君を地軸に逆回転(-1)
ヨルムンガンド計画が終わり、さて、どうやって生きていこうか。そうナマエとジョンことボスがゆったりと笑いながら話あっていた時。閃光弾を投げ込まれたようにいきなり目の前が光り、咄嗟にボスらナマエを抱き寄せる。目や耳は暫く使い物にならない。しかし、ナマエをせめても守りたくて、ボスはナマエを強く抱きしめた。
まだ使い物にならない目や耳とは違い、最初に機能したのは鼻――嗅覚だった。先ほどまでいた場所の匂いなどではなく、森林やジャングルといったそれに違い匂いがしてボスは顔をしかめる。続いて機能したのは触覚だ。ナマエがぺちぺちと自分を叩くのを感じるが、それよりも先にナマエが一回りほど小さくなったような気がしたのだ。
徐々にはっきりとしていく視界と、耳に聞こえて来る音。それらは全て、さっきまでいたホテルではないことを告げていて。ボスは顔をしかめながら辺りを見渡した後、今だにぺちぺちと自分の胸を叩き続けるナマエに視線を落とした。
「……ナマエ、幼くなってないか?」
「その前に、離してください、苦しいです」
ナマエの訴えに、ボスは渋々離れる。大きく息を吸ったナマエはやはり幼い。だいたい、出会った頃の年齢ぐらいだとボスは推測した。彼女には珍しく女の子らしい服をきている。腰にあるベルトには何かボールのようなものが着いていた。ナマエもナマエで何かを感じ取ったらしく、自分の服とボスを見て頭を抱える。そして、「またか」と諦めたように声を出した。
ナマエの説明を聞くに、どうやら別の世界に来たようだった。ボスは、生まれ変わったのだから、そういうこともあるのだろうと、無理矢理自分を納得させる。ナマエに「何故わかったのか」と聞けば、ナマエは「ボスと出会うまで、こうやってボスを探して来ましたから」と微笑んだ。
「ここは、とても平和な世界です。時々、変な組織が表沙汰になるくらいで、戦争も何もありません」
「俺たちとは縁が遠い世界だな」
「そうですね。後、この世界にはポケモンという生物がいて、人々はそれと共存しています。バトルをしたりもします」
「ポケモン?」
「はい、こんなのです」
ナマエが腰につけたベルトから、ボールを取り出し軽く宙に投げた。そのボールは軽く光ると、何かがその場に現れる。
「ぴかぁ……! ぴかぴ!」
黄色い何かはナマエをみると一目散に飛びつく。ナマエは慣れたように抱き上げた。
「可愛らしい生き物だな」
「ピカチュウは可愛らしい生き物ですね。色んなポケモンがいますし。後、ボス、食べられないですよ」
食べれるのか、と口にしかけたがそれより早くナマエが否定する。そうか、食べられないのか、としょんぼりとしたボスにナマエは少し笑った。ピカチュウはボスを見て首を傾げている。ボスはピカチュウに顔を近づけると、撫でた。
「さて、これからどうする?」
「うーん、現在地がわからないのでなんとも言えませんがどうせなら旅でもしますか?」
「それもいいな」
目を合わせて二人で笑えば、ピカチュウはきょとんとした表情をした。 さて、どんなポケモンにであうだろうか。