Hidden Corpse06
高遠が帰ってくると、人数が増えていた。少年探偵団と合流したらしい。コナンに声をかければ、コナンは生暖かい目で俺を見てきた。高遠は気にすることなくエレベーターの扉を手動で開け、エレベーターを呼ぶ。ウィンウィンと動き出したそれに、少年探偵団やコナン、俺たちが覗き込む。コナンが少年探偵団に説明を始めた。
「俺たちが昼間、エレベーターに乗った時に、定員オーバーのブザーが鳴ったのを覚えてるか?」
「はい。でも、コナンくん。このエレベーターの定員は9名……あの時は、僕達六人を含めて10人が乗ってたから、ブザーが鳴るのは当たり前じゃあ……」
「それはおかしいですね」
光彦の言葉に、アキが首をかしげる。
「子供は大体2〜3人で大人1人換算ですよ」
「アキさんの言うとおりだよ。俺たち六人を合わせてもせいぜい130キロ前後! 大人約2人分だ」
「あの時は、俺たちの他に乗ってた大人四人の体重と荷物の重さを足しても……最低でも60ぐらいは開きがあるな。大人一人分か」
「そう、ヤマトの言うとおりだ。このエレベーターには最初から一人乗ってたんだよ。みんなの死角となる、エレベーターの天井にな」
上がってきた死体に、アキが顔をしかめ怖がる歩美ちゃんの目に蓋をした。
「絞殺……いえ、決定打は後頭部の打撲でしょうから、上から突き落とされたんでしょうね」
「これもきっと、全てあの津川館長の仕業だよ。さぁ、早く警察に――」
見えてきたエレベーターの室内に、高遠はコナンを後ろに引っ張った。アキも俺や少年探偵団の前に立つ。現れた津川館長は、ニコリと笑みを浮かべて俺たちを見た。
「どうしたんです? 図書館はもう、閉館ですよ? 鍵を締めるので、一緒に行きましょうか」
「見据えた嘘ですね。そういうのは後ろの物を隠してから言ってはどうです?」
高遠の言葉に、館長は目を見開く。そして、大きく後ろに持っていた物を振りかぶった。
高遠は勢いよく振り下ろされたそれをバシリと手で受け止める。何かをつぶやいた高遠に、館長は目を見開いた。その隙を高遠は見逃さなかったらしい。鳩尾を容赦なく殴り、館長は呻いて倒れこんだ。高遠はマジシャン用だろう手錠を館長にかけるといきをはく。
「そろそろ警察が来る頃でしょうから、私たちは退散しましょうか、アキ」
「は? 警察?」
「アキが、携帯で警察を読んでくれていたんですよ。あなた達が帰ってこない、何か事件に巻き込まれたんじゃないかって、ね」
「そんなことで警察が動くのか?」
俺の疑問に肩を竦めた高遠に俺たちは首をかしげる。アキはクスクスと笑うだけだ。
「くれぐれも私とアキがいたことは秘密にしておいてくださいね」
その全ての意味がわかるのは、高遠とアキが去って10分後のことである。やってきた目暮警部に事件の顛末を話していれば、高木刑事が「それにしても驚いたよ」と俺に声をかけてきた。
「ヤマトくんのお姉さんって、あの明智警視と知り合いなんだね」
「どこで知ったの、その情報」
「不動の明智警視から要請があったの。閉館後の米花図書館に、子供が入り込んだ、事件に巻き込まれてる可能性があるから調べてくれないかって」
アキ、いつの間に明智警視の連絡先を手に入れてたんだ。通りで高遠が逃げるはずだよな、と感心してしまったのは仕方がない。 ちなみに、帰宅すると高遠がアキに手当されていた。掌で受け止めた形だったが、さすがに鉄パイプは頂けなかったんだろう。無理をしないでくださいね、と眉尻をさげたアキに、高遠が同じように困った顔をしていた。アキに怒られてやんの、ざまぁ、と思ってしまったのは、うん、仕方ないよな。