世界は一人の為に回るか否か(7)




 ――困ったことがあれば、赤い服を来た連中にこれを見せてください。何か助けになるでしょう。

 ナマエはフラダリにそう言われて、もらったカードをみる。真っ赤なカードの表には炎のようなマークがかかれており、裏にはナマエの名前がローマ字で書かれているのみ、という非常にシンプルなそれだ。
 旅に出て、早くも一ヶ月程がたった。プラターヌやフラダリからの連絡は結構頻繁にくる。二人とも心配性だなぁ、だなんて思ったりもするが、自分が「記憶喪失の十代の少女」であることを思い出し、それもそうかと納得する。 外見的には、プラターヌ博士の研究所で出会った子供達となんも変わらないのだから。
 最初の方は六人で行動していたものの、目的が違うからか今はばらけてしまっている。セレナとカルムはジム戦、とやらを中心に、トロバは図鑑集め、ティエルノはダンスメンバー探し、サナは思い出作り。ナマエは、といえば殆ど観光目的だ。図鑑もそれなりに集めたりはしているが、誰と似ているか、と言われれば間違いなくサナだろう。

「……くすぐったいよ、ピカチュウ」
「ぴかあ!」

 カードを眺めていたからか、暇になったピカチュウがナマエにすり寄った。ナマエはくすぐったくて笑う。

「……この世界は平和だね」
「ちゃあ?」

 ナマエがふっと笑って言う。こんな平和な世界で、ボスと生きていければよかったのにな、だなんて考えてナマエは視界に映った赤色に首を傾げた。そちらを見れば、真っ赤なスーツを着た男性がいる。真っ赤な髪に真っ赤なサングラス、真っ赤なスーツ。赤づくしだな、と思っていれば、ナマエに気付いたらしい男が寄って来た。

「貴女は……何かお困りですか?」

 そういった男にナマエは首を左右に振る。男は「そうですか、何か困ったことがあれば声をかけてください」と告げてもとの位置に去って行った。

「優しい人、ばかりだ。ね、ピカチュウ」
「ぴかぴかちゅう」
「やっぱり、私は場違いな気がするな、この世界は」

 ナマエの言葉にピカチュウは首を傾げた。