君を中心に世界は回る(9)



 いつだったか。パスからまだ来てはいけないと告げられたのは。彼を探すのを諦めてはいけないと示されたのは。
 でも、もう、いいでしょう、パス。もうそっちに行かせてよ。もう嫌だよ。助けて、誰か、助けて。
 真っ暗な世界で、ナマエは一人絶望する。
 拒絶された、拒絶されてしまった。私はどうすればいい? 何の為に生きたらいい? やっと会えたと思ったのに!
 何の答えもかえってこないそれに、ナマエははた、と思考を止める。最後に彼はなんていった? どうして彼は、

 そこでまた体に衝撃がはしり、ナマエは目を覚ました。

 夢だから暗い世界にいると思いきや、夢から覚めても暗い世界だ。夜の暗さではない。捕虜によく被せられる袋での目隠しだろう。ぼんやりとしていたナマエに、今度は電撃のようなそれが襲いかかった。

「ゔ、ぁ、」

 痛みにもがくが、体がちゃんと動かない。拘束されている。

「やっと目が覚めたらしいぞ、ボス」
「あぁ、そうらしいな」

 聞こえてきたのはカズの声とボスの声だった。聞きたくない。これは、きっと夢だ。夢なんだ。

「気分はどうだ? アシュリー?」

 告げられた名は、ナマエが捨てたそれだ。驚いて固まるナマエに、男は嗤う。

「三年ぶりの再会だ、元気にしていたみたいだな。死んだとおもっていた」

 また慈しむような声だ。しかし、その言葉を言い放った瞬間、また、電撃が走り抜ける。ナマエは押し殺した悲鳴をあげた。思考が、できない。三年ぶりだって、どういうことだ。

「まだ俺が誰か思い出せないか? あぁ、そうか、この袋が邪魔だったな。なら、教えてやる」

 ナマエは息をのんだ。

「俺は、ジョー=グルージアだ。お前がジャックと壊滅させたあの部隊の隊長だよ」