明智警視と俺の優雅なる放課後
「なんで明智警視が帝丹小に」
「君が普通の小学生生活を送れているようで、少し安心しましたよ。ヤマトくん」
答えになってねーよ、と突っ込んではいけないのか。そうだろうな、うん。
帝丹小の校門前である。小林先生が、「飯塚くんの知り合いの方が見えてるわよ。かっこいい方ね」だなんて俺に告げてきたのが始まりである。高遠かと勘ぐったが、高遠なら迷うことなく俺ではなくアキの方に行くだろうし、と悩んでいたが、明智警視とは想像できなかった。だって、俺は全然関わりがないに近いし。
俺の言葉を聞いて、隣にいたコナンが、「警視?」と首をかしげたので、「不動の方のな、」と返す。先に帰っといて、と言って追い払えば、灰原以外の全員不服そうな顔をした。事件に首を突っ込みたいらしいが、事件じゃない。多分。明智警視は俺をあんまり事件に関わらせたくないっぽいし。というか、お前ら事件によくそんな興味持てるな。俺はワクワクなんてしねーよ。渋々ながら歩き出した少年探偵団の面々を呆れた目で見送って、明智警視を見上げる。
「でも、ワザワザアキじゃなくて俺の所に来るなんて、珍しいな。何の用?」
「アキさんの所に行ってみたんですが、入れ違いだったようなので、貴方に頼み事をね」
「なるほど」
「こんな場所で立ち話もアレですし、何処かお店に移動しましょうか」
そう告げた明智警視に頷く。
「俺も丁度明智警視に聞きたいことがあったしな」
そう告げれば、明智警視はきょとんとした表情を見せた。
行き着いた場所はお洒落な喫茶店である。明智警視はコーヒーを、おれはアップルジュース(最近はまってる)とフルーツパフェ(明智警視が頼んでくれた)を頼み、料理が運ばれてきた所で明智警視が本題を切り出した
「コレです」
「ミステリーナイト?」
明智警視が書いてあったのは、何やらイベントツアーの広告だ。新聞の切り抜きだろうか。信州にある城――ドイツから移築された城で謎解きツアーと書かれている。うん、謎解きだけなら面白そうだ。
「これをアキさんとヤマトくんにも参加して欲しいんです。お金はこちらで用意します」
「なんか楽しそうだし、俺も行きたい。アキは……」
なんやかんや、チャットのアレだって俺が参加したい、参加する、行けるといったと言った、といえば参加したのだ。今回も同じ手で行けば、参加してくれるだろう。
「俺が行くって言ったらアキも来るだろうし、申し込んじゃっていいと思いますよ」
「その口ぶりから言って、同じようなことがあったようですね」
「退路絶たないとアキはあんまりYesって言わないから」
「なるほど。ならば先に申し込んでおきましょう」
そう言ってコーヒーを口に運んだ明智警視は、フルーツパフェを食べる俺を見た。
「で、ヤマトくんの質問とは?」
「俺、将来警察になりたいんだけど、なんかキャリアとか非キャリアとかよくわかんねーし、教えて欲しくて」
「警察に?それはいい。きっと私みたいな優秀な警察官になりますよ、君は。金田一くんと違ってね。では、まず、キャリア組と――」
ちなみに、明智警視に納得いくまで話を聞き終わるまで二、三時間かかったが、明智警視は笑顔で許してくれた。貴方が来ることを楽しみにしてますよ、とは明智警視の言葉だが、俺が警官になるのは最低でも12年後である。
……明智警視はどこまで上り詰めてることやら。