大海の奇跡07
翌日。
俺達は園子嬢に連れられて、昨日の屋上まで来ていた。小さなテラス席となったそこ。園子嬢が金持ちであると思い知らされる一瞬である。飲み物を聞かれ、任せるわといった園子嬢は完璧なお嬢様だった。
「ねぇ、遠山さん、昨日のキッドのトリック、教えてよ」
「おや、コナンくん。君は自分で解き明かすのが好きだとおもったのですが……いいんですか?答えを告げてしまっても」
高遠の言葉に、コナンはうう……と息をつまらせた。
「ヒントを与えましょう。一つは、この屋上のどこかにとある跡があります」
「跡?」
「まぁ、ヤマト君は答えを知っていますが。2つ目は、昨日言った『ヘリ』と『優秀なアシスタントがいなければ成立しない』ということ」
「殆ど答えになってますよ、遠山さん」
「ふふふ、それはアキがわかっているからであって、わからない方にはこれでもわからないのですよ」
そう言った高遠はアキを見て微笑んだ。甘い空気を漂わせるんじゃない。
――昨日、といえば。
「遠山さん、キッドのワイヤー一本切ったんだよな?」
「ええ、切りましたね」
「俺、そっちのトリックのほうが気になるんだけど」
「自分の手のうちは明かしませんよ」
そう言って交わした高遠に小さく舌打ちをすれば、アキに咎められた。とりあえず、俺はコナンを連れてそのワイヤー跡までやってくる。
「これは……」
「多分、最初はこれを使ってたんだと思うぜ?」
「最初は?」
「ああ、後から、ワイヤーが外れるような音がしたんだよ。その時には別の方法に変わってたんだと思う」
「……遠山さんがワイヤーを切ったっていうのは?」
「昨日、キッドが一瞬バランス崩したろ?遠山さんが、どうやったのかはしらねーけど、薔薇の花を投げたらそうなったんだよ」
「薔薇の花……あれは、キッドの演出じゃなかったのか」
「おう、遠山さんが投げたやつ。キッドの真上、辺り、に――」
「――」
俺とコナンが顔を見合わせる。そうか!
「ヘリからキッドは釣られてたんだ!」
「ああ、だから、遠山さんは『ヘリ』に注意しろといってたんだ。それに、『アシスタントが優秀』とも!キッドの仲間がヘリを操縦してた!」
「次郎吉さんのところへ行くぞ!」
「おう!」
そう言ってかけていく俺達を見て、アキと遠山さんが微笑ましく見ていたらしい、というのは後日の蘭さん談である。