The third conjurer02
目の前を歩くアキと真田さんを見る。まさかコナン達とこんなところで会うとは予想もしなかったが、まぁ、コナンがいるわけだし、今事件が起こっているわけじゃない。それに、ひっかかるものはあるが、終わっている事件だからまぁ、うん。大丈夫だろう。
真田さん曰く、九十九元康――この奇術団のトップだった人だ――の弟子は真田さんを合わせて四人いるらしい。
「一人目は俺」
「はい、あと、三好麻子さんは存じ上げています。日本有数の女性マジシャンです」
「さっきいたもう一人は百地裕士。まだ弟子になってすぐだな」
「あと一人は?」
そう首を傾げたアキに、真田さんは「あと一人は」と口を開き――後ろから足音が聞こえて言葉を止めた。噂をすれば、と口を開いた真田さんが振り向き、俺とアキも振り向く。
そこにいた人物に俺たちは動きが止まる。
「さとみさん……?」
そう呟いたのはアキだ。俺もポカンとしたように彼女を見る。いや、最後にあった時、確かにマジックを続けると言ってた気がする。そう思い出してみると、あのショーを見る前、記憶の中のさとみさんが明るい口調で口を開いた。
――あたしは今月から九十九奇術団ってとこに入ってマジック修行再開よ! 幻想魔術団と並ぶくらい有名で、先生もいい人だし……それに、あたしからマジック取ったらなーんにも残んないしね!
なんで忘れてたんだ、とため息をつく。いや、多分、あの時はそれどころじゃなかったのだ。
「やっぱり、飯塚さんとヤマトくんだ! 久しぶりだね!」
そう笑った彼女に、アキが戸惑ったように「お久しぶりです」と告げた。俺も軽く久しぶり、と返しておく。
「知り合いか?」
「ちょっと事件で鉢合わせを」
そう苦笑いしたアキに、真田さんは少し目を見開いて「あの事件か」と口を開いた。恐らく、あの魔術列車の事件はマジシャン界隈では有名なのだろう。さくまさんは俺に合わせて屈むと悪戯っぽく笑った。
「一三さんから飯塚さんの話は聞いでたんだ〜、だから、もしかして! って。やっぱりヤマトくんのお姉さんだったのかぁ」
「裕士より先に入ってきた残間さとみだ」
「よろしくね」
そう手を差し伸べたさとみさんに、アキが苦笑いして手を重ねる。
「飯塚アキです。あの時、体調が悪かったので挨拶も出来ず申し訳ないです……今日は見学に」
「顔真っ青だったもんね! 見学かぁ」
そう告げたさとみさんに、アキが頷く。ちらりと真田さんとアキを見たさとみさんは、俺の肩を掴んだ。
「一三さん、もしよければヤマトくんの案内はあたしがしましょうか? 子供が入っちゃ危ない場所も行くんでしょ?」
「いいのか?」
「はい! ねぇ、ヤマトくん!」
「うぇ!? まぁ、うん、いいけど」
いきなり振られた言葉にそう言えば真田さんが首を傾げ、アキも首を傾げた。
「じゃあ、頼む」
「はーい」
「弟をよろしくお願いします」
そうお辞儀したアキを連れて真田さんは先に進んでいく。それをさとみさんに確保されたまま見送る。さとみさんを見上げれば、さとみさんは舌を出した。
「勝手に決めちゃってごめんね」
「いや、別に……」
「真田さん、まだ、立ち直ってないから、息抜きがいるかなって」
「アキが息抜き?」
「ふふふ、その話は後でしよう。どこ行きたい?」
そう笑ったさとみさんに、暫く考える。何処、と言われても奇術団の屋敷に何があるかなんてわかりはしない。さとみさんは俺の様子に少し笑って、鳩の部屋から行こうか、と告げた。