、抜け出すほどでもないし、後数年我慢すればいいだけだったからだ。断ったナマエに二人は怒りを見せた。いくじなし、と言われたが、ナマエはそれでも断った。
「私は別の場所で騒ぎを起こすから、二人はそのうちに抜け出しなよ」
ナマエの言葉を二人は断る。思えばそこがこの事件の分岐点だったのかもしれない。ナマエがもし一緒に行っていたならば起こらなかったのか。
ビンディだけを学園で見た時、ナナンだけが抜け出したのかと思っていた。ナナンが死んだなんて、知らなかった。
「まぁ、知らなかったは理由にはならない、か」
たどり着いたヘリポートリフトでナマエは小さくそういった。隣の青年が、それを聞いてもう一度ナマエを見た。
「大丈夫か?」
「ええ、ありがとうございます」
ナマエは苦笑いをする。あぁ、だめだ。マイナス方向へ思考が傾いているのをみると、ストレスが溜まって来ているらしい。ナマエは冷静にそう考えるとリフトがあがり出した。
しかし、ドゥンという音がして扉を弾き飛ばされる。化け物は一直線にリフトにしがみついた。もう一度、ナマエは隊長と呼ばれた彼に背中に隠される。
「全員、戦闘用意」
その言葉にナマエは銃を構えようとするが、隣にいた青年に銃口を下げられる。
「終わらせる」
青年が小さく呟くのと、隊長と呼ばれた男性が「撃て!」というのはほぼ同時だった。
戦場のように銃声が鳴り響く。しかし、化け物は大きく飛び上がった。
「散れ!」
その言葉に名前はローリングすることでその場から離れた。
「来るぞ!」
隊長と呼ばれた男性がそう叫ぶのと、化け物がピアーズに触手を伸ばすのはほぼ同時だった。
やばい!
ナマエは近くにいたピアーズの服を慌てて引っ張る。 すんでのところで交わしたらしいピアーズがナマエの方をチラリと見た。
「ありがとう」
「どういたしましっ!?」
よけたと思っていた触手がナマエの首元を締める。
「ナマエちゃん!」
メラの言葉にナマエは冷静に触手に銃口をむけ、引き鉄を弾く。触手が離れナマエは息を大きく吸った。息を整える。そしてまたナマエは銃を構えた。
「ごめんね、ビンディ」
まだ死ぬ訳にはいかないんだ。ボスに会うまでは。