狙撃手の名は蠍
平次さんと和葉さんに連れてこられた先は神社である。俺は結構おみくじが好きで旅行先の神社でついやってしまう。今回の結果は中吉。パッとしない結果である。
まあ、あれだ。よくある努力しなさい的なそれだ。が、大きな事柄に巻き込まれることになるでしょうとかいう暗示はいらない。もう巻き込まれてるっての。金田一の事件とか、コナンが引く事件とか。殺人事件ばっかだけど。
よかったことは海外に行けるよ的なことが書かれていたことだろうか。……キッドは関係ないな。
大吉、と喜ぶ蘭さんにアキも笑んでいた。高遠は「親がクリスチャンなので」と断ろうとしていたが、平次さんに引かされていた。結果は知らないがちょっと顔をしかめていたのでよくはなかったんだろう。そのまま高遠はそのおみくじをアキに渡し――というか、ポケットに突っ込んだらしい。アキは一瞬ビックリしたように高遠を見たが、高遠がなんでもないと言ったんだろう。首を傾げて終わる。
「さてと、問題は午前三時までどうやって時間を潰すかやな」
「本当に午前三時ならな」
そう呟いた俺に、平次さんが目を瞬く。コナンも考え込んだ。それを見て、平次さんが和葉さんに声を掛ける。
「なあ、和葉。お前その四人案内したれや! 俺はこのちっこい二人案内する」
「どうして? 一緒に行こうよ」
蘭さんの言葉に、平次さんが返答する前にアキの携帯が音を立てた。音からしてラインの通知だろう。アキはソレを見て少し目を瞬くと、申し訳なさそうに和葉さんを見た。
「すいません、知り合いに時間があるのなら、今から会わないかと誘われちゃいました」
「知り合い? アキちゃんって大阪に知り合いがいるの?」
「いえ、東京に住んでいるんですが、どうやらこちらに来てるみたいです」
そう申し訳なさそうに告げたアキに高遠が「では私もアキに同行しましょう」とつげる。
「ボディーガードが守る対象から離れてしまっては、いけませんからね」
「アキちゃんのは仕方ないね」
「和葉ちゃんともっとおしゃべりしたかったな」
「また機会あるって!」
しょんぼりしながら告げたアキに、和葉さんが励ますように告げる。
「じゃ、俺は男同士つもる話があるってことで、ヤマト連れてくわ。なぁ、コ、コ、コナン君?」
「おう」
「うん!」
かなり吃る平次さんに吹き出してしまったのは仕方がない。コソコソと話す二人をよそに、俺は肩を震わせる。平次さんのアレだ。平次さんの慣れてないというか吃り具合とコナンとのギャップが、激しい。コナンぐらいさらって言えるだろ、と思いつつ、ひたすら笑ってたら二人に頭を小突かれた。痛い。ソレを見て、アキはまた笑みを浮かべた。
「服部くん、ヤマトをお願いします」
「おう、まかせとき!」
そう軽く手を上げた平次さんに、アキは高遠を見る。高遠はアキを見下ろして、「行きましょうか」と言った。
――そう言えば、である。
アキに近づいて首を傾げる。
「さっき、会長室でなんで首かしげてたんだ?」
「ああ、あれですか。いえ、大阪に住んでいないからかもしれませんが、光る天の楼閣が大阪城だというのが不思議で」
「それは豊臣秀吉が――」
「では、ヤマト。これが東京だとして光る天の楼閣が江戸城――皇居だと思いますか?」
「……いや、東京タワーやスカイツリー、高いビルを思い浮かべる」
「でしょう?」
「楼閣はそもそも、重層の建築物や高く立派な建物をさしますからね。前者はともかく後者なら大阪城は当てはまると言えば当てはまりますが、ピンと来ないのも確かですね」
アキの言葉に補足するように高遠はそう告げた。ヤマト、と背後から声をかけられたため、平次さんとコナンの方に振り返り「今行く!」と答える。後、一つだけ質問が。
「アキ、誰と会うんだ?」
「それは私も知りたいところだ」
そう告げた高遠にアキは苦笑いをした。