君を中心に世界は回る(4)



 あれから、ココさん達と出会ってから3年の月日が流れ、仲間も新たに加わったりした。あの世界では、バイヤーとの関わりは殆ど無かったわけだが(主にバイヤーと関わっていたのはボスとカズであり、また、自分達で武器を作っていたのもある)、中々面白いものがある。以前、それを壮年の男性――レームさんにこぼせば、レームさんはヘラヘラと笑って「まぁ、ココのやり方は他とは違うからな」と言った。ココさんの護衛も、まさか殺し屋と対峙したり、街中でドンパチしたりするとは思わなかったが今は慣れた。人間、習うより慣れよ、だ。

 ちなみに、あの後から自分の出処を探ったところ、殆ど同じ境遇にいたことが分かった。年代は違うが、東欧の紛争地で生まれた私は両親を殺され、当時17歳だった私は高校を中退して兵に志願した、となっていた。ちなみにあの国は徴兵と志願両方の方法をとっており、徴兵制は22歳からで志願できるのは16歳からだった。ジョンさんは言わずもがな、徴兵制組である。徴兵する前は何していたの? と尋ねれば、大学に通っていたとのこと。動き云々の疑問は聞かないようにした。向こうも聞いてこないし。

 ふと隣に目を移せば、ジョンさんは本を読んでいた。最近になって髭をはやし始めた彼はどこかボスに似ている。
 視線に気付いたらしいジョンさんが、こちらをみて緩やかに笑った。

「ナマエ、どうした?」
「いえ、何の本を読んでるのかな、と」
「あぁ、これか」

 ちらりと見せてくれた本の表紙には、バイクが書かれている。バイクのカタログらしい。

「バイクを買うんですか?」
「仕事がなくなったらな。彼女と二人乗りをする」
「いいですね、それ」
「本当か!?」
「でも、ジョンさんは彼女がいないわけだし、彼女を作らないと」

 その言葉に、ジョンさんは固まり周りはずっこけた。おかしなことを言っただろうか、と首を傾げれば黒髪の女性――バルメさんに頭を撫でられた。何故。

「そういうナマエは何を読んでるんです?」
「医療雑誌ですよ」
「ナマエ、それ毎月買ってるよな」
「えぇ、癖で」

 ちなみに、あの世界にあった雑誌である。見かけた時は少し感動したのは仕方が無いことだと思う。私の言葉に、青年――ルツが「さすが我らが衛生兵」と言うが、微妙な心境だ。私が言うより周りがはやく口を開くのだから。

「無免許ですけどね」
「無免許だけどな」
「はぁ!?」
「正しくは高校も卒業してませんし」
「はぁ!?」
「……それにしても、ココさんと新入り君、おそいですね」

 無理やり話を変えれば、バルメさんが「そうですね、心配です」と話に乗ってくれた。その時は誰も思わなかっただろう。
 新入りが、チャカをもった少年兵だとは。