選択肢は二つに一つ(6)
「ナマエって何歳なんだ?」
「すくなくとも、君よりは年上かな、アイク」
乱闘の後、いきなり問いかけられた言葉にナマエは答える。女性に年を聞くとは中々の勇者だな、とナマエは他人事のように感じた。
ナマエが明確な年齢を言わなかったのは、単に自分の年齢がわからないからだ。あの事件の頃、あの襲撃事件の際までの年齢は覚えている。孫市達と過ごした日々はその年齢の延長戦だろう。しかし、BSAAにいた時の年齢はそれより少し幼い気もする。しかし、全てをトータルに考えればスネークより年上になる上に今の外見では違うだろう。トータルするにも正確な年月がわからないのだから、無理があるが。
「はぁん、てっきり俺と同い年ぐらいかと思ったが」
「それは褒め言葉として受け取りますね」
「別に褒めてないけどな」
「そう言うのは黙っていた方が得ですよ、アイク」
「なぁ、マルス。ナマエは俺たちより年上らしいぞ」
「え?」
思わぬ飛び火である。話を振られたマルスは瞬きをした。
「てっきり同い年くらいかと」
「だよな」
「幼く見える?」
「いえ、そういうわけでは」
マルスが苦笑いを零した。
「まぁ、私が君たちくらいのときは、そこまで苦労はしてないからね」
「平和だったのか?」
「17あたりまでは平和でしたよ。きな臭かったけど。18から戦場に立って、……それからはだいたい戦場にいたかな」
思えば、どれだけの戦場にいたのだろう。ナマエはボンヤリと考える。目を丸くするマルスとアイクに「傭兵だったんですよ」と言えば、合致が言ったのか、なるほど、との返答を頂いた。
「望んで傭兵に?」
「いや、連れ出されて傭兵に」
「はぁ?」
「最初は、ある国の革命軍にいたんだ。自分でいうのも何ですが、英雄視されるくらいには活躍したんです」
「スカウトされたのか?」
「連れ出した人には『助け出した』と言われましたが」
「助け出した?」
「……一応ね、革命軍は勝ったんだよ。でも、掲げた理想と現実は違ったワケだ。上の人たちも市民もその『食い違い』がゆるせなかった。上の人たちはその『食い違い』を――まぁ、罪を私になすりつけたワケで、私は処刑される予定だった」
「っんだよ、それ! おかしいだろ!」
「そうらしいね」
「ナマエさんは、おかしいとは思わなかった?」
「うん。だって、私が死ねば全ては丸く収まりますし。今度は一の犠牲で済む――っていったら、怒られて連れ出されて傭兵になったワケだ」
あっけらかんと言えば、アイクは眉を顰め、マルスは何かを考えているような仕草をした。
「まぁ、今は感謝していますが」
では、着替えてきます、とナマエはその場を後にする。
残された二人は、その後ろ姿を見つめる。
「とんだ経験の持ち主だな。……何考えてんだ? マルス」
「ナマエさんの選択は、どうなんだろうか、って考えただけだよ」
「罪を被って処刑されるあれか?」
「うん」
「俺は足掻くけどな」
「それは、俺もだけど。でも、俺はナマエも正しいともおもうんだ。君もだろう?」
「……」
黙り込んだアイクにマルスは呟く。
「罪を被ったまま、国のために処刑される。そんなこと、並の人じゃできない」