Hidden Corpse05
高遠に事の顛末を話せば、本棚云々は即座に否定された。
「本棚に隠せばすぐにバレるでしょう。どう殺したかは知りませんが、血液や、腐臭を隠せません。本なんでいつ抜き取られるかわかりませんし。それと同じ理由で本棚の後ろもないでしょうね」
「腐る前に移動するとかは?」
「まぁ、普通に考えてそうする気でしょうが、それならもっと隠せる場所で殺せばよかったんですよ。計画的な犯行ではないですね」
「バラバラにしてあの背表紙のない本にしまうとか」
「バラバラにして、あの背表紙のない本の中に入れるなんて無理ですよ。死んだ人間は硬いんですから。そんなバラバラ死体をこの場で作れる人がいれば拍手を送りたいですよ」
スラリと答えた高遠に、唸る。人が隠れれそうな場所はもうない。というか、死んだ人間が硬いとかいう感想はいらない。いや、聞いた俺も悪いけど。
灰原がため息をついた。
「人目につかない場所もないって警察が言ってたし、ないんじゃないかしら」
「えー? でもさ、あの館長なんかきな臭いだろ。ありそうな気がするんだよな」
そうぼやけば、様子を見ていたアキが口を開く。
「エレベーターの下、とかは?」
「え?」
「アキ、エレベーターの下はあり得ませんよ。あるとすれば、エレベーターの天井だ。だが、確かめてみる価値はある」
そう言った高遠は真剣な顔だ。
「その為にはエレベーターの扉を手動開閉にしなければいけませんね」
「なら、機械室ね。上の階だわ」
「なら、私は機械室に行ってきますので、三人はここにいてください。すぐに戻ります」
「おい、それ、死亡フラグだぞ」
「ご心配なく。私はどちらかというと、死亡フラグを回収する側なので」
スラリと告げた高遠に、そうだよな、と頷く。灰原が、どういう意味?と聞いてきたが笑ってごまかした俺は悪くない。