Hidden Corpse01
「ヤマトが遅いです」
少し顔をしかめて時計を見る。時計はもうとっくに図書館の閉館時間をさしている。「コナン君の読書感想文に付き合うっていう文言の図書館での遊びに付き合ってくる」とは出かける前のヤマトの言葉で、その時はちゃんと門限には帰る、と約束したのだ。ヤマトは普段、約束はちゃんと守る子である。
私の言葉に、隣に座ってマジックの雑誌を読んでいた高遠さんが口を開いた。
「珍しいですね、ヤマト君が門限を破るなんて」
「何か事件に巻き込まれていなければいいんですが」
「まさか、金田一くんではないんですから」
そう言った高遠さんに、そうですよね、と相槌を打つ。はじめちゃんではないのだから、危険な事件には巻き込まれていないだろう。そこまで考えが及んで、思考が止まった。
はて、本日はいつものように少年探偵団と遊びに行ったわけである。その中でヤマトの帰りが遅くなった例は数あるが、そのうちの多くは事件に巻き込まれているのだ。
「アキ? どうしたんです?」
「高遠さん、ヤマトが事件に巻き込まれている予感がします」
「……ほう。それはそれは」
読んでいた本をパタンと閉じて、立ち上がる。そして、高遠さんは私を見た。
「仕方ありません、迎えに行きましょう。ヤマト君が帰ってこないと、君の思考は悪い方へ向かうでしょうから」
そう言って差し出された手に手を重ねる。「僕らの穏やかな時間わ潰した罰だ。後でヤマト君をいじめてやりましょう」と高遠さんがクスリと笑った。