君を中心に世界は回る(3)
白人女性の言った言葉に瞬きをする。
――一緒に世界にいかないか。
なんて魅惑的な言葉だろうか。このままふらりと消えてしまえばMIAだとか、脱走兵だとか言われることになるだろう。彼はどうするのだろうか。そう思い彼を見上げれば彼は真っ直ぐな目でこう言い放った。
「彼女が行くなら俺も行く」
彼女は私の事をさしている。私が困惑した表情を見せれば、彼は穏やかに笑うのだ。その仕草に壮年の男性が「なんだ? 恋人か?」と呟いた。
「いえ、恋人ではないです」
「にしては親しげだな」
「で、どうするの?」
「……行きたい、です」
ぽつり、と零した言葉に彼女はにんまりと笑った。
「会いたい人がいるんです。探すには、こんな場所にずっといられませんから」
言い訳のように聞こえるだろうそれ。しかし、女性は満足気に笑う。
「そう! なら、理由はどうであれ歓迎しよう! えーと、」
「私は……ナマエです」
「俺は……ジョンだ」
「ナマエにジョン! 歓迎するよ!」
女性と握手を交わしてから、彼と視線を交える。
「この戦場ではお世話になりました、ジョンさん。よろしくお願いします」
「あぁ、ナマエ、こちらこそよろしく頼む」
そう言って握手を交わせば、疑問が混じった視線をいただく。
「知り合いじゃなかったんですか?」
黒い髪の女性の言葉に、二人で頷く。
「今日が初対面だ」
「今日が初対面です」
二人で言った言葉に、彼女達がずっこけるのを見て何処のコメディ集団だ、と思ったのは仕方が無いだろう。
それから――。
あの白人女性――ココさんに時間を貰い、私と彼は敵兵の死体をあさりに行った。聞こえは悪いが、安全に姿をくらますためのものである。まぁ、調べられたらバレるのでアレだが。自分と同じ体格で同じくらいの年齢の女性兵士を引っ張り出し、装備一式とドッグタグをかける。彼も彼で同じくそうする。そして、それに火をかけた。
壮年の男性に、「えげつねぇな」と言われるが、新兵二人が姿をくらましていれば脱走兵扱いになるだろうというのが私たち二人の推測だった。
燃え上がったのをみたあと、彼の行くぞという言葉に歩き出す。
かくして、私は2度目の国を捨てたのだった。