Hidden Corpse04
コナンの読書感想文に付き合うという文言の図書館での遊びに付き合っていたら、また事件に巻き込まれることになった。というか、少年探偵団が自ら首を突っ込んだことになるのだろう。消えた死体に、大量の麻薬。微かな記憶はあるものの、はっきりとどういう展開か覚えていない。ただ、ホラーチックだったイメージがあるのと、灰原がいない時期の事件だったイメージしかない。
灰原が携帯を三階のあの部屋に落としてしまったらしく、一緒に向かうことになった。まぁ、殺人犯がうろちょろしている中を一人で歩くなんて自殺行為に近い。
だから、付き添った。決して一階から4階まで本を全部抜き取って云々が面倒だからではない。いや、嘘だ。かなり面倒だから灰原を口実に抜けたのも理由に含まれる。
携帯を机に取りに行く灰原から視線をあの棚――大量の麻薬が隠されていた棚――に移せば、端の本が抜けているのに気がつく。おかしい。俺たちは本をきちんと戻したはずなのである。
――誰か、いる。
急に背中が冷える。灰原の手を取って、背中に隠す。動揺した灰原は無視だ。戦える手段なんて俺にはないが、灰原を守らなければ男の名がくさるだろう。。
「俺から離れんなよ」
「え?」
ゆっくりと、本棚の影まで移動し、覗く。そこにいた人物も、俺を見下ろした。黄色い、瞳。この図書館の館長ではない。が、ちがう殺人犯がいたわけで。驚いた俺は口を開く。
「たかっ――」
「静かに。見つかりますよ」
そう言ったのはまさしく高遠だった。高遠の背中から顔をのぞかせたアキに、安堵する。
この事件に、高遠が関わっていたのかと本気で思った。こちらはこちらで、灰原がアキと高遠を認識したらしい。「遠山さんと飯塚くんのお姉さん……?」と首をかしげた。
「女性を庇うとは、君も男ですね」
「うるせー、なんでアキ達がここにいるんだよ」
「連絡もなく門限を破ったのは誰でしょうか」
「う、」
アキの視線に目を泳がせる。そして、小さく「ごめんなさい」と謝れば、灰原に小さく笑われた。アキは一言、「みんな無事そうで安心しました」という。心配をかなりかけたらしい。高遠からはデコピンをいただいた。地味に痛いが、アキを心配させた罰らしいので受け入れる。
「二人は飯塚くんを探しに来たのね」
「ええ、そうなりますね。厄介な事件に巻き込まれているようですが」
そう言った高遠の片手にはあの背表紙のない本である。俺たちが苦労して見つけたというのに、さすがマジシャンというだけあるのだろうか。俺たちを探しに来たということは、つい最近やって来たのだろう。と、なれば、数十分もしないうちに見つけたのだ。少し悔しさを覚えてしまうのも無理は無い。
「ヤマトや灰原さん達は、麻薬を探していたの?」
「いいえ、江戸川君が死体を探してるのに付き合ってたわ」
「死体? また物騒な単語ですね」
「手伝ってくれてもいいんだぜ? アルバート公」
ニヤリと笑ってそう言うと、高遠はヤレヤレと肩を竦めた。
「君のお願いなら仕方ありません。解決しないと君達は帰らないでしょうしね」