選択肢は二つに一つ(1)



「会いたいんです」

 ナマエはスネークの背後からぎゅっと服を握る。彼女の声は震えていて、あぁ、泣いているのか、とスネークは理解した。ナマエは半年程前に、何故か空から降ってきた不思議な参戦者で、スネークと似たような、いや、同じ世界からきたのだという。彼女はいつもスネークを見て、悲しそうに笑っていた。それは、スネークとナマエが言葉を重ねるほど、行動を共にするほどに強くなる。
 スネークはそっと目を閉じた。

 ――誰かと俺を重ねているに違いない。いや、「誰か」が誰かなんてもう、俺はわかっている。

「ボスにっ、会いたいっ」

 吐き出すようなその言葉に、スネークは小さく息を吐いた。

 ――やはり、か。

 ナマエは嗚咽を漏らしながら、ごめんなさい、ごめんなさいと呟く。

「貴方とあの人を重ねてしまってごめんなさい、貴方とあの人は違うのに」

 でも、とナマエは言いかけた言葉を飲み込んだ。それはスネークにとって、不名誉な言葉だろうと推測したからだ。

 ――でも、貴方とボスは同じような姿で、同じ声だから。重ねてしまう。

 つかんでいた服を離し、声を押し殺してナマエは俯く。涙が地面にポタリポタリと模様を描いていく。

「ナマエ」

 優しい声だ。ナマエにはそれが自分の焦がれたあの人の声のような気がして、顔をあげる。すると一瞬にしてその人に抱きしめられた。視界が青い。これは、彼ではなくスネークのスニーキングスーツだ。
 スネークはもう一度、ナマエ、と耳元で呟く。

 ――俺じゃ、ダメなのか?

 スネークはそう言おうとしたが止めた。きっと、これを言った所で今の彼女は拒むだろうと推測できたからだ。
 その代わりにぎゅっと強く抱きしめた。またナマエが嗚咽を漏らす。

「スネーク、」
「なんだ?」
「ごめんなさい」
「……いや、ナマエが気にすることではない」
「……。……ありがとう」