The third conjurer04


「そうか! 犯人は電話線を抜いてからご主人をこの部屋に閉じ込めたんだ!!そして、死体発見時のどさくさに紛れて付け直した!」
「で、でも、そんなこと……」
「マジシャン貴方達はマジシャンだ。それくらい容易い」

 さとみさんをちらりと見てそう言った毛利探偵に、マジシャンのネタを暴きたいときは逆の手を見ろ、というもんな、と思う。
 ……なんか魔術列車の高遠思い出したからこれ以上言うまい。
 そう思っていつつさとみさんを見れば同じくちょっと眉尻を下げていた。マジックを犯罪に使われるのは頂けないのだろう。毛利探偵が数字を見て、これはメッセージだと告げる。それと同時に蘭さんがコナンにペンを出した。
 ここで、はた、とうごきをとめる。
 この話はもしかして、コナン=工藤新一と蘭さんが感づく話ではなかったか。そう思いつつ、コナンに「御愁傷様」と心の中で手を合わしておく。事件より後が大変だ。まぁ、そこしか覚えてないけど。

「ヤマトくんはいいの?」
「んー、別にコナンがもうわかってそうだしなぁ」
「でも、ヤマト、僕、この形なんて読むかわかんなーい」

 そう言ったコナンを見る。おい、巻き込むな。意地でも巻き込む気かこいつは。俺はこの屋敷を見たいんだ! 鳩の部屋とかウサギとか見たけどな! かわいかったけどな! 俺は他の部屋にも行きたいんだよ!
 そういう文句を心の中で吐いておく。3秒ぐらい無言の睨み合い(若しくはジト目合戦)が続き、俺が口を開く。

「えー、コナンでわかんないなら俺もわかんないー。というか、毛利探偵に教えてもらったらいいじゃねーか」

 後半は普通のテンションだが仕方がない。覗き込んだ毛利探偵が「D!」と声を上げたのでいいだろう。さとみさんがクスリと笑う。

「君ってそういうキャラだったの?」

 ……さとみさんに誤解が生まれた気がする。とりあえず首を左右に振っておいた。そんなこんなさとみさんと俺が話しているうちに、毛利探偵は言葉をこぼす。

「DCマコ?」
「マコ? 麻子さんのことですか?」

 毛利探偵の言葉にさとみさんが首を傾げた。じゃあまさか、と口を開いた九十九さんに毛利探偵が否定の言葉を述べる。

「ご主人が麻子さんに託したメッセージかもしれないし」

 そこからまた毛利探偵に話題が移ったのでぐるりと辺りを見渡す。並んだ額縁の中に、埃がないものが一つだけあった。隣に並んださとみさんが俺の視線を辿った。

「ああ、あの人は木之下さんだよ! あたしがはじめてショーを見た人なんだ。近宮先生や、黒羽盗一に並ぶかもって言われてたんだけど……」
「だけど?」
「練習中の事故で亡くなったみたい」

 そう口を開いたさとみさんに、また練習中の事故かよ、と思う。
 そこて、また、動きを止める。ここで暮らす人が全員容疑者なのだろう。彼らはみんなマジシャンだ。でも、その色眼鏡を外そう。
 そう、もし、彼らが一般人なら? 密室の自殺に見えるが不可解なモノ。と、いうより、密室だったから、有効な証拠がないから警察は『自殺』として処理をした。使われたトリックは単純ではある。だが、これは、あまりにも――。

「……考えすぎか」

 そう苦笑いしてこぼせば、さとみさんが首をかしげる。なんでもない、といえば、蘭さんが「ダ・カーポ」と小さく告げたのが聞こえた。