狙撃手の名は蠍


 うわ、アイツ手榴弾設置しやがった。そう思いながら走る。後ろから聞こえてくるコナンの声に、「コナン、そこに手榴弾あるぞ!」といえば手榴弾が爆発した。が、コナンは瓦礫をすり抜けるように走ってきているので無事らしい。
 それにすこし安堵し、そのまま追いかければ、犯人が扉を閉めたらしい。滑り込むようにして登れば犯人は部屋から逃げていた。仕方がないので、コナンが登ってきやすいように、暗号をもう一度押す。
 確か――。
 不意に、ゾクリとした。それに慌てて振り返り距離を取ろうとする。俺に銃を向けたのは青蘭さんだ。
 絶体絶命のピンチ、だろう。どうする、どうする、と考えつつ、後ろ手で先程の文字盤を触る。そのまま静かに文字盤を押す。場所は勘だ。一部は覚えれたが全部は無理である。俺のいた場所がいきなり開き、俺は下に落ちた。無事に着地したが、青蘭さんが閉めたんだろう。また扉が閉まる。

「あっぶねぇ……」
「ヤマト!」
「あせったー、死ぬかと思った」

 息を吐いてコナンを見る。コナンは目を細めてこちらを見た。

「ヤマト、お前は何時青蘭さんが犯人だって気づいたんだ?」

 そう尋ねたコナンに、元から知っていたのを思い出しました、とはいわない。というか、言えない。

「あー、っと、なんか確定事項はなかったけど、青蘭さんがロシア系の血を引いてたこととか、ラスプーチンの写真飾ってたこととか、色々と推測で?」
「ロシア系の血を?」
「目の色からの推測」

 そう答えて近くの石を触っていく。こういうのって中からも開けれるようになっているはずである。

「後、名前を並び替えたらラスプーチンだし怪しんでた。でも、物的証拠はないから何も言えねえ。ま、ロマノフ王朝研究家名乗ってたら、奪った財宝持ってても違和感ないよな、とは思ってたけどな」
「――なぁ、ヤマト、お前は」

 コナンの言葉を聞きつつ、石を眺める。一つだけ違う形の石である。そのまま押せば上が開いた。

「何の話かわからねーけど、先に青蘭さん捕まえたほうがいいだろ?」
「……ヤマトはどうするんだ?」
「俺は七不思議道具持ってないし、おとなしくアキ達に合流する……あ、やっぱ俺もやることあった。でも青蘭さんのとこにはいかない」

 不思議そうな顔をしたコナンに、あのなあ、と口を開く。

「お前、アガサ博士の発明道具で身を守る、オレ、発明道具ないから身を守れない」

 そう言って首を振る。銃弾避けるとかいう芸当はオレには無理だ。

「あとで合流しようぜ」

 そう言ってコナンの背を押せばコナンは頷いて走り出した。それを見送ってから外に出る。漂ってくるのは石油のようなガソリンのような臭いだ。

「あんまり時間はない、か」

 そう息を吐いて、廊下を逆に曲がった。