The third conjurer06


 繁華街から戻ってくると、アキはまだ帰っていなかった。それに首を傾げれば、周りの話はあの木之下さんに移っていく。どうやら真田さんは三好さんが木之下さんに何か特殊な感情を持っていたことがわかっていたらしい。
 しばらくすれば、カツン、カツン、とヒールの音とともに三好さんがやってくる。背負われてるのはクラスメイトの九十九文乃さんだろう。
 ……今気づいたけど、九十九文乃さんは九十九元康の娘か。おいおい、マジシャン親族結構いるな。
 九十九さんが慌てて彼女を受け取りに行き、三好さんは彼女を渡す。上下している胸は、生きている証拠だ。三好さんの言う通り、眠っているだけだろう。

「ふふふ、本当はもっと長い眠りにつかせてあげるはずだったけど……兄のようにね」
「兄?」

 ――兄。

 そこで嫌な予感が再来する。木之下さんは、三好さんの年の離れた兄らしい。練習中の事故に見せかけて、あの九十九元康に殺害された。

 ――復讐のための殺人。

 それは、あまりにもあの事件と似通っていて。
 さとみさんの顔が少し青くなったので、さとみさんの腕をさすっておく。気の紛れにはなるだろう。
 真田さん曰く、九十九さんは三好さんの状態に気づいていたらしい。自分が殺した相手の妹を引き取る。それは贖罪のためだったかは、今となっては神のみぞ知る、だ。
 話が三好さんの自主方面に向いた為、三好さんに疑問を尋ねてみる。

「なぁ、三好さん、一応聞いていい?」
「あら、何かしら」
「アンタの裏に、高遠遙一はいないよな?」

 その言葉に、三好さんは少し目を見開いた。いや、三好さんだけじゃない。周りも目を見開いた。

「この事件は唆されたんじゃなくて、自分で考えてしたんだよな?」
「ええ、そうよ。まぁ、確かにさっき彼とは会ったけどね」

 そう返した三好さんに、息を吐く。高遠は絡んでいないらしい。でも、待てよ。

「さっき会った?」
「路地裏でね……文乃ちゃんを殺そうとした時に会ったのよ。それで気が失せちゃった」
「麻子、お前、いつあんな犯罪者と」
「知り合ったのは彼が犯罪者なる前。マジシャン友人だったのよ……」

 麻子さんはそう視線を懐かしそうに落とした。でも、待て、路地裏?

「路地裏って……そう言えば飯塚さん路地裏に入って――」
「飯塚さんなら確かに来たわね。私が動揺して逃げちゃったから……」

 麻子さんが自分が来た道を振り返る。コナンと毛利探偵、蘭さんが何か叫びそうになった瞬間、麻子さんの視線の先からアキが現れる。

「すいません、無我夢中で走ってたら迷子になっちゃって」

 そう困った顔で告げたアキに、毛利探偵とコナンがホッとする。蘭さんがアキに慌てて近づいた。

「アキちゃん、怪我はない?」
「? はい」
「高遠遙一になんもされてないか?」
「三好さんが逃げ出されてからすぐ逃げたので、大丈夫ですよ」

 結構足は速い自信があります。そう笑って見せたアキに毛利一行が安堵する。そのまま真田さんが近づいてきて、アキを見下ろして、少し首を傾げた。

「何か?」
「ん、いや?」

 その後は、そのまま麻子さんは毛利一行が警察署に連れて行ったとだけ。